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アジアの知財制度

台湾特許制度

 最新制度 2022年 7月1 日施 行
 台湾での特許(発明専利)出願に関する準拠法は、
  専利法 ― 特許の規定をひとつにまとめた法律
  専利法施行細則 ― 特許手続きに関する細かい規定
 である。

【項目】




1.出願人資格

 発明者、承継人(自然人、法人)(専利法第5条)

2.出願言語

 特許出願に関する書類は中国語(台湾で用いられる繁体字中国語。以下同じ)を使用する(専利法施行細則第3条)。
  外国語書面による出願制度がある。出願時に、明細書、特許請求の範囲及び必要な図面の中国語による翻訳文を提出せず、
  外国語で提出し、かつ特許主務官庁が指定する期間内に中国語による翻訳文が補正された場合、当該外国語書面が提出された日を
  出願日とする(専利法第25条3項)。翻訳文不提出の場合には、出願不受理となる(同条4項)。

  出願人は、外国語の書面により出願する場合、願書の使用言語の種類の欄にチェックを入れること。外国語の種類は日本語、英語、
  ドイツ語、韓国語、フランス語、ロシア語、ポルトガル語、スペイン語およびアラビア語の9言語に限る(審査基準第1編第2章第7.2節)。


3.出願書面
  3.1 出願に必要な書類
   特許出願は、特許出願人が願書、明細書、特許請求の範囲、要約および必要な図面を備えて、特許主務官庁にこれを提出する
  (専利法第25条1項)。


  3.2 その他の書面                      
   上記の書類以外に、必要に応じて下記の書面を提出することができる。
   (1)委任状
       台湾内に住所又は営業所がない者は、特許出願及び特許に関する事項の処理について、代理人に委任してこれを行わなければならない
        (専利法第11条)。
       出願人が代理人に委任する場合は、委任状を添付し、代理権限及び送達先を明記しなければならない(専利法施行細則第9条)。
   (2)新規性優遇期間についての証明書類(新規性喪失の例外の適用を受けるための証明書類)(専利法第22条)
   (3)優先権証明書類(専利法第29条)
   (4)生物材料寄託証明書
       生物材料又は生物材料を利用する発明特許を出願しようとする場合、出願人は遅くとも出願日までに当該生物材料を特許
主務官庁指定の台湾の
    寄託機関に寄託しなければならない。ただし、当該生物材料が、それが属する技術領域の通常知識を有する者により
容易に取得できる場合、

       寄託する必要はない。出願人は出願日から4月以内に寄託機関、寄託日及び寄託番号を明記した寄託証明書を提出しなければならない。
    期間が満了しても当該証明書を提出しなかった場合、寄託しなかったものとみなす(専利法第27条)。

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4.出願日の認定

 原則、特許出願は、願書、明細書、特許請求の範囲及び必要な図面が全て揃った日を出願日とする(専利法第25条2項)。
  外国語書面による出願場合、当該外国語書面が提出された日を出願日とする(同条3項)。
  特許出願の明細書又は図面に一部遺漏があり出願人によって追完された場合は、追完された日付を出願日とする。ただし、
  以下の事情のいずれかに該当する場合は、原出願日を出願日とする。

   (1)追完された明細書又は図面が優先権を主張した先行出願に開示されている場合。
   (2)追完された明細書又は図面について、出願人が、専利主務官庁によって出願日確認の通知書が送達された後30日以内に取り下げられた場合
    (専利法施行細則第24条)。


5.発明の保護対象

 発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作を指す(専利法第21条)。

6.特許対象外(専利法第24条)
 (1) 動物、植物、及び動物や植物を生み出す主な生物学的方法。但し、微生物学的方法はこの限りでない。

 (2) 人間又は動物の病気の診断、治療又は外科手術の方法。
 (3) 公序良俗を害するもの。

7.費用
 出願料:1件につき3,500台湾元(専利規費徴収方法第2条)
  登録料(年額、1件当たり):
    1~3年目:       2,500台湾元

    4~6年目:       5,000台湾元
    7~9年目:       8,000台湾元
  10年目以降: 1万6,000台湾元(専利規費徴収方法第10条)

8.実体審査制度
 何人も、特許出願日から3年以内に、特許主務官庁に対し、その特許出願について実体審査の請求をすることができる(専利法第38条1項)。

 分割出願・変更出願について、出願日より3年を過ぎた場合、分割出願又は変更出願を行った日から30日以内に請求する必要がある(同条2項)。
 上記の期間内に実体審査を請求しなかった場合、当該特許出願は取り下げられたものとみなす(同条4項)。


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9.出願公開制度

 出願日(または優先日)から18月後に行われるが(専利法第37条1項)、出願人による早期公開請求が可能(同条2項)。
 出願日から15月以内に取り下げる場合、国防上の機密又はその他の国家安全に関わる機密に及ぶ場合、公序良俗を害する場合は、
 出願公開はされない(同条3項)。    
                                                                      

10.先発明者先願主義

 同一の発明について、2 以上の特許出願があった場合、最先に出願した者のみが特許を受けることができる。(専利法第31条1項)。
 ただし、後から出願した者が主張する優先日が先願の出願日より早い場合は、この限りでない(同条但書)。


11.特実併願

 同日の特許出願および実用新案登録出願が可能である。
 同一人が同一の創作について、同日に特許及び実用新案登録をそれぞれ出願する場合、出願時にそれぞれ声明しなければならない。
(専利法第32条1項)。
 但し、その特許の出願が査定される前に実用新案登録を受けた場合、特許主務官庁は、期限を指定していずれか1つを選択するよう

 出願人に通知しなければならない(同条)。
 出願時の声明が無い場合、又は、指定期限が過ぎてもいずれか1つを選択しなかった場合は、特許を受けることができない(同条)。
 特許を選択した場合、実用新案権は、特許の公告日から消滅する(専利法第32条2項)。
   
                                                                    

12.特許要件

 新規性:出願前に既に刊行物に記載されたもの、出願前に既に公然実施されたもの、出願前に公然知られたもの、のいずれかに該当しないこと
(専利法第22条1項)。

 進歩性:当該技術分野の通常知識を有する者が出願前の従来技術に基づいて容易に完成できる場合、進歩性が否定される(専利法第22条2項)。
 産業上利用可能性:もし特許出願に係る発明が、産業上製造又は使用されるものであれば、その発明は産業上利用でき、産業上の利用性を
 有するものと認定する(専利法第22条柱書、審査基準第2編第3章第1.2節)。

13.いわゆる拡大先願

 特許を出願した発明が、その出願より先に出願され、かつその出願後はじめて公開又は公告された特許若しくは実用新案登録出願に添付される明細書、特許請求の範囲 又は図面に記載された内容と同一である場合、特許を受けることができない(専利法第23条)。
 例外は、出願人が同一である場合のみである(同条但書)。

 特許請求の範囲 又は図面に記載された内容と同一である場合、特許を受けることができない(専利法第23条)。
 例外は、出願人が同一である場合のみである(同条但書)。

                                                                                     
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14.新規性喪失の例外
 出願人の意図によるものまたは出願人の意図に反する公開の事実が生じた日から12月以内に特許出願をした場合は、新規性喪失の例外の適用を
 受けることができる(専利法第22条3項)。
 出願により台湾または外国において法に基づき公報に公開されたことが出願人の意図によるものである場合、上記の規定を適用しない(同条4項)。

     

15.発明の単一性要件
  特許出願は、1つの発明ごとに出願を提出しなければならない(専利法第33条1項)。2以上の発明が、1つの広義の発明概念に属する場合、
 1出願において出願を提出することができる(同条2項)。

 「1つの広義の発明概念に属するもの」とは、2つ以上の発明であって技術的に相互に関連するものを指す(専利法施行細則第27条1項)。
 「技術的に相互に関連する発明」は、一つ又は複数の同一又は対応する特別な技術的特徴を含まなければならない(施行細則同条2項)

 「特別な技術的特徴」とは、特許を請求する発明全体が先行技術に対して貢献できる技術的特徴を指す(施行細則同条3項)。
 また、2つ以上の発明が技術的に相互に関連するか否かの判断は、その異なる請求項における記載又は単一請求項における択一形式による
 記載によって異なることはない(施行細則同条4項)。

16.記載要件

 明細書は、当該発明が属する技術分野の通常知識を有する者が、その内容を理解し、それに基づいて実現することができるように、
 明確かつ十分に開示しなければならない(専利法第26条1項)。

 特許請求の範囲は特許を出願する発明を特定し、1 項以上の請求項を含むことができる。各請求項は、明確かつ簡潔な方式で記載し、かつ、明細書により裏づけられなければならない(同条2項)。
 要約は、開示する発明内容の概要を明確に説明しなければならないが、それに基づいて開示が充分であるか否か、及び特許を出願する発明が特許の要件に合致しているか否かを決定することができない(同条3項)。
 また、明細書に以下の事項を明記しなければならない(専利法施行細則第17条)。

  (1)発明の名称。
  (2)技術分野。
  (3)先行技術:出願人が知る先行技術であり、当該先行技術の関連資料を添付してもよい。
  (4)発明の内容:発明が解決しようとする課題、課題を解決するための技術的手段及び先行技術と比較した効果。
  (5)図面の簡単な説明:図面がある場合は、図面を簡潔な文で図番の順に説明しなければならない。
  (6)実施の形態:一つ以上の実施の形態を記載し、必要に応じて実施例をもって説明することができる。図面がある場合は、
      図面を参照しながら説明しなければならない。

  (7)符号の説明:図面がある場合は、図面の主要符号を図番又は符号の順に列挙し説明しなければならない。
      明細書は、前項各号に規定された順序及び方式に基づいて書くとともに標題を付さなければならない。
      ただし、発明の性質がその他の方法による表現によってより明らかになる場合は、この限りではない。

      明細書は、各段落がより明確に識別できるように、各段落の前に、中括弧内に書かれた四桁連続のアラビア数字番号を順に配列できる。
      発明の名称は、出願する発明の内容を簡潔に説明するものでなければならず、それに無関係の文字を記載してはならない。
      生物材料又は生物材料の利用に関わる特許の出願は、その生物材料が寄託された場合、明細書に寄託機関、寄託日及び寄託番号を

      記載しなければならない。出願前に国外寄託機関に寄託された場合は、国外寄託機関、寄託日及び寄託番号を明記しなければならない。
      特許が一つ又は複数のヌクレオチド又はアミノ酸配列を含む場合は、明細書に専利主務官庁規定の書式に基づいて単独記載された配列表を
      掲載しなければならない。 

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17.クレーム記載要件(専利法施行細則第18条)
 
 発明専利請求の範囲は、1項以上の独立項によって表現することができる。請求項の数は、発明の内容と整合させなければならない。
 又、必要に応じて1項以上の従属項を設けることができる。独立項、従属項は、従属関係に基づいて順番にアラビア数字で番号を付し
 列記しなければならない。
 独立項には、専利を請求する標的名称及び出願人が認定した発明の必要技術特徴を明記しなければならない。
 従属項には、従属する請求項番号を明記するとともに、標的名称及びその従属する請求項以外の技術特徴を明記しなければならない。
 その従属する請求項番号は、アラビア数字によって付されなければならない。従属項を解釈する際には、従属する請求項のすべての技術的特徴を
 含めてなされなければならない。
 2項以上の従属項に従属して多項従属項とする場合は、選択的になされなければならない。

 従属項は、先行する独立項又は従属項にのみ従属させることができる。ただし、多項従属項同士は直接的にも間接的にも従属させてはならない。
 つまり、マルチクレーム自体は認められるが、マルチマルチクレームは、認められない。
 独立項又は従属項の文字説明は、一文でなされなければならない。

18.補正
18.1 補正の時期

  特許出願が実体審査に入り、特許主務官庁が審査意見通知書を発行する前まで、出願人はいつでも補正を申請することができる
   (専利法第43条、審査基準第2編第6章第1節)。
  その後、特許主務官庁が審査意見通知書を発行した後は、出願人は当該通知書の指定期間内のみ補正を提出することができる(同条)。
  また、初審の拒絶査定後に、再審査を請求した場合も補正することができる。 (専利法第49条)。

 18.2 補正内容の制限
 誤訳の補正を除き、出願の際の明細書、特許請求の範囲又は図面が開示した範囲を超えてはならない(専利法第43条)。
 最終の通知書を送付された場合、特許請求の範囲の補正につき、以下に限定される(専利法第43条)。
 なお、再審査の際に行う補正は依然として同じ制限を受ける(専利法第49条)

  (1)請求項の削除
  (2)特許請求の範囲の減縮

  (3)誤記の訂正
  (4)明瞭でない事項の釈明
 なお、外国語書面で明細書、特許請求の範囲及び図面を提出した場合、その外国語書面は補正してはならない(専利法第44条)。

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19.分割出願

  特許を出願した発明が、実質上2以上の発明である場合、特許主務官庁の通知又は出願人の請求により、出願を分割することができる
   (専利法第34条1項)。
 分割出願は次の各号に掲げる期間内にこれを行わなければならない(専利法第34条2項)。
   (1)原出願の再審査の査定前
   (2)原出願の登録査定書、再審査の登録査定書の到達日から起算して3月以内。
       原出願が査定又は処分される前に分割出願する場合、原出願は依然として専利主務官庁に係属していることが必須であり、そうして始めてこれを
       行なうことができる。原出願が既に取下げ、放棄又は不受理とされた時、分割出願をすることはできない。
       また、出願の初審で専利を付与しない査定書が既に送達された場合、法により先に再審査を請求する必要があり、並びに再審査費用を納付して
       原出願を再審査の段階に係属させて始めて分割出願を提出することができる(審査基準第1編第13章第1.2節)。
       分割後の出願は、原出願の出願日を出願日とする。優先権がある場合は、優先権を主張することができる(専利法第34条3項)。
       分割後の出願は、原出願の出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示された範囲を超えてはならない(同条4項)。
       原出願又は分割後の出願に次の各号のいずれかがあった場合、特許主務官庁は直ちに最終の通知書を送付することができる(専利法第43条)。

  (1)原出願に対し、行った通知と分割後の出願について既に通知した内容とが同一である場合 。
   (2)分割後の出願に対し、行った通知と原出願について既に通知した内容とが同一である場合 。
   (3)分割後の出願に対し、行った通知とその他分割後の出願について既に通知した内容とが同一である場合 。 
                                                               

20.優先権主張

 台湾はWTOには加盟しているが、パリ条約とPCTには未加盟である。WTO加盟国に対する第一国出願およびPCT出願を基礎とする優先権を伴う
 台湾出願が可能。ただし、PCT出願において、台湾を指定国とすることはできない。
 出願人が、同一の発明について、台湾と相互に優先権を承認する国家において又は WTO 加盟国において、最初に法律に則って特許出願し、
 かつ最初の特許出願日後の12月以内に、台湾に特許出願をする場合、優先権を主張することができる (専利法第28条1項)。
 出願人が1つの出願で2件以上の優先権を主張する場合、その優先権期間の起算は、最先の優先権日を基準日とする(同条2項)。
 外国の出願人がWTO加盟国の国民でなく、かつその所属国が台湾と優先権の相互承認をしていない場合でも、WTO加盟国または互恵国領域内に
 住所または事業所を設けているならば、専利法第28条第1項の規定に基づき優先権を主張できる(同条3項)。
 優先権を主張する場合は、その専利要件の審査は、優先日を基準とする(同条4項)。
 優先権を主張する場合は、専利の出願と同時に次の事項を声明しなければならない(専利法第29条1項)。
   (1)最先の出願の出願日
   (2)最先の出願を受理した国又はWTO加盟国
   (3)最先の出願の出願番号
 出願人は、最先の出願日から16カ月以内に、第1項の国またはWTO加盟国によって受理されたことを証明する出願書類を送付しなくてはならない
  (同条2項)。
 第1項1号、2号又は前項の規定に違反する場合は、優先権を主張しなかったと見なす(同条3項)。

 出願人が故意によらず、特許出願と同時に優先権を主張していない場合、または第1項1 号、2号の規定の違反により主張していないとみなされた場合は、
 最先の出願日から16月以内に、優先権の回復を請求し、ならびに出願料金を納付し、第1項の行為を補正することができる(同条4項)。

                                              
                                                                                                 ▲TOPに戻る

 
21.早期審査等

 21.1 優先審査請求制度
  特許出願の公開後、特許出願人でない者が業として特許出願に係る発明を実施している場合、特許主務官庁は、請求により、当該特許出願を
  優先的に審査することができる(専利法第40条)。

 21.2 特許早期審査AEP(Accelerated Examination Program)
  (発明専利早期審査作業方案(2022年1月1日施行))

   特許早期審査制度(AEP(Accelerated Examination Program))は、2009年から運用が開始されており、日台PPHよりも古い制度である。
   申請には以下の4つの事由のうち、いずれかに該当する必要がある。
   [事由1] 対応する外国出願が外国特許庁の実体審査を経て登録査定されたもの
   [事由2] 対応する外国出願が、米国、日本、欧州特許庁の審査意見通知書及びサーチレポートの発給を受けているが、審査結果は出ていないもの
   [事由3] ビジネスの実施上、必要とするもの
   [事由4] グリーンテクノロジーに関するもの
  台湾智慧財産局(経済部智慧財産局)から発表した2022年9月までのAEP審査統計簡表により、AEP申請した場合の、最初のOAが
   発行されるまでの平均日数は、[事由1]の場合47.5日(2022年1月~9月)である。

  21.3 台日特許審査ハイウェイ(PPH MOTTAINAI)制度
   2012年5月から、台湾と日本との間で特許審査ハイウェイの試行プログラムを実施し、2020年5月1日から台日特許審査ハイウェイプログラムを
   本格実施した。
  特段の事情がない限り、継続してPPHが利用可能である。
   PPH MOTTAINAI制度を利用できる要件として、日本特許庁(JPO)が審査を経て日本の優先権基礎出願の少なくとも1項以上の請求項を
   特許可能と認めれば、出願人はそれに基づき台湾の対応出願について早期審査を申請できる。 但し、JPOの特許査定を取得した出願人が台湾で
   早期審査する場合、台湾の特許請求範囲は JPOが特許査定した 特許請求範囲と完全に同一に又は減縮するよう補正しなければならない。

   請求できる時期は、審査請求済みで審査開始通知書受領後、且つ最初の審査意見通知がされるまで。
   台湾智慧財産局から発表した2022年9月までのPPH統計簡表により、PPH申請した場合の、最初のOAが発行されるまでの平均日数は
   42.8日(2022年1月~9月)である。

                                                                                              ▲TOPに戻る


22.特許権の存続期間と起算日

 公告日から特許権の効力が発生し、存続期間は出願日から起算して20 年をもって満了とする(専利法第52条)。
 医薬品、農薬又はその製造方法に係る発明特許権の実施は他の法律の規定により、許可証を取得しなければならないものについて、
 その取得が特許出願の公告日の後である場合、特許権者は1回目の許可証をもって、特許権の存続期間を1回に限り延長を申請することができる。
 また、当該許可証による特許権の存続期間の延長申請は1回に限る(専利法第53条)。

 なお、特許権の存続期間の延長を申請するものについて、特許主務官庁が本来の特許権存続期間の満了時に、なおも査定していない場合、
 その期間延長が許可されたものと見なす。ただし、審査の結果、延長が拒絶された場合、その特許権の存続期間は、本来の特許権存続期間が
 満了した日までとする(専利法第54条)。

23.拒絶査定不服審判制度

 出願人は、拒絶査定に不服がある場合、査定書送達後2月以内に理由書を添付して再審査を請求することができる(専利法第48条)。
 再審査を請求する際、明細書、特許請求の範囲又は図面を補正することができる(専利法第49条1項)。

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24.公告
 特許出願された発明は、許可査定後、出願人は査定書送達後3月以内に証書料及び1年目の特許料を納付しなければならず、
 前記の費用が納付された後はじめて公告される(専利法第52条1項)。
 出願人が故意により第1項又は専利法51条第4項に定める納付期限を過ぎたものでなければ、納付期間が満了後6月以内に、
 証書料及び1年目の特許料の2倍を納付した後、特許主務官庁によりこれを公告することができる(専利法第52条4項)。


25.異議申立制度

 なし
 特許の異議申立制度は2004年の法改正により廃止されている。

                                                                                                                                                                                          
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26.無効審判
 特許権に次のいずれかの事情がある場合、何人も特許主務官庁に無効審判を請求することができる(専利法第71条1項)。
  ・法上の発明に該当しない(専利法第21条)
  ・産業上利用することのできない発明である(専利法第22条第1項柱書)
  ・新規性要件違反(専利法第22条1項)
  ・進歩性要件違反(専利法第22条2項)
  ・拡大先願違反 (専利法第23条)
  ・特許を受けることができない発明 (専利法第24条)
  ・明細書・請求項の記載要件違反 (専利法第26条)
  ・先願でない(専利法第31条)
  ・特許実用新案同日出願違反 (専利法第32条1項、3項)
  ・分割における新規事項追加(専利法第34条4項、6項前段)
  ・補正における新規事項追加(専利法第43条2項)
  ・外国語出願の中国語翻訳文は原文新規事項違反(専利法第44条2項、3項)
  ・訂正における出願時新規事項追加違反等(専利法第67条2項、3項、4項)
  ・出願変更における新規事項追加違反(専利法第108条第3項)
  ・特許権者の属する国が台湾人民の特許出願を受理しない場合(専利法第71条1項2号)

  ・共同出願違反または冒認出願該当(専利法第71条1項3号)(利害関係者のみが請求する(同条2項))
利害関係者は、特許権の取消により回復できる法律上の利益がある場合、特許権の当然消滅後も、無効審判を請求することができる(専利法第72条)。

 
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27.訴願
 27.1 訴願できる者
  下記の者が、権利又は利益が損害を受けたと認めた場合、訴願法に基づき訴願主務官庁に対して訴願(行政不服)を提起することができる。
  訴願決定に不服の場合は、智慧財産法院に対して行政訴訟を提起することができ、依然として棄 却判決が下されたときは、最高行政法院に対して
  直接上訴することができる。
   ・出願手続で拒絶査定を受けた出願人
   ・無効審判で無効審決を受けた被請求人
   ・無効審判で棄却審決(権利維持審決)を受けた請求人

 
27.2 訴願の期間

  行政処分の送達後の翌日または公告期間満了翌日から30日以内(訴願法第14条1項)。

 27.3 訴願の決定
  訴願決定は、訴願書の受領日の翌日から3か月以内に行われる(訴願法第85条1項)。

  訴願に理由がある場合は、原処分を取り消して処分内容を変更する決定、または、処分を取り消して台湾特許庁に差し戻す決定がなされる
 (訴願法第81条1項)。


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28.訂正審判
 発明特許権者は、次の各号のいずれかの事項についてのみ、特許明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる
  (専利法第67条1項)。
   ・請求項の削除
   ・特許請求の範囲の減縮
   ・誤記又は誤訳の訂正
   ・明瞭でない記載の釈明
 訂正は、誤訳の訂正のほか、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている範囲を超えてはならない(同条2項)。

 外国語書面出願の誤訳訂正は、出願時の原文範囲を超えてはならない(同条3項)。
 訂正は、公告時の特許請求の範囲を実質的に拡大又は変更してはならない(同条4項)。


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29.冒認出願

  発明特許権は、特許出願権者若しくは特許出願権共有者が当該発明特許の公告日から2年以内に無効審判を請求し、
  かつ審決で無効が確定した日から2月以内に同一の発明について特許出願した場合、当該無効が確定された発明特許権の出願日を
  その出願日とする(専利法第35条)。

30.特許証番号表示
  特許に係る物には、特許証番号を表示しなければならない。特許に係る物にこれを標示できない場合は、ラベル、包装、又はその他の他人に
  認識させるに足る顕著な方法をもって、これを標示することができる。
  特許証番号を表示しなかった場合、損害賠償を請求するときには、当該物品が特許に係るものであることを侵害者が明らかに知っていたこと、
  又はそれを知り得たことを立証し、証明しなければならない(専利法第98条)。

31.加盟している条約
  WTO協定