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【韓国】大法院の判示

浅村特許事務所 知財情報 
 2014年7月 20 日


【韓国】大法院、登録後の使用により権利範囲確認審判の審決時に識別力を獲得するに至った場合は、その要部に基づいて商標の類否を判断すべきであると判示


 

【要約】

商標の登録決定時には識別力を有していなかった場合でも、その商標を全体として使用することにより、又はその一部を分離して使用することにより、権利範囲確認審判の審決時において、識別力を獲得するに至った場合には、それを商標の要部として、商標の類否を判断すべきであると判示した。

 

大法院は、全員合議体により、商標の類否判断に関する判決(2011Hu3698判決)を下した(2014年2月20日)。

本判決において、大法院は、登録決定時には識別力を有していなかった場合でも、その後の使用により識別力を獲得した場合には、商標権の権利範囲確認審判の審決時において、それに基づいて確認対象標章との類否判断をすべきであると判示した。

 本判決により、権利範囲確認審判において、商標の類否を判断する際、登録商標の構成要素のうち登録決定時に識別力を有していなかった部分は、たとえ、使用により審決時に識別力を獲得したとしても、登録商標の要部にはならない旨判示した先の大法院判決(2005HU728判決2007年12月13日)が変更された。

 

[1] 事件の説明(当事者及び経緯)

(1) 当事者

 ニューバランス社(NEW BALANCE ATHLETIC SHOE, INC.)は、指定商品を「傘、杖、扇、運動靴」として下記(I)の商標の登録を取得した(1984年)。

 一方、ユニスター社(ユニスター株式会社)は、下記(II)の商標を付した「運動靴」を販売していた。

そこで、ユニスター社は、運動靴への商標(II)の使用がニューバランス社の登録商標(I)の権利範囲に属さない旨の審決を求めて、消極的権利範囲確認審判を特許審判院に請求した。

(2) 特許審判院における消極的権利範囲確認審判

 特許審判院は、ユニスター社の商標(II)はニューバランス社の登録商標(I)と類似する部分はあるものの、これは識別力のない部分であるため、要部にならないから、両商標は、全体として非類似であると判断し、ニュースター社に有利な審決を下した。

 これに対して、ニューバランス社は、この審決を不服として、2011年8月に特許法院に審決取消訴訟を提起した。

(3) 特許法院における審決取消訴訟

特許法院は、先の大法院の判決に従って、特許審判院の審決は適法であると判断し、ニューバランス社の請求を棄却する判決を下した。

そこで、ニューバランス社は、この判決を不服として、大法院に上告した。

 

[2] 大法院における判断

 大法院は、登録商標の全体又は一部の構成要素が、登録時においては識別力がないかあるいは弱かった場合でも、その後、その登録商標を全体として、又は一部を分離して使用することにより、権利範囲確認審判の審決時においては、需要者により何人かの商品を表示するものとして顕著に認識できる程度に至って、中心的な識別力を有するようになった場合には、これに基づいて商標の類否を判断すべきであると判示した。

 また、大法院は、ニューバランス社の登録商標について、登録時には、「靴」の部分は指定商品である「運動靴」の形状を普通の方法で表示したものであるから識別力がなく、また、「N」の部分は、簡単で且つありふれた標章である英文字「N」を平凡な書体を用いて台形のパッチに陰刻したものに過ぎないので識別力が弱かった。

しかし、その後、ニューバランス社によって、登録商標の「N」の部分が商品「運動靴」について使用された結果、2009年頃からは需要者の間で何人かの商品を表示するものであるかが顕著に認識できる程度に至ったと認められるので、少なくとも審決時には需要者により出所が認識される中心的な識別力を有するに至ったとみなすべきであると判断した。なお、当該「N」の部分が他の構成と結合されたとしても、それは「N」の部分を浮き彫りにした背景等にすぎず、「N」の部分の識別力は減殺されないと判断した。

 従って、大法院は、ユニスター社の使用商標においては、「N」の部分が顕著に認識される中心的な識別力を有する部分であり、これは、ニューバランス社の「N」の部分と称呼及び観念が同一であるので、ユニスター社の使用商標(II)とニューバランス社の登録商標(I)とは互いに類似するというべきであると判示して、原判決を破棄し、特許法院に差戻した。

 

 


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