2021年10月19日
浅村特許事務所 知財情報
ブラジル ANVISA、1000件超の特許出願を特許庁に戻す
ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)による、医薬品やその製造方法に関する特許出願の事前承認制度(ブラジル知的財産法第229条‐Cに基づく)が、2021年8月26日をもって廃止され(法律第14,195/21号)、ブラジル産業財産庁(INPI)はANVISAから1,000件以上の特許出願を受け取ったとのことです。
従前は、第229条‐Cに基づき、ブラジルに出願された医薬品やその製造方法に関する特許は、ブラジル産業財産庁(INPI)による特許性要件についての審査の前に、ANVISAにより薬害リスクなど公衆衛生の観点からの事前審査を受け、承認を得ることが義務付けられていました。2018年には農薬・獣医製品・食品・医療機器等、一部の分野でANVISAの事前承認が不要であることが決定されていましたが、医薬品及び医薬品の製造方法に関する特許出願では依然としてANVISAによる事前承認とINPIによる特許要件審査という二重審査が実施されていました。
この制度が廃止されてから約1か月経過しましたが、INPIはANVISAから1,000件以上の特許出願を受け取り、これらのケースに関して公報に
(i)ブラジル知的財産法第229条のCの取り消しを考慮して、特許出願はもはやANVISAの事前承認を必要としない;または
(ii)特許出願は新法の前にすでにANVISAによって承認されている;
旨を通知しました。これにより、INPIがこれらの出願の審査を進めることができるようになりました。
制度廃止前はANVISAが事前承認の発行を評価するのに要する時間のためにブラジル特許出願の審査の滞りが生じていたのですが、今後は医薬品特許出願も他分野の出願と同様に、事前承認のためにANVISAに送られることなく、INPIによる審査が始まることになります。ANVISAからINPIに戻されたケースのおよそ74%がすでに予備審査(Preliminary Official Action)を始めているとのことです。