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シンガポール 新出願システム(IPOS Digital Hub)導入と手続き、料金改定

2022年 4月26日
浅村特許事務所 知財情報


シンガポール 新出願システム(IPOS Digital Hub)導入と手続き、料金改定


 

 

 シンガポール知的財産庁(IPOS)は、従来の電子サービスプラットフォーム(EOS:Electronic Online System)に代わり、新たな出願システム「IPOS Digital Hub」を導入します。

 

この「IPOS Digital Hub」の導入に伴い、手続き、及び、料金改定が行われます。

経過措置

なお、新システムへの移行期間として、以下の措置が設けられています。

 ・EOSは2022年 4月29日 00:00 に廃止され、IPOSが2022年 5月 4日 00:00 に稼働します。

 ・2022年 4月29日(金)から2022年 5月 8日(日)までに到来する期限は、自動的に翌営業日である2022年 5月 9日まで延長されます。

 

特許 改正概要

1.英語による国際出願の公開のための様式と手数料の廃止

 英語以外の言語で国際出願を行い、公開する場合に、シンガポール国内段階での英語翻訳文の公開を請求するための様式と手数料が不要となります。

 英語による翻訳が国内段階への移行要求と共に提出されれば、英語による公開を行い、その公開により公開日からの損害賠償請求などの仮の権利が与えられます。

 この改正は、法律改定の施行日(2022年4月29日)以降にシンガポールで国内段階に移行したすべての国際出願に対し適用されます。

 施行日前にシンガポールで国内段階に入った国際出願については、別途請求と手数料の支払いが必要となります。なお、施行日前にシンガポールで国内段階に入った国際出願については、英語翻訳文の公開について別途請求と手数料の支払いが必要です。

 

2.要約の図は最大2つまで

 要約に記載する図の数は、最大2つまでしか認められません。

 

3.特許審査手続中に所定の事情により所定の書類を提出する義務の撤廃

 先の関連出願に関する文書が既に提出済みであって、所定の場合には、出願人は、先の関連出願のコピーまたはその英訳を提出する必要はありません。

 

4.配列表(シーケンスリスト)の形式の変更

 WIPO加盟国は、国内、広域および国際レベルで提出された特許出願に含まれるすべての配列表につき、2022年7月1日からWIPO標準ST.26に準拠しなければならないことに合意しました。そのため、202271日以降の出願はWIPO標準ST.26を準拠した表示を行う必要があります。

 配列表とは、特許出願に開示されているヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含み、説明記述の一部を形成しているもので、アノテーションと呼ばれる各配列に関する説明的な情報が含まれているものです。

 

5.実質審査中の軽微な補正のための新運用の導入出願書補正の要

 実体審査において、審査官が明細書の軽微な補正により出願が許可される可能性があると判断した場合、審査官は、2ヶ月以内に当該補正を行うよう出願人に求める通知を発行することができます。このような軽微な補正の例としては、誤ったクレームの従属性(の問題のみの場合)に対処するための補正が挙げられます。

 このような軽微な補正をしても当該問題が解決されない場合には、審査官は、既存の対応通り、最初の又はさらなる意見書を発行することができます。

 出願人は、所定の書式を提出して積極的に補正の要請を辞退するか、あるいは、補正の要請に対し応答期限を経過迄放置するかの、いずれかを選択できます。

 いずれの場合も、審査官は、既存の実務に従って、最初の又は追加の意見書を発行することができます。

 この新運用は、以下の出願が対象となります。

   a)  施行日(2022年 4月29日)時点で実体審査が開始されているが完了はしていない全ての特許出願
   b)  施行日(2022年 4月29日)以降に提出されたすべての実体審査請求
 ただし、補充審査が進行中の既存の出願又は補充審査を受ける新規出願には、新運用は適用されません。

 

6.審査対象をクレームに記載されている最初の発明に限定する場合

 実体審査において、出願に2つ以上の発明が含まれていることが判明した場合、審査はクレームに記載されている最初の発明に限定される場合があり、出願人にも適宜通知されます。

 

7.出願内容の閲覧はIPOS Digital Hubを介してのみ利用可能

 施行日(2022年 4月29日)以降に行われた出願閲覧請求は、IPOS デジタルハブのアカウントを持つ請求者のみが利用できます。

 

8.第34条に基づく書面による権限を請求するためのシンガポール住所要件の撤廃

  シンガポールの居住者は、施行日以降、IPOSデジタルハブアカウントを必要とせずに、特許出願をシンガポール国外に提出する、又はシンガポール国外に提出するために、書面による権限を請求できます。IPOS は、電子メールを通じて当該出願者と連絡します。

 

9.オフィシャルフィー(抜粋)

  出願料              170   SG$   (旧料金  160 SG$)

  調査請求料             1,735  SG$   (旧料金 1,650  SG$)

     審査請求料          1,420  SG$   (旧料金 1,350  SG$)

  調査/審査組合せ請求料   2,050     SG$   (旧料金 1,950  SG$)

  特許付与料          210     SG$   (旧料金     200  SG$)

     20項を超えるクレーム    40 SG$/項 (旧料金        40  SG$/項)

     年金(出願した年を第1年度とする)

           第5年  165  SG$   (旧料金   140  SG$)

           第6年  165  SG$   (旧料金   140  SG$)

           第7年  165  SG$   (旧料金   140  SG$)

           第8年  430  SG$   (旧料金   370  SG$)

           第9年  430  SG$   (旧料金   370  SG$)

            第10年  430  SG$   (旧料金   370  SG$)

            第11年  600  SG$   (旧料金   520  SG$)

            第12年  600  SG$   (旧料金   520  SG$)

            第13年  600  SG$   (旧料金   520  SG$)

            第14年  775  SG$   (旧料金   670  SG$)

            第15年  775  SG$   (旧料金   670  SG$)

            第16年  775  SG$   (旧料金   670  SG$)

            第17年  945  SG$   (旧料金   820  SG$)

            第18年  945  SG$   (旧料金   820  SG$)

            第19年  945  SG$   (旧料金   820  SG$)

            第20年  1,120 SG$   (旧料金    970  SG$)

            第21年  1,380 SG$   (旧料金 1,200  SG$)

            第22年  1,380 SG$   (旧料金 1,200  SG$)

            第23年  1,380 SG$   (旧料金 1,200  SG$)

            第24年  1,380 SG$   (旧料金 1,200  SG$)

            第25年  1,380 SG$   (旧料金 1,200  SG$)

 

なお、この IPOS Digital Hub の導入に伴う、手続き、及び、料金改定の詳細は、IPOSのウェブサイトをご覧ください。