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アメリカ 最高裁判所、誘引侵害事件(Akamai v. Limelight)について差戻し判決

浅村特許事務所 知財情報
 2014年6月28日


アメリカ 最高裁判所、誘引侵害事件(Akamai v. Limelight)について差戻し判決


 

【要約】

被疑侵害者が、方法クレームの全てのステップは実施せず、一部のステップのみを実施し、残りのステップを他の者が実施するように仕向け実施させた場合でも(即ち、直接侵害が存在しない場合でも)、誘引侵害の責めを負い得ると判断したCAFCの判決を破棄し、“誘引侵害の責めを負う”というためには、単一の当事者が方法クレームの全てのステップを実施すること、即ち、直接侵害の存在が必要であると判示して、事件をCAFCに差し戻した。

 

2014年6月2日、アメリカ最高裁判所は、当事者は、直接侵害が存在しない状況下でも、誘引侵害の責めを負い得ると判断したCAFCの認定を、満場一致で破棄し、本事件をCAFCに差し戻した(事件番号12-786)。

 

事実関係:

アカマイテクノロジーズ社(以下、アカマイ社という。)は、ウェブコンテンツの効率的な配信方法に係る特許の専用実施権者である。

ライムライトネットワークス社(以下、ライムライト社という。)は、コンテンツデリバリーネットワークを運営しており、アカマイ社に係る特許の方法クレームのステップのうち、全てではないが、そのうちの多くのステップを実行し、「タグ付け(tagging)」と称するステップについては、ライムライト社の顧客が実行していた。

従って、単一の当事者として、アカマイ社に係る特許の方法クレームのステップの全てを実行している者はいない。

このような状況下で、ライムライト社は、アカマイ社から特許侵害を理由として訴えられた。

 

前審であるCAFCの判断:

CAFCは、方法クレームの一部のステップを実行し、残りのステップを他の者が実行するように仕向けた者(ライムライト社)は、直接侵害の責めを負う者がだれもいない場合であっても、誘引侵害の責めを負い得ると判示した(既発行の海外情報要約第212号(下記))。

 

最高裁判所の判断:

最高裁判所は、誘引侵害の責めは、直接侵害の存在を前提としなければならないので、方法クレームに係る特許を直接侵害(特許法第271条(a))した者がだれもいない場合に、当事者が誘引侵害(第271条(b))の責めを負うことはないと判示し、CAFCの判決を満場一致で破棄し、最高裁判所の判決に従って更に審理するため、当該事件をCAFCに差し戻した。

 

ご参考:

特許法第271条(特許侵害)

(a) 本法に別段の定めがある場合を除き、特許の存続期間中に、権限を有することなく、特許発明を合衆国において生産し、使用し、販売の申出をし若しくは販売する者、又は特許発明を合衆国に輸入する者は、特許を侵害することになる。

(b) 積極的に特許侵害を誘発する者は、侵害者としての責めを負わなければならない。

(以下、省略)

 

既発行の関連記事(抜粋) (2013年1月発行 海外情報要約第212号)

(ご参考までに、上記既発行の海外情報要約第212号の内容を以下に抜粋して示す。)

 

本事件は、CAFC大法廷において、誘引侵害について再審理した事案に関する。なお、本事件は、地方裁判所及びCAFCにおいて、非侵害と認定されていたが、CAFC大法廷は、6対5で、破棄、差戻しの判断を下した(2012年8月31日)。

 

[CAFC大法廷における審理]

 特許法によると、単一の行為者が侵害のすべての要素を行った場合、その行為者は、271条(a)の直接侵害の責めを負い、また、単一の行為者が別の行為者に侵害のすべての要素を行うように誘引した場合、その誘引した者は271条(b)の誘引侵害の責めを負うことになる。

しかし、侵害の責めを生じさせる行為を、2人以上で分担して実行した場合は、理論的な問題が生じる。

 

大法廷における争点:

被告が、クレームされた方法のうち幾つかのステップを実行し、残りのステップは他の者らが実行するように誘引した場合、その被告は誘引侵害の責めを負うか。

 

大法廷における判断:

CAFCは最近の判決において、271条(b)の解釈として、被疑侵害者が、クレームされたステップを実施する者(ら)の行為を、指示又は管理していなければ、特許権者の権利が、実施者(ら)による共同行為により明らかに侵害されている場合であっても、特許権者は救済されないと判示したが、本事件において、この解釈は、誤りであると結論付けた。

更に、2007年の判決において、CAFCは、ある者が誘引侵害の責めを負うには、単一の他の者が直接侵害の責めを負う必要がある、と判示した(BMC事件)が、本事件において、CAFCは、誘引侵害を認定するためには、クレームされた方法のすべてのステップが実行されなければならないが、すべてのステップが単一の主体によって実行されたことを証明する必要はないと判示した。

 

 


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