2024年10月18日
浅村特許事務所 知財情報
アメリカ 特許期間調整(Patent Term Adjustment)の計算に誤り発生
米国における特許権の存続期間は、原則、出願日から20年(PCTは国際出願日から20年)ですが、米国特許庁(USPTO)の責任による審査遅延により特許発行が遅れた場合、その遅延した日数分が延長されることがあります。
今般、USPTOは、特許期間調整(Patent Term Adjustment)の計算に誤りが発生している可能性があることを発表しました。
詳しくは「Coding Error Impacting USPTO Patent Term Adjustment Software」をご覧ください。
USPTOの通知によりますと、2024年 3月19日から2024年 7月30日までに発行された一部の特許の「A遅延 (A delay)」と「Overlap」の計算に問題がある場合があるとのことです。当該期間に発行された特許の約1%がこのエラーの影響を受けていると推測されています。
A遅延とは
例えば、審査官が出願から14か月以内に最初の許可通知、拒絶理由通知を送付しなかった場合、拒絶理由通知の応答、審判請求から4か月以内にUSPTOが返答できなかった場合、審判部の決定から4か月以内にUSPTOが処理できなかった場合、特許発行費用の納付から4か月以内に特許証が発行されかった場合等、審査等が予定より遅れた場合に発生します。このUSPTOの責任に起因する遅延を理由に、特許存続期間が延長されることがあります。
Overlapとは
異なる種類の遅延が同じ期間に発生する場合に適用される概念です。PTAでは、遅延に応じて存続期間が延長されますが、同じ期間に複数の遅延が重なった場合、重複日数分が差し引かれ、延長が二重に計算されないよう調整が行われます。
上記エラーの確認方法と対応
各特許について、「Patent Center」の「Patent Term Adjustment」において確認することができます。通知によりますと、USPTOは、「A遅延」と「Overlap」の表示日数が同じであれば、PTAの計算は正しいと認識しているようです。
貴社ご所有の特許についてPTAの計算に問題があるか否かについて確認したい場合、パテントセンターで、「A遅延」と「Overlap」が同じかどうかを確認していただき、もし異なっている場合は、「A遅延」と「Overlap」を計算する必要がありますが、ご依頼を頂ければ、必要に応じて現地へ確認を致します。
又、再計算に関するPetitionをUSPTOに提出ご希望の場合は、その旨ご連絡くださいますようお願い致します。Petitionの主張が認められますと、USPTOがPTAの再計算を行う運びとなります。
Petitionは通常、特許発行から2か月以内に行う必要があります。(延長可能)
通常は印紙料が必要となりますが、この度は、Petitionを申請する理由が、「A遅延」と「Overlap」の計算に誤りがある場合、申請印紙料については、特許発行から7か月以内であれば無料となります。但し、例えば「B遅延」の計算間違いも含むような他の理由の場合は、対象外となり、印紙料が必要となります。
なお、特許期間調整(PTA)の詳細については、当所ウェブサイト各国知財制度 アメリカをご参照ください。