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日本 2023年4月1日 特許法等施行・運用情報

2023年 3月16日
浅村特許事務所 知財情報


日本 2023年4月1日 特許法等施行・運用情報


 

 


2023年 4月 1日に施行され、運用が開始される、知財関連の情報をお知らせします。



1.原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止運用の開始(特許法)

 2023年 4月 1日より、原特許出願が前置審査又は拒絶査定不服審判係属中の分割出願であって、出願人又は代理人から申請がされた案件について、原出願の前置審査又は審判の結果が判明するまで当該分割出願の審査が中止される運用が開始されます(特許法第54条第1項適用)。

 この運用により、原出願の前置審査又は拒絶査定不服審判の結果を踏まえて、分割出願の対応を検討することが可能となり、より効率的な出願戦略の構築につながると期待されます。

 

詳しくは、当所知財情報「日本 原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用の開始(2023年 4月 1日より)」をご覧ください。

 


2.回復要件の緩和(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)

 2023年 4月 1日に、手続の回復について「相当な注意」を求める法制から、「期間徒過が故意でないと認められる場合には権利を回復できる」、に緩和する法制に改正されます。

(産業構造審議会 特許制度小委員会:ウィズコロナ/ポストコロナ時代における特許制度の在り方(案)より抜粋)


 詳しくは、当所知財情報「日本 期間徒過の回復要件が緩和 」を参照ください。



3.国際商標登録出願に係る登録査定の謄本送達の見直し(商標法)

 2023年 4月 1日より、WIPOの国際事務局に対し、海外出願人宛ての登録査定の謄本と、設定登録予定日を記載した保護を付与する旨の声明を、電子データで一本化して通知することができるようになります(商68条の18の2①)。

 

(産業構造審議会 第15回知的財産分科会より引用)


 詳しくは、「国際商標登録出願における個別手数料の納付制度の変更、登録査定の謄本の送達方法の見直しについて (jpo.go.jp)」をご確認下さい。

 

 

4.国際商標登録出願に係る個別手数料の二段階納付から一括納付への変更(商標)

 2023年 4月 1日より、標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書(以下「議定書」という。)上、国際登録を受けるにあたり国際商標登録出願に係る個別手数料の納付方法が、一括納付(国際標準に合わせ、拒絶査定の場合も個別手数料の返還請求制度は設けない一括納付)となります(議定書第8条(2)*¹)。

 *¹  議定書第8条(2)
  「基本手数料」、指定区分数に応じた「追加手数料」、及び指定国数に応じた「付加手数料」を徴収する。

(産業構造審議会 第15回知的財産分科会より引用)

詳しくは、「国際商標登録出願における個別手数料の納付制度の変更、登録査定の謄本の送達方法の見直しについて (jpo.go.jp)」をご確認下さい。

 

5.特許印紙による予納の廃止(2023年3月31日)

 2023年 3月31日をもって「特許印紙による予納」制度が廃止され、予納制度は「電子現金による予納」と「銀行振込による予納」の2つのみとなります。

  2023年4月1日以降の手数料等の納付制度

 1.予納制度

 (1)電子現金による(インターネット出願ソフトを利用した)予納 
取得した納付番号を用いてインターネットバンキング等から振込み、インターネット出願ソフトを用いて予納台帳に振替(予納)する方法。

 (2)銀行振込による予納
「現金納付書」を用いて金融機関窓口にて振り込み、納付済証を「予納書」に添付して特許庁へ提出し、入金(予納)する方法。

 

 2.予納以外の手数料等の納付制度

 (1)現金納付  
手続きする前に特許庁専用の「現金納付書」(振込用紙)を用いて、銀行や郵便局の窓口から手数料等を振り込む方法。

 (2)電子現金納付
手続前にインターネット出願ソフトを利用して納付番号を取得し、その納付番号でpay-easy(ペイジー)対応のインターネットバンキング又はATMから手数料等を払い込む方法。

 (3)口座振替による納付
特許庁への口座振替が可能な金融機関に口座を開設・登録しておき、その金融機関の口座から、手続ごとに必要な手数料等を引き落として納付する方法。

 (4)クレジットカードによる納付  
3Dセキュア」登録済のクレジットカードを用いて、手数料等を納付する方法。

 

 詳しくは、当所知財情報「日本 特許庁への手数料等の納付制度(2023年4月1日以降)」をご覧ください。

 

6.ファストトラック審査の休止(2023年3月31日)(商標)

 2020年 2月 1日に運用が開始されたファストトラック審査は、通常の審査期間の短縮に伴い、2023年 3月31日で休止となります。再開時期は未定です。

 ファストトラック審査とは、「所定の条件を満たした商標登録出願」*について、約6ヵ月で最初の審査結果通知を行う審査運用です。

 当該商標登録出願は、申請することなく自動的にファストトラック審査の対象となっていました。  

 なお、「ファストトラック審査サポートツール」(tmfast.jpo.go.jp)(名称変更予定)」は、商品等の調査・確認を支援するツールとして、2023年4月以降も引き続き利用することが可能です。

 

 *「所定の条件を満たした商標登録出願」
  次の(1)及び(2)の両方の要件を満たす商標登録出願。

  (1)出願時に、「類似商品・役務審査基準」、
           「商標法施行規則」、又は
           「商品・サービス国際分類表(ニース分類)」
      に掲載の商品・役務のみを指定していること

  (2)審査着手時までに、指定商品・指定役務の補正を行っていないこと

 

 詳しくは、ファストトラック審査 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)をご確認下さい。

 

7.民事裁判書類電子提出システム(mints)の機能改修

 利用者の利便性向上のため、2023年 4月 1日より、民事裁判書類電子提出システム(mints)(courts.go.jp) に5つの機能が追加され、利用ができるようになります(mints概要 mints_gaiyo.pdf (courts.go.jp))。

1.A3サイズのファイルアップロード及び印刷機能
A3サイズのPDFファイルについても、mintsにアップロードできるようになり、準備書面や書証の写し等の提出が可能となります(その印刷やダウンロードも可)。

(最高裁判所事務総局 mints機能改修の概要から引用)

2.招待キー発行機能
当事者ユーザが、職員ユーザから交付された「招待キー」を入力することで、職員ユーザによる関連付けを待つことなく、個別の事件でファイルのアップロードを開始することが可能になります。

(最高裁判所事務総局 mints機能改修の概要から引用)

3.事件情報の移行機能
裁判所をまたいで個別の事件情報にアクセスすることが可能となり、上訴や移送等があった場合に、mintsにアップロード済みのファイルを上訴審や移送先の裁判所でも、引き続き利用することが可能となります。

(最高裁判所事務総局 mints機能改修の概要から引用)

4.雑事件申立ての表示及び通知機能
雑事件申立書がアップロードされたとき、職員ユーザが雑事件番号を登録すると、当事者ユーザに事件番号を通知することが可能となります。

(最高裁判所事務総局 mints機能改修の概要から引用)

5.第三者によるファイルアップロード機能(事件アクセスキー機能)
事件当事者でないユーザ(第三者ユーザ:例えば、調査嘱託先や送付嘱託先)も、「事件アクセスキー」を使用して、ファイルをアップロードすることが可能となります。

第三者ユーザがアップロードしたファイルは、当事者ユーザもmints上で参照し、ダウンロードや印刷をすることができます。

(最高裁判所事務総局 mints機能改修の概要から引用)


各機能に関するシステムの操作方法等については、下記の、【初めてご利用の方へ】、【操作マニュアル】、【FAQ】、及び【操作説明動画】をご参照下さい。

【初めてご利用の方へ】user_firsttime.pdf (courts.go.jp)

【操作マニュアル】  user_manual.pdf (courts.go.jp)

【FAQ】        user_faq.pdf (courts.go.jp)

【操作説明動画】   mints操作説明動画