2022年 2月24日
浅村特許事務所 知財情報
台湾 2022年「商標法」「著作権法」の一部改正案を可決
台湾知的財産局は「商標法」及び「著作権法」の一部条文改正案を提出していましたが、この度、2022年1月20日に行政院会議を通過し、立法院の審議へ送られました。
1.改正商標法の概要
(1)超過クレーム手数料の新設
現行商標法における、登録商標を摸倣したラベル等の製造、所持等の行為についての民事責任について、侵害行為者が「明らかに知っていた」という主観的要件規定を削除し、通常の民事損害賠償責任の「故意」又は「過失」を要件とする規定に戻す(改正第70条③)。
(2)刑事罰行為範囲の拡大
摸倣した商標又は団体商標のラベルや包装等を台湾国内に輸入する行為に対し、新たな刑罰規定を追加する。製品の部品等を別々に輸入し、台湾国内で製造販売する行為に対し、現行制度では民事責任のみ課されていた。
この度、国際基準に合わせ刑事罰も科すことができるよう商標法を改正するもの。
かかる権利侵害を準備及び補助する行為に刑事罰を科すことで。商標権者の商品販売及び利益獲得を増やすこと等の保護強化を図ることを目的としたもの(改正第95条)。
(3)主観的要件の削除
証明標章権者の同意を得ずに、登録証明標章と同一又は類似の標識を付したラベルを摸倣した商品を販売又は販売を意図して製造、所持、展示する権利侵害行為について、「明らかに知っていた」という主観的要件が削除される。
侵害を予見できる間接的な故意の行為を刑事責任に含める行為規定に戻すもの(改正第96条及び第97条)。
2.改正著作権法の概要
(1)デジタル形式による違法な複製、頒布及び公衆送信行為を親告罪から非親告罪に変更
デジタル形式による違法な複製、違法複製物と知りながら頒布及び無断での公衆送信行為を非親告罪とする。即ち、告訴無しで、訴追される(改正第100条)。
(2)「他人が有償提供する著作物(有償著作物)の侵害」、「原作のままの複製」、「100万新台湾ドル以上の損害」を重大侵害の三要件と定め、著作権者の保護を強化
(3)海賊版光ディスクの複製、頒布に対する刑加重の規定を削除
海賊版光ディスクはデジタル形式による違法複製物の範囲に含まれるため(改正第100条)、現行法における海賊版光ディスクの複製、頒布に対する刑加重の規定を削除し、通常の複製、頒布罪の刑事罰の規定に戻すとともに、対応する没収(刑罰)、没収(行政罰)の規定も削除する(第1条③、91条の1③、98条及び98条の1を削除)。