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【米国】最高裁判所、Alice Corp. v. CLS Bank 事件においてCAFCの判決を是認

浅村特許事務所 知財情報 
 2014年6月 30 日


【米国】最高裁判所、Alice Corp. v. CLS Bank 事件においてCAFCの判決を是認


 

【要約】

米国の最高裁判所は、金融取引における決済リスクを緩和する手段を対象とするアリス社の特許について、Bilski事件及びPrometheus事件における判決と同様に、特許法第101条の特許適格性を満たさないとの判断をした。これは、地方裁判所及びCAFCにおける判決を是認するものである。なお、CAFCでは、意見が分かれていた。

 

米国最高裁判所は、2014年6月19日、単にコンピュータを用いて抽象的概念を実施するだけでは、特許適格性を付与するには十分ではないとして、問題の発明には特許法第101条の特許適格性がないとしたCAFCの判決を満場一致で是認した(CLS銀行事件:No.13-298)。

 

 本判決は、金融取引における決済リスクを緩和する手段を対象とするアリス社の4件の特許に関する。

アリス社の特許は、コンピュータを構成要素とする、方法のクレーム、システムのクレーム、及びコンピュータ読取可能媒体のクレームを含んでおり、4件の特許の明細書は、略同じ内容であった。

(なお、2010年に判決のあったビルスキ事件(Bilski v. Kappos)に係る特許出願のクレームには、コンピュータ技術を用いてどのように実現するかは記載されていなかった。)

 

 本判決において、最高裁判所は、クレームが特許適格性を有する発明主題を対象としているか否かを判断するための枠組みを設定したプロメテウス事件(Mayo Collaborative Services v. Prometheus Laboratories, Inc.)(2012年に判決)の判決を一部引用した。この枠組みの下では、裁判所は、先ず、当該特許クレームが、抽象的概念又は自然法則等の特許適格性のない概念を対象としているか否かを判断しなければならず、その結果が肯定的であれば、クレームの構成要素が「クレームの性質を」特許適格性を有する出願に「変換」可能な「(抽象的概念等を)かなり超えるもの」を提供しているかどうかを判断するために、クレームの構成要素を個別的に、且つ「指示された組み合わせとして」考慮しなければならない。

 

 本事件において、最高裁判所は、クレームは特許適格性のない概念(即ち、決済リスクを緩和するという抽象的概念)を対象としていることが明らかであると認定した。方法のクレームにおいて認定された付加的な特徴は、「純粋に従来的なもの」であり、且つ一般的なコンピュータ機能を発揮させるために一般的なコンピュータを必要としているに過ぎないと認定された。このような特徴では、クレームされた発明主題に特許適格性を付与するには十分ではない。

特に、最高裁判所は、『「コンピュータを用いてそれを実行する“apply it with a computer”」の表現を追加して、抽象的概念を記載すること』は特許適格性を付与するには不十分であるということに着目した。

また、システムのクレーム及びコンピュータ読取可能媒体のクレームについては「実質的に方法のクレームと相違がない」と判示され、方法のクレームと同様に特許適格性を有する発明主題ではないと判示された。

 

 本判決は、ビジネス方法特許及び幾つかのタイプのソフトウェア特許を抑制する方向に作用する上記ビルスキ事件及びプロメテウス事件等、近年の判決と同様である。

 

 最高裁判所は、本判決において、「(抽象的概念を)かなり超えるもの」がある場合を特定するための明確な基準を提供しなかったが、これまでの事件におけるように、最高裁判所は、全てのコンピュータ関連発明について特許適格性を否定するものではない。判決から、「コンピュータ自体の機能を改良する」か、あるいは、「他の技術又は技術分野において改良をもたらす」方法のクレームは、「(抽象的概念を)かなり超えるもの」が含まれている限り依然として特許適格性を有することに着目していることは明らかである。

 

 

 

 

 

 

 


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