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カナダ 2022年の特許規則改正案を公表

浅村特許事務所 知財情報
  2022年 2月17日


カナダ 2022年の特許規則改正案を公表


 

 
 カナダ連邦政府は、2022年に超過クレーム料と継続審査請求(RCE)制度を新設する特許規則の改定案を発表しました。
 なお、この特許規則の改定は正式な発表ではなく、今後内容が修正、発効時期が延期される可能性がある点にご注意ください。

 この超過クレーム料と継続審査請求(RCE:Request for Continued Examination)の導入という特許規則改正案の発効により、カナダ知的財産局の特許審査は大きく変更されることが予想されます。
 この改正案の目的は、特許審査プロセスを合理化し、審査の迅速化、及び、不必要な審査遅延を回避することにあります。

 

1.改正案の発効日

この改正案の発効日の正式な発表はまだ行われていませんが、2022年(おそらく2022年7月1日まで)には発効がされるものと予想されています。

 

2.具体的な変更内容

(1)超過クレーム手数料の新設

 審査請求時にクレーム数が20を超える場合、超過クレーム数ごとに100カナダドルの手数料が請求されます。さらに、特許付与の最終手数料(維持手数料)を支払う際にクレーム数が20を超える場合、20を超えたクレーム数ごとに、100カナダドルが請求されます。

 例えば、審査請求時のクレーム数が30であって、維持(最終)手数料の支払い時のクレーム数が35となっている場合、出願人は

審査請求時に

1,000カナダドル :(30 claims-20 claims)・100 C$=1,000 C$

維持(最終)手数料支払い時に

    500カナダドル :(25 claims-20 claims)・100 C$=500 C$

の合わせて1,500カナダドルを、超過クレーム手数料として支払うことになります。

 なお、マルチクレームについては、クレーム数の加算はありません。

 

(2)継続審査請求(Request for Continued Examination:RCE)の新設

 継続審査請求(RCE)とは、拒絶の最終状態を解決するための手段であって、同一出願内で審査の継続を求める請求のことをいいます。アメリカ特許法にはRCE制度がすでに存在します。

 3回目のオフィスアクションを受けた後(すなわち、3回目のオフィスアクションが発行される前に出願人が許可通知を受け取らなかった場合)、審査は停止されます。審査の継続を希望する場合には、3回目のオフィスアクションへの応答時、及び、その後の2回目のオフィスアクションへの応答時に、審査継続の請求(継続審査請求:RCE)を行う必要があります。なお、RCE手数料は816カナダドルです。

 出願人が最後のオフィスアクションから4ヶ月以内にRCEを提出しない場合、その出願は放棄されたものとみなされますが、12ヶ月以内の回復の請求期間が設けられます。

 

3.出願人の対応            

 改正特許規則が発効される前に審査請求された出願には、超過クレーム料とRCEは適用されません。

 今回の超過クレーム料とRCE手数料を回避するには、改正特許規則が発効される前に審査請求を行う必要があります。
 ただし、これらの手数料を回避する利点と、クレーム数、審査請求期限、外国の法域における対応出願の状況(外国特許を活用してカナダの審査を効率化する)などの要因を考慮して、ケースバイケースで慎重に判断する必要があります。

 改正特許規則発効の事前通知期間はかなり短いと予想されるため、早めにカナダの特許ポートフォリオの確認を始めるべきかと思われます。

 

4.2022年7月1日に実施される予定の他の改正案

(1)条件付許可通知(Conditional Notice of Allowance:CNOA)

 これもカナダ特許制度の新機能です。CNOAは、特許庁の裁量で発行され、特定の軽微な欠陥の補正を条件として、出願が許可される状態にあることを出願人に通知します。出願人がそのような欠陥に対処し、最終手数料を支払えば、出願は許可に進みます。

 

(2)配列表(シーケンスリスト)の形式の変更

 WIPO加盟国は、国内、広域および国際レベルで提出された特許出願に含まれるすべての配列表につき、2022年7月1日からWIPO標準ST.26に準拠しなければならないことに合意しました。このPCT規則の変更に伴い、カナダの特許規則における「PCTシーケンスリスト基準」は、WIPO標準ST.26に規定された新しい基準への参照に置き換えられます。

 配列表とは、特許出願に開示されているヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含み、説明記述の一部を形成しているもので、アノテーションと呼ばれる各配列に関する説明的な情報が含まれているものです。

 なお、WIPO加盟国がWIPO標準ST.26を準拠すべき日は、当初2022年1月1日を予定していましたが、2022年7月1日に延期されています。