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ブラジル 広告機能を有する標章の登録要件を大幅に緩和

 2024年12月 9日
浅村特許事務所 知財情報


ブラジル 広告機能を有する標章の登録要件を大幅に緩和


 

 




 

ブラジル産業財産法(LPI)第124条(標章として登録を受けることができない標識)第Ⅶ号には、
単に宣伝手段としてのみ用いられる標識又は文言は、標章として登録を受けることができない旨が規定されています。

この度、ブラジル産業財産庁(INPI)は、2024年11月27日に商標ガイドラインを更新し、従来の第124条第Ⅶ号の厳格な解釈を変更して、 広告機能を有する標章の登録要件を大幅に緩和しました。

具体的には、商標は自他商品・サービスを識別する本質的な機能を有し、社会的コミュニケーションの手段として用いられていることから、 第124条第Ⅶ号は標章が排他的な広告機能を有する場合にのみ適用されるとし、

 ・広告機能*を発揮していること
 ・識別機能を発揮していないこと

のいずれの要件を満たす場合に限って、第124条第Ⅶ号が適用される(登録が認められない)としました。

従って、広告機能を有する標章であって、かつ、識別機能を発揮する標章は商標登録要件を満たす可能性があり、 スローガン、キャッチフレーズを有する標章について登録が認められる可能性が高まりました。
新たな商標ガイドラインは、2024年11月27日以降の出願から適用されます。
 

新たな商標ガイドラインには、「広告機能*を有する場合」が明示されています。

*広告機能を有する場合
 1. 標章を付された商品・サービスを推奨している場合
 2. 広告する製品・サービスの品質を開示する場合
 3. 企業の使命、価値観、アイデア、コンセプトを伝える場合
 4. 広告先に行動を起こすよう説得する場合
 5. 標章を付した商品・サービスについて競合他社との差別化を強調する場合

上記が立証され広告機能を有するとされた場合、登録可能性について商標全体としての一般的印象が考慮され、 当該広告機能が標章において機能する唯一のものであるか、若しくは、その標章が商品・サービスを識別するための識別力を十分有するか否が判断されます。

124条第Ⅶ号に該当する場合
広告機能を有する標章であって以下のいずれかの表現に該当する場合は、識別力がないとして124条第Ⅶ号に該当し登録が認められません。

 ・広告分野で一般的に使用される表現
 ・標章が付された商品・サービスの品質・質に関し、専ら説明的、比較的、宣伝的、美的な表現
 ・独創性に欠ける表現

124条第Ⅶ号に該当しない場合
識別機能と広告機能が同時に発揮される以下a)b)標識

a)識別機能と広告機能の組合せからなる標識

b)識別機能と広告機能の両方の機能を発揮する要素の組合せからなる標識
は、124条第Ⅶ号に該当しないため、登録が認められる可能性があります。
なお、所定の行為(予想外の要素、言葉遊び、複数の解釈が可能な用語等)の使用は、標識の識別力を高めることに寄与するとして判断がされます。   
124条第Ⅶ号に該当しない場合の具体例は、新たな商標ガイドラインに記載があります。

 

新たな商標ガイドラインの内容は、

 Atualizações – Manual de MarcasのItens 5.9.4 Sinal que exerce função de propaganda

 5·09 Análise do requisito de distintividade do sinal marcário – Manual de Marcas

をご参照ください。