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韓国 商標法改正

浅村特許事務所 知財情報 
 2014年 7 月 18 日


韓国 商標法改正


 

【要約】

使用により識別力を獲得した商標は、顕著でなくても登録されることになった。また、著名商標の識別力を希釈化する等のおそれのある商標の登録が禁止されることになった。更に、不正目的による商標登録出願の登録も禁止されることになった。また更に、他人の芸名を使用する等、不正競争行為による登録商標の使用には、その他人の同意が必要となった。そして、そのような登録商標を取消すことも可能となった。

 

今回改正された商標法は、2014年6月11日以降に出願される商標登録出願に対して適用されることになる。以下、主な改正点を紹介する。

 

(1) 識別力の認定要件が緩和された。

 商品の性質を表示したもの等、本来は識別力に欠ける商標であっても、使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識できるようになれば、登録性を充足した識別力を獲得した商標と認定されることになる。ただし、証明責任は出願人にある。

 改正前は、後発的に識別力を獲得することで登録要件を充たすためには、顕著な識別力を獲得し、証明する必要があった(改正前6条2項)。

 これに対して、改正後は、顕著性を獲得するに至らない商標であっても、使用により獲得した識別力が周知のレベルで登録要件を充たすことになり、出願人の負担が軽減された(改正後6条2項)。

 

(2) 著名商標の識別力を希釈化する等の商標の登録が禁止されることになった(不登録事由の追加)。

 改正前は、著名商標であっても、それと非類似の商品又は役務に使用する商標は登録が認められていた(改正前7条1項10号)。

このため、著名商標とは非類似商品・役務を指定商品又は指定役務とする商標については、たとえ、識別力の希釈化や名声を毀損するおそれがあっても、その商標の登録を排除できなかった。

 これに対して、改正後は、著名商標とは非類似の指定商品又は指定役務であっても、著名商標の識別力及び名声を損なうおそれのある商標は登録されないことになった(改正後7条1項10号)。

 

(3) 不正の目的による商標登録出願に対する登録が禁止されることになった(不登録事由の追加)。

 改正前は、雇用関係等を通じて他人が使用等している商標であることを知りながら、その商標と同一・類似の商標を、同一・類似の商品又は役務を指定して出願した商標の登録を禁止する規定はなかった。

これに対して、改正後は、出願人が共同経営若しくは雇用等の契約関係、業務上の取引関係、又はその他の関係を通じて、他人が使用をしている又は使用の準備をしている商標であることを知りながら、その商標と同一・類似の商標について、同一・類似の商品又は役務を指定してした出願は、商標登録を受けることができないことになった(新設7条1項18号)。

 

(4) 不正競争行為による登録商標の使用を制限する規定及び取消す規定が新設された。

 他人の相当な投資や努力によって創出された成果などを示す商標について、本人に無断で商標登録がされてしまう場合がある。このような商標権者における登録商標の使用が、公正な商取引や競争秩序に反する方法であって、他人の経済的利益を侵害する行為であっても、法上、その行為を禁止し、又は商標登録を取消す手段がなかった。

 これに対して、改正後は、芸名、アーティスト名、グループ名、又は放送番組名等を使って商標登録を受ける等、他人の投資や努力によって得られた成果を、公正な商取引慣行及び競争秩序に反する方法によって、自己の営業のために無断で使用することより、他人の経済的利益を侵害する等、不正競争行為に該当する場合には、その他人の同意を得なければ、その登録商標を使用できないことになった(新設53条2項)。さらに、当該他人は、その登録商標を取消審判の請求により取消すことが可能になった(改正73条1項7号)。

 

 


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