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中国特許制度

  最新制度 2021年6月施行
  中国専利法。特許、実用新案、意匠の規定をひとつにまとめた法律。
  専利法実施細則。特許(専利)手続きに関する細かい規定。
  専利審査指南。特許(専利)審査、不服審判、無効審判の基準等の規定。

【項目】




1.出願人
   
発明者及びその承継人(専利法第7条、第10条)
  共同発明者(専利法第8条)
  職務発明の場合、発明者の所属組織(専利法第6条)

2.出願言語
 
(専利法実施細則第3条)
   中国語。外国の人名、地名、科学技術用語であって、統一的な中国語訳が無いものについては、その原文を注記

  しなければならない。
   提出される各種の証明書及び証明書類が外国語によるものであって、国務院専利行政部門は必要と認める場合、

  指定の期限内に中国語訳文を追加添付するよう当事者に要求することが出来る。期限が過ぎても追加添付され
  なかった場合には、当該証明書と証明書類が提出されていなかったとみなす。

3.出願の種類 

 (1) 分割出願    (専利法実施細則第42、43条、専利審査指南第一部分第一章5.1.1、専利審査指南第二部分第一章3.2)
  分割出願とは、先の出願に開示された発明の一部を別途権利化するために行う出願をいう。
  可能時期 :専利局から親出願に対して専利権を付与する旨の通知書を受領した日より2ヶ月の期間の経過前。
           もしくは、審査官により却下査定がなされた親出願に対して、却下査定を受領した日より3ヶ月以内。
  内容の制限:分割出願は、親出願を基に提出しなければならない。分割出願の種別は親出願の種別と一致
           しなければならない。 
           分割出願の内容は親出願の記載範囲を超えてはならない。
  効果    :分割出願は、元の出願日を維持することができ、優先権を有するものについては、優先権日を維持する
          ことが出来る。

 (2) 同時出願(専利法第9条)
   同一の出願人が同日中に同様の発明創造について実用新案専利を出願し、同時に発明専利を出願した場合、
  先に取得した実用新案専利権が終了する以前において、出願人が当該実用新案専利権の放棄を宣言したものは
  発明専利権を付与することができる。

4.出願書面

(1) 特許出願の際に提出する書類及び手続き(専利法第26条)
   ・願書
   ・明細書
   ・要約
   ・権利要求書(クレーム)
   ・必要な図面
   ・出願費、公布印刷費と必要な出願付加費(出願日より2か月以内或いは受理通知書を受け取った日より
    15日以内)。
 (2) その他の書面
    上記の書類以外に、必要に応じて下記の書面を提出することができる。
  ① 委任状
    出願人が代理人に対して代理権を委譲したことを示す書面。
    国家知識産権局専利局に対する手続は、代理人により行うことができる。そのためには、手続きの代理権を有する
   ことを示す「委任状」を提出しておく必要がある。
  ② 優先権証明書
    特許について優先権を要求する場合、出願時に書面による声明を提出し、かつ最初に専利出願を提出した日から
  16カ月以内に、最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない(専利法第30条)。
   優先権を主張する後の出願の出願人は先の出願書類の副本に記載した出願人と一致している者か、又は先の
  出願書類の副本に記載した出願人の1人でなければならない。出願人が完全に一致していない、かつ先の出願の
  出願人は優先権を後の出願の出願人に譲渡した場合、後の出願の提出日より3ヶ月間以内に、先の出願の
  出願人全員が署名又は捺印した優先権譲渡証明書類を提出しなければならない。先の出願は複数の出願人が

  あり、かつ後の出願はそれと異なる複数の出願人がある場合、先の出願の出願人全員が共同で署名又は捺印
  した、後の出願の出願人全員に譲渡する旨の優先権譲渡証明書類を提出して良いとする。また、先の出願の
  出願人全員が別々に署名又は
捺印した、後の出願の出願人に譲渡する旨の優先権譲渡証明書類を提出して良い
  とする。
(専利審査指南第一部分第一章6.2.1.4)

5.出願日の認定
(国家知識産権局の質問応答により)
  専利局に電子文書により特許出願や各種書類が提出された場合、専利局の電子出願システムの電子文書を受領
 した日を出願日とする。
  専利局の受理処又は代理所に直接提出された特許出願については、その受領日を出願日とし、専利局又は代理所
 に郵送で提出された特許出願については、封筒の消印の日を出願日とし、消印が判読できない場合は、専利局又は

 代理所が受領した日を出願日とする。
  宅配便で専利局の受理処又は代表所に提出された場合には、その受領日を出願日とし、特許出願が専利局の

 非受理官庁又は個人に郵送又は提出された場合には、その郵送又は提出の日は出願日を定める効力を有せず、
 受理処又は代表所が実際に受領した日を出願日とする。

6.発明の保護対象(専利法第2条)

   製品、方法又はその改善に対して行われる新たな技術方案が法定の保護対象

7.特許対象外(専利法第25条)
  (一)科学上の発見
  (二)知的活動の規則及び方法

  (三)疾病の診断及び治療方法
  (四)動物と植物の品種
  (五)原子核変換方法及び原子核の変換方法で得られた物質
  第(四)号で掲げた製品の生産方法に対しては、専利権を付与することができる。

8.出願に関する料金
(最新の料金についてはCNIPAのウェブサイト等で確認のこと)
  ・出願費用: 900元(クレーム数10、明細書ページ数30まで)
      クレーム超過加算:クレーム数が10を越えた場合、越えたクレーム数毎に150元の加算

      明細書が30ページを超えた場合:ページ毎に50元の加算
      明細書が300ページを超えた場合:ページ毎に100元の加算
  ・審査手数料: 2500元(出願日から3年以内)
  ・公布印刷費: 50元(出願費用と同時)


9.実体審査制度(専利法第35、36、37、39条)
   あり。出願人が請求する場合、または国務院専利行政部門は必要と認める場合。
   ・出願人請求する期限:出願の出願日から三年間以内。
   ・請求しない場合の処理:出願は取り下げられたものと見なされる 。
   ・提出資料:出願日以前におけるその発明に関係する参考資料。
   ・審査の結果:

  (1)専利法の規定に合致していないと認める場合、出願人に通知を行い、指定の期間内に意見を陳述するか、
     あるいはその出願を補正するよう要求。
  (2)拒絶する理由を発見しない場合は、国務院専利行政部門が発明専利権を付与する決定を下し、発明専利
     証書を交付する。

10.出願公開制度
(専利法第34条、専利審査指南第五部分第八章1.2.1.1)
   初歩的審査により専利法の要求に合致していると認めた場合、出願日又は優先日から18か月経過後に公開
  される。
   出願人の請求に基づき、出願を繰り上げて公開することができる。

11.先発明者先願主義
(専利法第9条)
   ・二人以上の出願人が同一の発明創造についてそれぞれが専利を出願した場合、 専利権は最も早く出願した者に
    付与する。

   ・実用新案との関係
     同様の発明に対しては1件の専利権のみを付与する。但し、同一の出願人が同日中に同様の発明について
    実用新案専利を出願し、同時に発明専利を出願した場合、先に取得した実用新案専利権が終了する以前に
    おいて、出願人が当該実用新案専利権の放棄を宣言したものは発明専利権を付与することができる。


12.新規性
(専利法第22条、専利審査指南第二部分第三章2.1.2)
  新規性は世界基準(世界公知)。
   ・新規性とは、当該発明が既存技術に属さないこと、いかなる単位(中国の組織、団体などを指す)又は個人も同様
   の発明又は実用新案について、出願日以前に国務院専利行政部門に出願しておらず、かつ出願日以降に公開され
   た専利出願文書又は公告の専利文書において記載されていないことを指す。
  ・既存技術とは、出願日以前に国内外において公然知られた技術を指す。
  ・既存技術の公開には、3つの方式がある
  (1)出版物による公開
      出版物とは、技術や設計の内容を記載しており、独自に存在している伝播キャリアであり、かつ公式な発表又
     は出版の時期を表示するか、或いはその他の証拠で証明するものでなければならない。
      前述の意味に合致する出版物は、専利文献、科技関連の雑誌、科学技術関連の書籍、学術論文、
     専門文献、教科書、技術マニュアル、正式に公表された会議議事録或いは技術的報告書、新聞、製品の
     サンプル、製品カタログ、広告宣伝パンフレットなど、印刷されたり、タイピングされた各種の紙書類であっても良い。
      また、マイクロフィルムや、映画、写真のネガ、ビデオテープ、磁気テープ、レコード、CDなど、電気・光・磁気・撮影
     などにより作製された視聴資料であっても良い。さらに、インターネットやその他オンラインデータベースにある資料
     など、その他の形式で存在している資料であっても良いとする。
      出版物は地理的位置、言語又は取得方法による制限を受けることなく、年代による制限も受けない。出版物
     の出版・発行部数の量、読んだ者がいるか、出願人が知っているかは、重要ではない。
      「内部資料」、「内部発行」等の文字が付されている出版物が、確かに特定の範囲以内で発行されており、かつ
     秘密保持が要求されている場合には、出版物による公開には当たらない。
 (2)使用による公開
     使用したことにより、技術方案が公開され、若しくは技術方案を公衆が知り得た状態にした場合、このような公開
    を使用による公開という。
     使用による公開の方式には、公衆がその技術の内容を知り得る製造、使用、販売、輸入、交換、贈呈、演示、
    展示などが含まれる。前述の方式を介して、関連技術を知りたい公衆が知ることのできる状態にしている限り、使用に
    よる公開となり、知り得た公衆がいるかどうかによって決まるものではない。
     但し、関連技術の内容説明が一切なく、属する技術分野の技術者がその構造、機能、或いは材料成分を知るこ
    とができない製品の展示は、公開による使用には当たらない。
     もし、使用により公開されたのは1種の製品であるならば、使われた製品又は装置を破壊した時に限ってその構造
    及び機能を知るものであっても、使用による公開に該当する。さらに、使用による公開には、ポスター、図面、写真、
    カタログ、サンプルなど、展示台やショーウインドーに置かれており、公衆が閲覧できる情報資料及び直観的な資料
    も含まれる。
 (3)他の方法による公開
     公然知られたその他の方法としては主に、口頭での公開などを指す。

     例えば、口頭による話し合い、報告、討論会での発言、放送、テレビ、映画などといった公衆が技術的内容を知り
    得る方法など。
     口頭による話し合い、報告、討論会での発言は、その発生日を公開日とする。
     公衆が受信できる放送、テレビ又は映画についての報道は、その放送日を公開日とする。

13.新規性喪失の例外
(専利法第24条)
  創造について、出願日前6カ月以内に以下の状況のいずれかがあった場合、その新規性を喪失しないものとする。

  (一)国家において緊急事態又は非常事態が発生し、公共の利益のために初めて公開した場合
  (二)中国政府が主催する又は認める国際展示会で初めて展示された場合
  (三)規定の学術会議、又は技術会議上で初めて発表された場合
  (四)他者が出願人の同意を得ずに、その内容を漏洩した場合

14.譲受人による出願
(専利法第10条)
   特許出願権は譲渡することができる。中国の単位①又は個人が外国人、外国企業、あるいは その他外国組織に特許

  出願権を譲渡する場合、関連の法律と行政法規の規定に基づき、手続きを行わなければならない。
   特許出願権を譲渡する場合、当事者は書面の契約を締結し、かつ国務院専利行政部門に登記しなければならない。
   国務院専利行政部門が公告を出す。特許出願権の譲渡は登記日から有効となる。


15.創造性 (専利法第22条、専利審査指南第二部分第四章2) (日本の進歩性に該当)
   発明の創造性とは現有技術に比べて、当該発明に突出した実質的特徴と顕著な進歩があることを言う。
   出願日以前にあらゆる機構又は個人が専利局に出願を提出しており、かつ出願日以降に公開された専利出願
  書類又は公告された専利書類に記載された内容は、現有技術に該当しないため、発明の創造性の評価時には
  考慮しない。
   突出した突出した実質的特徴があるとは、属する技術分野の技術者にとって、発明は現有技術に比べて非自明的
  であることを指す。属する技術分野の技術者が現有技術を基に、単なる論理に合った分析や推理又は限られた試験
  により得られるような発明は自明的であり、突出した実質的特徴を具備しないものである。
   顕著な進歩があるとは、発明は現有技術に比べて、有益な技術的効果をもたらすことを指す。例えば、発明で現有
  技術に存在する欠陥や不足を克服し、若しくはある技術的問題の解決に構想の異なる技術方案を提供し、或いは
  ある新規な技術発展の傾向を表している場合など。
   属する技術分野の技術者とは、その技術分野の技術者とも呼ばれるが、ある仮定の「人」を指すものであり、出願日
  又は優先権日以前に、発明が属する技術分野における全ての一般的な技術的知識を知っており、その分野における

  全ての現有技術を知り得るとともに、その日以前の通常の実験の手段を運用する能力を有するが、創造能力は有し
  ないことを仮定したものである。解決しようとする技術的問題は、その技術分野の技術者がその他の技術分野から
  技術的手段を探すように促すことができるならば、その人には、その他の技術分野から、当該出願日又は優先権日
  以前の関連する現有技術や、一般的な技術的知識、通常の実験の手段を知り得る能力を有しなければならない。

16.明細書記載要件
(専利法第26条、専利法実施細則17条)
   明細書は、発明に対し、その所属技術分野の技術者が実現できることを基準とした明確かつ完全な説明を行い、
  必要時には図面を添付しなければならない。
   明細書は発明の名称を明記しなければならない。同名称は願書中の名称と一致しなければならない。明細書には
  以下の内容が含まれていなければならない。
   (1)技術分野:保護を求める技術の属する技術分野を明記する。
   (2)背景技術:発明に対する理解、検索、審査に有用な背景技術を明記する。可能な場合には、さらにこれら
              の背景技術を反映する文章を引用して証明する。
      (3)発明の内容:発明が解決しようとする技術的課題及びその技術的課題を解決するために採用した技術
               方案を明記し、さらに既存技術と対比して、発明がもたらす有益な効果を明記する。
     (4)図面の説明:明細書に添付図面がある場合は、各添付図面について簡単に説明する。
    (5)具体的な実施形態:発明の実施に当たって最良と出願人が考える形態を詳細に明記する。必要に応じて
                  実施例を挙げて説明する。添付図面がある場合は、添付図面を参照する。
   発明の出願人は、その発明の性質がその他の方式又は順序によって明細書を作成した方が明細書の紙幅を節約
 でき且つ他人にその発明を正確に理解させることが出来るものである場合を除き、前項に規定する方式と順序に基づ
 いて明細書を作成し、且つ明細書の各部分の最初に表題を明記しなければならない。
   発明の明細書は、用語が規範的で、 文章が明瞭でなければならず、また「請求項…に記載する…であって」の
  ような引用文や、商業的な宣伝用語を用いてはならない。

    発明特許出願に一つ又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸配列を含む場合、明細書に国務院特許行政部門が
  規定する配列表を含めなければならない。出願人は配列表を明細書の一つ単独した部分として提出しなければ
  ならず、かつ国務院特許行政部門の規定に基づいて、コンピューター読み取り可能な形式による当該配列表の副本
  を提出しなければならない。


17.クレーム記載要件
 (専利法第26条、専利法実施細則第19―22条)
   権利要求書(クレーム)は明細書を根拠とし、特許保護請求の範囲について明確かつ簡潔に要求を 特定しな
  ければならない。
   特許請求の範囲には発明の技術的特徴を記載しなければならない。
   特許請求の範囲に複数のクレームがある場合は、アラビア数字で番号を振らなければならない。
   特許請求の範囲中で使用する科学技術用語は明細書中に使用する科学技術用語と一致しなければならず、
  化学式又は数式が有ってもよいが、挿絵が有ってはならない。絶対に必要な場合を除き、「明細書・・・の部分に記載
  されたように」或いは「図面・・・に示すように」などの表現を使用してはならない。
   クレーム中の技術的特徴は明細書添付図面中の対応する記号を引用することができ、当該記号は、クレームの
  理解に資する為に対応する技術的特徴の後の括弧に置かなければならない。添付図面の記号はクレームへの制限と
  解してはならない。
   特許請求の範囲は独立クレームを有しなければならず、従属クレームを有してもよい。
   独立クレームは発明の技術方案を全体的に反映し、技術的課題を解決する必要な技術的特徴を記載しなければな
  らない。
   従属クレームは付加的な技術的特徴を用い、引用するクレームを更に限定しなければならない。
   発明の独立クレームは前提部分と特徴部分を備え、以下の規定に基づいて作成しなければならない。
  (1)前提部分:保護を請求する発明又は実用新案技術案のテーマの名称及び発明主題が最も近い既存技術
             と共有する必要な技術的特徴を明記する。
  (2)特徴部分:「・・・を特徴とする」又はこれに類似する用語を用い、発明が最も近い既存技術と異なる技術的
            特徴を明記する。  
   これらの特徴は前提部分に明記する特徴と合わせて、発明が保護を求める範囲を限定する。
   発明の性質が前項の方式によって表現するには適さない場合、独立クレームはその他の方式で作成することが
  出来る。
   一つの発明には一つの独立クレームしかなければならず、かつ同一する発明の従属クレームの前に記載するものとする。
   発明の従属クレームは引用部分と限定部分を備え、以下の規定に基づいて作成しなければならない。

    (1)引用部分:引用するクレームの番号とテーマの名称を明記する。
    (2)限定部分:発明の付加的な技術的特徴を明記する。
   従属クレームはその前のクレームしか引用できない。2つ以上のクレームを引用する多項従属クレームは、択一的に
  その前のクレームを引用し、かつ他の多項従属クレームの基礎としてはならない。

18.拒絶理由通知
(専利法第37、38条)
  国務院専利行政部門は特許出願に対して実体審査を行った後、専利法の規定に合致していないと認める場合、

 出願人に通知を行い、指定の期間内に意見を陳述するか、あるいはその出願を補正するよう要求しなければならない。
  正当な理由なく期限を過ぎても応答しない場合、当該出願は取り下げられたものとみなされる。
  特許の出願について、出願人が意見陳述又は補正を行った後、国務院専利行政部門が依然として専利法の規定
 に合致しないと認める場合はこれを拒絶しなければならない。

19.補正
(専利法第33条、専利法実施細則第51条、第52条)
    出願人は、その専利出願書類に対して補正を行うことができるが、発明に対する専利申請書類に対する補正は、
  元の明細書及び権利要求書に記載された範囲を超えてはならない。
    特許出願人は、実体審査を請求する時及び国務院専利政部門が発行する特許出願が実体審査段階に入る旨の 
  通知書を受領した日より起算して3ヶ月以内に、特許出願を自発的に補正することが出来る。

   出願人は国務院専利行政部門が発行する審査意見通知書を受領した後、特許出願書類を補正する場合は、
  通知書に指摘された欠陥のみに対して補正を行わなければならない。
   特許出願の明細書又は特許請求の範囲の補正部分については、個々の文字上の補正又は増減を除き、規定の
  書式に基づいて差し替え頁を提出しなければならない。

20.出願公開制度 (専利法第34条)
   国務院専利行政部門は特許の出願を受領後、初歩的審査により専利法の要求に合致していると認めた場合、
  出願日から満18カ月後に公開する。国務院専利行政部門は出願人の請求に基づき、その出願を繰り上げて
  公開
することができる。

 
21.優先権主張出願
(専利法第29、30条)
   出願人が発明を外国で初めて出願した日から12カ月以内に、中国で再び同一の主題について専利を出願する
  場合、当該外国と中国が締結した協定又は共に締結した国際条約に基づき、若しくは相互に優先権を認めることを
  原則とし、優先権を享受できる。
   出願人が、発明について中国で最初に専利出願した日から12カ月以内に、また国務院専利行政部門に同一の
  主題について専利出願を提起する場合、優先権を享受できる。

   出願人が特許優先権を要求する場合、出願時に書面による声明を提出し、かつ最初に専利出願を提出した日
  から16カ月以内に、最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなけれ ばならない。
   出願人が書面による声明を提出せず、又は期限を過ぎても特許出願書類の副本を提出しない場合は、優先権を
  要求しなかったものとみなす。

22.早期審査等

   (1) 特許審査ハイウェイ (PPH)
      現在は「専利優先審査管理弁法」が施行されている。所定技術分野の専利出願については、優先審査が
     認められ得る。(専利優先審査管理弁法第3条)
      (a)省エネルギー・環境保護、次世代情報技術、生物、高付加価値装備の製造、新エネルギー、新材料、
        新型エネルギー自動車、スマート製造などの国の重要な技術分野に係わる専利出願
      (b)各省級および設区市級人民政府が重点的に奨励している産業に関係する出願
      (c)インターネット、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの分野に関わり、かつ技術または製品の更新速度
        が速い出願
      (d)専利出願人または復審の請求人が、実施の準備を完了している、またはすでに実施している、もしくは他人
        がその発明創造を実施中であることを証明する証拠を有している出願
      (e)同一の主題に関し、中国に出願した後、他の国または地域に出願を提出した初めに中国に提出した出願
      (f)国家利益または公衆利益に重大な意義があり、優先審査が必要と認められた出願
   (2) 早期審査 加速審査制度 (Accelerated Examination)
      45日以内に最初の拒絶理由通知を出し、12カ月以内に審査が終了する。オフィスアクションに対する応答期間
     が通常より短く延長ができないことに留意が必要。
     必要書類:
      1)優先審査請求書(専利優先審査管理弁法第3条(e)に挙げた事由がある場合を除き、優先審査
         請求書には、国務院の関係部門または省級知識産権局が推薦意見を記入しなければならない)。
      2)先行技術または既存設計に関する情報資料および関連する証明書。
   (3) 日本国特許庁(JPO)と中国国家知識産権局(CNIPA)との間の特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラム
    1.中国国家知識産権局の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ
     ① 概要
       出願人は、中国出願を基礎とした日中間の特許審査ハイウェイ(以下、「PPH」という)試行プログラムに基づいて、
       以下の申請要件を満たす日本国特許庁への出願(以下、「当該出願」という)につき、関連する書類の提出を含む
       所定手続を行うことで早期審査を申請することができる。
     ② 試行期間
       2011年11月1日開始~2028年10月31日終了。
     ③ 手続き
       PPH 試行プログラムを申請する場合、出願人は日本国特許庁に「早期審査・審理ガイドライン」に示される手順に
       基づいて申請書「早期審査に関する事情説明書」を提出しなければならない。
     ④  申請要件
      (A)PPH を申請する日本出願および対応する中国出願において、優先日あるいは出願日のうち、最先の日付が同一で
                  あること

a)中国出願に基づいて正当なパリ条約に基づく優先権を主張している出願であること

b)中国出願に対する正当なパリ条約に基づく優先権主張の基礎となっている出願であること

c)中国出願(PCT出願の国内移行出願も含む)と同一の優先権基礎出願を有する出願であること

d) 優先権主張を伴わないPCT出願の国内移行出願であって、当該日本出願および対応する中国出願が 同一のPCT出願の国内移行出願であること

       (B) 対応する中国出願が存在し、すでに特許可能と判断された一又は複数の請求項を有すること。
       (C) PPH試行プログラムに基づく早期審査を申請する当該出願の全ての請求項が、対応する中国出願の特許可能と
          判断された一又は複数の請求項と十分に対応していること。
       (D) 当該出願に関し日本国特許庁において、PPH申請時に審査の着手がされていないこと。
       (E) 日本国特許庁において、PPH 申請時又はその前に、審査請求が行われていること。
     ⑤  PPH 試行プログラムに基づく早期審査に関する手続
       1) 日本国特許庁は、上記書類とともに申請を受理した場合、当該出願をPPHに基づく早期審査の対象として選定するか
         否かを決定する。
       2) 日本国特許庁が申請を認めた場合、当該出願は PPH に基づく早期審査の対象案件として特別な地位が与えられる。
       3) 申請が上記の要件のすべてを満たしていない場合には、出願人はその旨及びその不備について通知(非選定通知)
         がされる。
       4) 非選定通知書の送付の前に、出願人は不足書類を提出する機会が与えられる。
       5) 非選定通知書の送付の後でも、出願人は再度PPHを申請することができる。

    2.中国国家知識産権局のPCT国際段階成果物を利用した特許審査ハイウェイ
     ① 概要
       出願人は、PCT 国際段階成果物を利用した日中間の特許審査ハイウェイ(以下、 「PCT-PPH」という)試行プログラムに
       基づいて、以下の申請要件を満たす日本国特許庁への出願(以下、「当該出願」という)につき、関連する書類の提出を
       含む所定手続を行うことで早期審査を申請することができる。
     ② 試行期間
        2011年11月1日開始~2028年10月31日終了。
     ③ 手続き
        PCT-PPH 試行プログラムを申請する場合、出願人は日本国特許庁に「早期審査・審理ガイドライン」に示される手順に
        基づいて申請書「早期審査に関する事情説明書」を提出しなければならない。
     ④ 申請要件
     (a) 当該出願に対応する国際出願の国際段階における成果物、すなわち国際調査機関が作成した見解書(WO/IS)、
        国際予備審査機関が作成した見解書(WO/IPEA)及び国際予備審査報告(IPER)のうち、最新に発行されたもの
        において、特許性(新規性・進歩性・産業上利用可能性のいずれも)「有り」と示された請求項が少なくとも1つ存在
        すること。
      (b) 当該出願と対応する国際出願とは下記のいずれかの関係を満たすこと。

A 当該出願は、対応する国際出願の国内段階であること

B 当該出願は、対応する国際出願のパリ条約に基づく優先権主張の基礎となっていること

C 当該出願は、対応する国際出願をパリ条約に基づく優先権主張の基礎とする国際出願の国内段階であること

D 当該出願は、対応する国際出願を国内優先権主張又はパリ条約に基づく優先権主張の基礎とする国内出願であること

E 当該出願は、上記(A)~(D)のいずれかを満たす出願の派生出願(分割出願、 国内優先権を主張する出願等)であること

            (c) PCT-PPH に基づく審査がなされるすべての請求項が、対応する国際出願の最 新国際成果物で特許可能と判断
         された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されていること。
       (d) 当該出願に関し日本国特許庁において、PCT-PPH 申請時に審査の着手がされていないこと。
        (e) 日本国特許庁において、PCT-PPH申請時又はその前に、審査請求が行われていること。
     ⑤ PCT-PPH 試行プログラムに基づく早期審査に関する手続
      1)日本国特許庁は、上記書類とともに申請を受理した場合、当該出願をPCT-PPHに基づく早期審査の対象として選定
         するか否かを決定する。
      2)日本国特許庁が申請を認めた場合、当該出願は PCT-PPH に基づく早期審査の対象案件として特別な地位が
         与えられる。
      3)申請が上記の要件のすべてを満たしていない場合には、出願人はその旨及びその不備について通知(非選定通知)が
         される。
      4)非選定通知書の送付の前に、出願人は不足書類を提出する機会が与えられる。
      5)非選定通知書の送付の後でも、出願人は再度PCT-PPHを申請することができる。
   

   出典:日本国特許庁(JPO)と中国国家知識産権局(CNIPA)との間の特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラム
         china_jpo_ja.pdf


23.特許料の納付時期と権利維持に必要な料金(年金)

   (1) 登録料を納付すると4年間権利が維持される
      登録許可通知が出てから2カ月以内に、最初の登録料を納付する。
   (2) その後、特許権を維持するため、毎年に特許料を納付する必要がある
         1 – 3 年(每年)     900人民元
         4 – 6 年(每年)  1,200人民元
         7 – 9 年(每年)  2,000人民元
       10-12 年(每年)   4,000人民元
       13-15 年(每年)   6,000人民元

        16-20 年(每年)   8,000人民元
     (3) 各期間経過後納付
      各期間経過後6カ月以内であれば、割増料金とともに支払うことにより権利を維持することができる。
            割増料金の金額は納付
するタイミングにより異なる。

24.特許権の存続期間と起算日

   特許発行日から特許権が発生し、中国出願日から起算して最長20年が終了するまで。
   出願日:国務院専利行政部門が出願書類を受領した日。郵送する場合には、消印日が受領となる。


25.拒絶査定不服審判制度
   (1) 請求期間(専利法第41条)
      最終拒絶通知から、原則として3カ月以内に請求可能。
   (2) 提出書類
      審判請求書、審判理由、証拠を提出する必要がある。

26.意見提出(専利法実施細則第48条)

  (1) 提出期間
     特許出願の公開日から特許権付与の公告日まで。
   (2) 提出人

     何人も可能。

27.無効宣告
(専利法第45~47条)
 (1)申立期間
      特許権付与を公告した日から
 (2)申立人適格
      いかなる単位①又は個人
 (3)申立先
      国務院専利行政部門
 (4)申立先の対応
      国務院専利行政部門は特許権無効宣告請求に対し、速やかに審理及び決定を行い、かつ請求者及び
          特許権者に通知しなければならない。特許権の無効宣告が決定された場合、国務院専利行政部門が登記
     及び公告を行う。
 (5)不服である場合の措置
      通知受領日から3カ月以内に人民法院に提訴することができる。人民法院は無効宣告 請求手続きを行った
     相手方当事者に、第三者として訴訟に参加するよう通知しなければ ならない。
 (6)効果
      無効宣告された特許権は初めから存在しなかったものと見なされる。
      特許権無効宣告の決定は、特許権無効宣告の前に人民法院が下し、かつ既に執行された特許権侵害の判決
     及び調停書、既に履行又は強制執行された特許権侵害紛争の処理決定、及び既に履行された特許実施許諾
     契約又は特許譲渡契約に対して、遡及力を持たないものとする。但し、特許権者の悪意により他者に損害をもた

     らした場合は、賠償しなければならない。
      前項の規定に従い、特許権侵害の賠償金、特許使用料、特許権譲渡料を返還せず、公平の原則に明らかに
     違反している場合は全額又は一部を返還しなければならない。

28.加盟している条約
   パリ条約、PCT、WTO協定