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【カナダ】医療用途に関する改正審査実務

浅村特許事務所 知財情報 
 2015年4月15 日


【カナダ】医療用途に関する改正審査実務


 

[カナダ、医療用途に関する改正審査実務(特許)]

先の判決(AbbVie事件)を反映させるために、これまでの審査実務に換わる新しい審査実務(PN 2015-01)が発表され、“投与量範囲”及び“範囲を含む投与計画”を含む医療用途クレームの審査ガイドラインが改正された。これにより、当該範囲がクレームの本質的要素であり、当該本質的要素がどのようにして患者を治療すべきかを医者に指図するためだけにあり、且つ『当該本質的要素が医者の専門的技術及び判断を制限する場合に』、当該医療用途クレームは、治療方法を含み、特許法第2条の発明の定義を満たさないと判断されることになった。

 

(1) 判決の概要

上記AbbVie Biotechnology社vs司法長官の事件(判決:2015年1月20日)において、問題のクレーム中、投与量及び投与間隔が“範囲”としてではなく、“一定値”として規定されており、且つ、クレームの範囲内において、“医者の専門的技術及び判断力の発揮は要求されていない”ので、問題のクレームは治療方法をクレームしておらず、特許性を有すると判示された(2015年2月発行、IPグローバル情報第224-5号参照)。

 

(2) 改正審査実務の発表

この判決を受けて、審査官宛の医療用途に関する審査実務[Examination Practice Respecting Medical Uses](PN 2013-04(2013年6月10日))が改正され、発表された(特許通知:PN 2015-01(2015年3月18日))。

 

(3) 改正審査実務の適用対象

本ガイダンスは、“疾患Yを治療するためのプロダクトXの使用”という形式におけるクレームに適用され、更に、“疾患Yを治療するための医薬の製造のためのプロダクトXの使用”若しくは“…疾患Yを治療するためのプロダクトX”等の形式におけるクレーム、又は、用途それ自体に対するクレームであると解釈される表現を有するクレームに適用される。

 

(4) 改正審査実務の概要

MOPOP 17.02.03[Medical and surgical of methods]は、一般的にガイダンスの基礎となり得るが、投与計画及び投与量範囲を含む医療用途クレームの審査には、効率性、予見性、及び再現性を有する審査を確保するために、特別なガイダンスが必要である。

そこで、このガイダンスは、特に、投与計画又は投与量範囲を記載するクレームの審査に関し、最初の項目(A)には、一般的なクレーム審査の手順が記載され、次の項目(B)には、主題の評価手順が記載されている。

 

A) クレーム審査

[合目的的解釈により、課題及び解決手段(要素)を特定し、要素のうち本質的な要素を特定する]

クレーム審査は、合目的的解釈により行うこととされており(PN 2013-02)、先ず、明細書及び技術常識を考慮して、“課題”及び“解決手段”を特定する。

解決手段は、発明者が取り組んだ課題をうまく解決するのに本質的な要素又は要素のセットであり、新規な化合物、化合物の新規な用途、既知の用途の改良(精製等)等が挙げられる。

次に、その解決手段に対して、クレーム中のどの要素が本質的であるかを特定する。

 

B) 主題

[Aの項目で特定した本質的要素に基づいて主題の特許性を検討する]

上記Aの項目で特定した“本質的要素”に基づいて、クレームの主題が特許性を有するかについて主題の評価を行う。

発明の主題は、第2条に規定されるいずれかのカテゴリー(技術、プロセス、機械、生産品、組成物、又はこれらの改良)に含まれることが必要であり、治療方法及び手術方法は法定の発明主題ではなく、発明の定義から排除されることが確立されている(Tennessee Eastman事件等)。

しかし、医療用途クレームは、積極的治療又は手術工程を含まず、他の特許要件を満たす限り、一般的に認められるが、連邦裁判所は、確立された目的のために既知の化合物を使用する際、医者の専門的技術及び判断力の発揮を妨げる発明は治療方法を対象とする、と判示した。

医療発明について、発明者が取り組む課題は、“何を”治療に使用すべきかに関し、当該課題の解決手段は、一般的に、化合物、組成物、製剤、又は投与単位形態等の治療ツールを具体化するクレーム中の要素又は要素のセットによりなる。

クレーム中に投与計画又は投与量範囲を記載するのみでは、必ずしも非法定のクレームとは言い得ず、上記合目的的解釈により、投与量範囲又は範囲を含む投与計画が、確立された治療における既知の化合物の使用を含むクレームの本質的要素であると判断された場合に、当該クレームは治療方法を対象としている可能性があると言い得る。

その本質的要素が、“どのようにして”患者を治療すべきかを医療の専門家に単に指図するためだけにある場合、『その本質的要素が医者の専門的技術を妨げたり、あるいは必要としたり(して、その発揮を制限)するかを判断しなければならならず、その結果、制限すると判断された場合、』クレームされた用途は、第2条に適合しない治療方法を含むと結論付けられる(『』内が、本改正において追加された箇所である)。

ここで、医者の専門的技術又は判断を制限することを示す本質的要素には、『範囲を含む』投与計画の詳細を示す要素、及び(投与形態の範囲とは異なる)患者が受け取る投与量範囲を示す要素が含まれ、一方、当該制限を示していない本質的要素には、『一定の投与量、一定の投与量計画』、患者の部分母集団、又は『特定の』投与部位に、治療を狭める要素が含まれるであろう(『』内につき、上記と同様)。

 

PN 2015-01

http://www.ic.gc.ca/eic/site/cipointernet-internetopic.nsf/eng/wr03916.html

 

MOPOP (Manual of patent office practice:審査基準 )(17.02.03)

https://www.ic.gc.ca/eic/site/cipointernet-internetopic.nsf/eng/wr01611.html#itm17_02_03

 

PN 2013-04

http://www.cipo.ic.gc.ca/eic/site/cipoInternet-Internetopic.nsf/vwapj/wr03655-eng.pdf/$file/wr03655-eng.pdf

 

PN 2013-02

https://www.ic.gc.ca/eic/site/cipointernet-internetopic.nsf/vwapj/PN2013-02-eng.pdf/$file/PN2013-02-eng.pdf

 

 


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