2024年 7月18日
浅村特許事務所 知財情報
ミャンマー 特許法を施行
2019年 3月11日に成立した特許法(Pyidaungsu Hluttaw Law No (7/2019))は、2024年 5月31日に施行されました。
これにより、ミャンマーにおける知的財産権法(特許法(小発明を含む)、工業意匠法、商標法、著作権法)が整備されました。
以下、特許法の概要をご紹介します。
詳細は、当所HP各国知財制度のミャンマーをご参照ください。
特許要件(第13条)
新規性、進歩性、産業上利用可能な発明であること。
非特許発明の要件(第14条)
コンピュータプログラムは、非特許発明とされました。
医薬品又はその製法に関する発明は、TRIPS協定によりミャンマー連邦政府が別途指定しない限り、2033年 1月 1日までは非特許発明となります。
特許を受ける権利を有する者(第15条、第16条、第24条)
職務発明(第17条)
特許出願(第18条、第19条)
特許出願の言語は、ミャンマー語又は英語。
願書記載事項(第18条)
必要な場合の添付書面(第20条)
発明の詳細な説明(第22条)
発明者が知っている発明を実施するためのベストモードを示す。
先願(第24条、第25条)
出願審査請求(第26条)
出願日から36ヶ月までに請求する。
補正(第28条、第29条)
新規事項追加禁止、出願分割可能。
審査(第30条)
特許権の回復(第31条)
特許出願人又は特許権者が手続きする期間を徒過し、当該行為により特許又は出願に関する権利の喪失をもたらす結果となった場合、当該特許出願人又は特許権者は、登録官に対し権利の回復を申請することができる。
期間徒過した理由を記した請求書は、特許又は出願に関する権利が消滅した日から60日以内に提出しなければならない。
出願公開制度(第32条)
出願日から18か月後に公開される。なお、請求による早期公開制度も導入された。
付与前異議申立制度(第33条~第35条)
異議を申し立てようとする者は、公開日(第32条)から90日以内に、異議申立書を提出することができる。
外国でされた出願の国内審査対応(第38条)
登録官は、外国で出願された特許出願を国内において審査するため、所定の期間内に次の書類を提出するよう特許出願人に通知することができる。
(a) 出願人が入手した外国の知的財産庁が実施した調査報告書及び審査報告書の写し
(b) 出願人が外国から取得した特許証の謄本
(c) 外国知的財産庁の特許出願の拒絶、当該出願に含まれる請求の拒絶又は当該出願に基づいて付与された特許
の無効若しくは取消しに関する決定の写し
国際機関、外部特許庁に審査依頼が可能(第39条)
登録官は、特許出願の審査に関して、知的財産庁の承認を得て、外国の政府省庁若しくは機関、国際機関又は外国特許庁に特許出願の審査を依頼することができる。
出願非公開制度(第42条)
登録官が特許出願の内容が国家の安全保障及び国民の安全に害を及ぼすと判断した場合、知的財産庁の承認を得て出願を保留し、公開しないことができる。
優先権、博覧会優先権(第43条~第46条)
パリ条約若しくは世界貿易機関(WTO)加盟国においてした出願の特許出願人又はその承継人は、当該加盟国における最初の出願日から1年以内に同一の発明について出願した場合、当該最初の出願日における優先権を有する(第43条)。
パリ条約又は世界貿易機関加盟国において主催され、又は承認された国際博覧会において、開催日から1年以内に展示に係る発明を知的財産庁に出願した場合、当該開催日を出願日とする博覧会優先権を有する(第44条)。
なお、当該博覧会優先権の期間は、第43条に基づく優先権の期間を超えないものとする。
なお、現時点でミャンマーはパリ条約に未加盟である。
特許権の存続期間(第47条)
特許権の存続期間は、特許出願日から20年である。
手数料(第48条)
特許権者又は出願人は、特許又は特許出願を維持するために、支払期日前6か月以内に所定の手数料を知的財産庁に支払わなければならない。
当該期間内に手数料の支払わなかった場合、6か月の猶予期間が認められ、所定の手数料及び延滞料を支払う。
特許権(第51条~第52条)
通常実施権(第53条)
特許権が及ばない範囲(第54条)
特許権の移転(第56条~第59条)
特許の実施許諾(第60条~第64条)
強制実施権等(第65条~第73条)
特許の放棄(第74条、第75条)
特許権者は登録官の要請に従い、特許権を放棄することができる。
特許取消(第76条~第77条)
利害関係人又は法人の申請により、登録官は所定の場合(第77条)、特許の全部又は一部を取り消す。
特許、特許出願の登録抹消(第78条~第79条)
登録官は、所定の事実が生じた場合、特許又は特許出願の登録を抹消する。
小発明(実用新案)(第80条~第88条)
審査主義を採用。
小特許の存続期間は、小特許の出願日から10 年(第81条)。
国際登録出願が可能(第89条~第92条)
特許協力条約には現時点で加盟していないが、ミャンマーが特許協力条約に加盟した後であって、国際登録を希望する場合には、所定の方法により出願することができる旨の規定があります。
不服審判(第93条)
本法に基づき登録官が下した決定に不服がある者は、当該決定日から60日以内に、知的財産権機関に対し不服審判を請求することができる。
知的財産権裁判所(第94条~第104条)
連邦最高裁判所は、知的財産権裁判所を設立し、知的財産権機関の決定に不服のある者は、当該決定の通知を受領した日から90日以内に、当該知的財産権裁判所に提起することができる(第94条)。
罰則(第105条~第106条)
ミャンマー特許法は、以下のウェブサイト(英語)をご参照ください。
IPD Myanmar