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韓国 特許法及び審査基準の改正

浅村特許事務所 知財情報 
 2014年 7月 25日


韓国 特許法及び審査基準の改正


 

【要約】

特許法の改正により、英語による明細書の提出が可能になると共に、英語明細書に基づく誤訳の訂正が可能となり、更に、明細書の記載要件も緩和され、論文等の様式で「発明の説明」を記載することが可能となる。

また、外国語出願の場合、新規事項の判断のための基準明細書が外国語原文明細書となり、特許権の回復のための要件も緩和され、特許発明を実施していることを証明する必要がなくなると共に、割増特許料の額も引き下げられた。

また、審査基準の改正により、コンピュータソフトウェアに係る発明が保護対象に含まれることになった。

 

[1] 特許法の改正

 下記(1)~(3)の項目については、2015年1月1日以降の出願に対して適用され、(4)の項目については、2014年6月11日から施行されている。

 

(1) 出願日確保のための要件が緩和される。

① 明細書の記載事項における緩和

  「発明の説明」を、学術論文、研究ノート、又はアイデアの説明資料等の様式で記載することが可能となる。

   この場合、出願人は、最先の出願日から1年2か月以内に、明細書に特許請求の範囲を追加する補正をしなければならない。

   当該補正をしない場合、出願は取下げられたものとみなされる。

② 明細書の作成言語における緩和

  明細書を英語で作成した外国語出願をすることが可能になる。

  この場合、出願人は、最先の出願日から1年2か月以内に韓国語による翻訳文を提出しなければならない。

  この期間内に当該翻訳文の提出をしない場合、出願は取下げられたものとみなされる。

 

(2) 誤訳の訂正が可能になる。

 英語による外国語出願をした出願人は、補正ができる期間内に、英語明細書に基づき韓国語による翻訳文における誤訳を訂正することができる。

また、国際特許出願(PCT出願)の韓国語による翻訳文についても、国際特許出願に係る外国語による原文明細書に基づいて、誤訳の訂正が可能になる。

 なお、新規事項が追加されたかどうかの判断基準に関しては、審査段階では、外国語による原文及び韓国語による翻訳文に記載された全ての事項を基準として判断されるが、特許登録後は、外国語による原文に記載された事項のみが判断の基準となる。

 

(3) 国際特許出願の翻訳文提出期間が1か月延長可能になる。

 外国語でされた国際特許出願に対する韓国語による翻訳文は、改正前は、最先の出願日から31か月以内に国内移行手続の際に提出する必要がある。

これに対して、改正後は、国内段階移行の際に延長のための手続をすることにより1か月間の延長が可能となり、最先の出願日から32か月以内に韓国語による翻訳文を提出することができるようになる。

 

(4) 特許料の未納により消滅した特許権の回復のための要件が緩和される。

 改正前は、特許料納付期間の経過後6か月の追納期間内に特許料を追納しなかったために、特許権が消滅した場合、当該追納期間の経過後3か月以内に、特許発明を実施していることを証明し、且つ納付すべきであった特許料の3倍の金額を納付することにより、特許権を回復することができる。

 これに対して、改正後は、特許発明の実施の証明が不要となり、追納期間の経過後3か月以内に、納付すべきであった特許料の2倍の金額を納付することにより、特許権を回復することができるようになる。

 

[2] 審査基準の改正

 「コンピュータ関連発明」の審査基準が改正されて、コンピュータソフトウェアに係る発明が特許の保護対象に含まれることになった。なお、この改正は2014年7月1日以降に出願された特許出願に対して適用される。

① 審査基準の名称が、「コンピュータソフトウェア関連発明の審査基準」と変更され、コンピュータソフトウェアが保護対象に追加されたことが明確にされている。

② コンピュータソフトウェアに係る発明には、コンピュータプログラム、アプリケーション、プラットフォーム、オペレーティングシステム(OS)等が含まれ、物の発明のカテゴリに分類されて、コンピュータソフトウェア関連発明が特許適格性を有する発明主題として保護対象に含まれることになった。

 

 

 


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