浅村特許事務所 知財情報
2020年2月6 日
中国 2019年の中国における知財関連の動向
2019年の中国での知財関連の動向としては、米中貿易摩擦への対応に伴う関連法の改定又は創設が挙げられます。また、近年のAI及び再生医療技術関連の技術革新に対応すべく、審査指南が改訂されました。 |
1.外商投資法(2020年1月1日施行)
「外商投資法」は、これまで外資企業の投資に適用されてきた外資企業法、中外合資経営企業法、及び中外合作経営企業法に代えて創設された、外資に関する基本法である。この外資に関する法律でも、知的財産権に関する以下の規定が含まれている。
第21条 外国投資者の中国国内における出資、利益、資本収益、資産処分所得、知的財産権の使用許諾料、法により取得した補償又は賠償及び清算所得等は、法により人民元又は外貨で自由に入金又は送金できる。 第22条 国は、外国投資者及び外商投資企業の知的財産権を保護し、知的財産権の権利者及び関係権利者の合法的権益を保護する。知的財産権の侵害行為に対し、法により厳格に法的責任を追及する。 2. 国は、外商投資の過程における自由意志の原則及び商業規則に基づく技術協力を行うことを奨励する。技術協力の条件は、各投資者が公平の原則に基づき平等に協議して確定する。行政機関及びその職員は、行政手段を用いて技術移転を強要してはならない。 第23条 行政機関及びその職員は、職責を履行する過程において知り得た外国投資者、外商投資企業の営業秘密につき、法により機密保持をしなければならず、漏洩又は違法に第三者へ提供してはならない。 |
米国との貿易摩擦交渉を受け、上記の通り、知的財産権を侵害した行為について、厳格に法的に対処することが強調され、行政機関とその職員の行政手段による技術譲渡強要の禁止を明記し、行政機関による営業秘密の厳格な取り扱いを規定している(なお、後述する「行政許可法」の改正も参照)。
なお、米中貿易摩擦交渉との関連で、附則に以下の規定が設けられている。
第40条 いずれかの国又は地域が、投資に関し中華人民共和国に対して差別的な禁止、制限又はその他これらに類似する措置を講じた場合、中華人民共和国は、実状に応じて当該国又は当該地域に対して相応の措置を講ずることができる。 |
2.「行政許可法」の改正(2019年4月23日施行)
知財に関する規定として以下の規定が追加されました。
第5条2項 行政機関及びその職員等は、国家安全又は重大な社会的公益に係るもの等を除き、申請者の同意なく、申請者が提出した営業秘密等を開示してはならない。 行政機関が申請者の営業秘密等を開示する場合、申請者は合理的期間内に異議を申し立てることができる。 第31条2項 行政機関及びその職員は、技術の譲渡を行政許可取得の条件としてはならず、行政許可を実施する過程において、直接又は間接的に技術の譲渡を要求してはならない。 72条5号、6号 これらの義務に違反した場合の上級行政機関又は監察機関による是正及び行政処分に関する規定。 |
3.技術輸出入管理条例の改正(2019年3月18日施行)
技術輸出入管理条例は、中国企業と海外企業との間で行われる技術の輸出入に関する事項を規定し、改正前の条例では、中国企業間で技術の譲渡契約をする場合に比べ、海外企業に保証責任や改良技術の取り扱いについてより高い制限を課していた。今回、基本的に、海外企業に課される制限が国内企業と同様となるように改正がなされた。以下に具体的な改正内容を示す。
技輸管理条例 |
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改正点 |
第24条 |
技術輸入契約の譲渡人は、自分が提供した技術の適法な所有者であり、又は譲渡、使用許諾をする権利を有する者であることを保証しなければならない。 技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人の技術を使用した結果、第三者に権利侵害で告訴された場合、直ちに譲渡人に通知しなければならない。譲渡人は通知を受けた後、譲受人と協力し、譲受人が受ける不利益を排除しなければならない。 技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人が提供した技術を使用した結果、他人の合法的権益を侵害する場合、その責任は譲渡人が負う。 |
下線部分を削除
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第27条 |
技術輸入契約の有効期間内に、改良した技術は改良した側に帰属する。 |
削除 |
第29条 |
技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。(1)譲受人に技術輸入に必須ではない付帯条件を求めること。必須ではない技術、原材料、製品、設備又はサービスの購入を含む。(2)譲受人に特許権の有効期間が満了し又は特許権が無効宣告された技術について許諾使用料の支払い又は関連義務の履行を求めること。(3)譲受人が譲渡人から提供された技術を改良し、又は改良した技術の使用を制限すること。(4)譲受人にその他の供給先から譲渡人が提供した技術に類似し又は競合する技術の取得を制限すること。(5)譲受人に原材料、部品、製品又は設備の購入ルート又は供給先を不合理に制限すること。(6)譲受人に製品の生産高、品種又は販売価格を不合理に制限すること。(7)譲受人に輸入した技術を駆使し、生産した製品の輸出ルートを不合理に制限すること。 |
削除 |
上記の通り、国外企業へのより高い制限は削除されたが、依然、以下の点は留意すべきである。
1)適法な権利者であることの保証
自分が提供した技術の適法な所有者であり、又は譲渡、使用許諾をする権利を有する者であることを保証しなければならない(24条1項)。
2)第三者に権利侵害で告訴された場合の協力義務
第三者に権利侵害で告訴された場合、譲受人が譲渡人に通知すると、譲渡人は、譲受人と協力し、譲受人が受ける不利益を排除する義務を負う。具体的には、特許の無効化、ライセンス取得、代替技術の提供等である(24条2項)。
3)第三者権利の非侵害の保証
上記の通り、技術輸出入管理条例から「技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人が提供した技術を使用した結果、他人の合法的権益を侵害する場合、その責任は譲渡人が負う。」との規定は削除された。しかし、この規定に対応する契約法第353条には、「技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人が提供した技術を使用した結果、他人の合法的権益を侵害する場合、その責任は譲渡人が負う。ただし、当事者に別途約定がある場合を除く。」との規定がある。従って、侵害の非保証について契約書で規定しておかないと、第三者権利の非侵害について保証義務を有することになる。
4)技術目標達成義務
技術輸出入管理条例25条には、技術譲渡契約の譲渡人は、提供する技術が完全で、誤りなく、有効で、約定の目的を達成できる事を保証しなければならない、との規定がある。対応する契約法の規定では、別段の約定をしておく事でこの義務を免責できるが、外国企業は別段の約定をしてもこのような免責は認められないものと考えられる。この点で、依然として内外格差がある。
この義務には、実施に必要な技術資料の引渡し、技術指導が含み得るので、技術流出を生じないように、義務を履行するのに必要限度で対応し、被許諾者と秘密保持契約を締結することが必要と考えられる。
5)改良技術の権利帰属等
上記の通り、技術輸出入管理条例から「技術輸入契約の有効期間内に、改良した技術は改良した側に帰属する。」との規定は削除された。しかし、この規定に対応する契約法第354条には、「当事者は相互利益の原則に従い技術譲渡契約において専利を実施し技術秘密を使用した後に改良された技術成果の共有方法を約定することができる。約定がなく又は約定が不明確であり、本法第61 条の規定により依然として確定できない場合は、一方が後に改良した技術成果は他の各方は共有することができない。」との規定がある。従って、改良技術の権利帰属について契約書で規定しておかないと、改良技術の成果は、改良技術を行った方に帰属する。契約書で規定する場合、無料のアサインバックや独占的なグラントバックは技術契約紛争事件審理の法律適用に関する若干問題の解釈第10 条1 号の規定や対外貿易法第30 条の規定に違反するため契約が無効になる可能性がある。
6)抱き合わせ契約の禁止
上記の通り、「技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。(1)譲受人に技術輸入に必須ではない付帯条件を求めること。必須ではない技術、原材料、製品、設備又はサービスの購入を含む。」との規定が削除された。しかし、契約法329条には、「不法に技術を独占し、技術の進歩を妨害し又は他人の技術成果を侵害する技術契約は無効とする。」と規定され、技術契約紛争事件審理の法律適用に関する若干問題の解釈第10条では、「下記の場合は契約法第329 条にいう「不法に技術を独占し、技術の進歩を妨害し」に該当する。・・・4.技術の受け入れ側に対し、技術の実施に不可欠ではない付帯条件を受け入れるよう要求する場合。これには、不必要な技術、原材料、製品、設備、サービスの購入および不必要な人員の受け入れを含む。」と規定され、対外貿易法第30 条では、「知的財産権の権利者が・・・、強制的な抱き合わせライセンス、・・・のうちの一の行為を行い、且つ対外貿易の公平競争秩序に危害を与えたときは、国務院対外貿易主管部門は必要的措置を講じて危害を除去することができる。」と規定する。従って、抱き合わせ技術移転に関し、海外企業に対する制限を緩和するものではないと解される。
7)特許権消滅後のライセンス許諾
上記の通り、「技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。・・・(2)譲受人に特許権の有効期間が満了し又は特許権が無効宣告された技術について許諾使用料の支払い又は関連義務の履行を求めること。」は削除されました。しかし、契約法第344 条には、「特許実施許諾契約は当該専利権の存続期間内のみにおいて有効とする。特許権の有効期限が満了し、又は特許権の無効が宣言された場合は、特許権者は当該専利について他人と特許実施許諾契約を締結してはならない。」と規定されている。
8)技術改良及び改良技術の使用に関する制限
上記の通り、「技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。・・・(3)譲受人が譲渡人から提供された技術を改良し、又は改良した技術の使用を制限すること。」は削除されました。しかし、技術契約紛争事件審理の法律適用に関する若干問題の解釈第10 条には、「下記の場合は契約法第329 条にいう「不法に技術を独占し、技術の進歩を妨害し」に該当する。・・・1.当事者の一方が、契約の目的技術に基づき新たな研究開発を行いもしくは改良技術を使用することを制限する場合、または双方の改良技術交換の条件が不平等である場合。」と規定されており、依然として、提供された技術を改良し、又は改良した技術の使用を制限することは禁止されるものと解される。
9)競合他社からの競合技術の取得制限
上記の通り、「技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。・・・(4)譲受人にその他の供給先から譲渡人が提供した技術に類似し又は競合する技術の取得を制限すること。」は削除されました。しかし、技術契約紛争事件審理の法律適用に関する若干問題の解釈第10条には、「下記の場合は契約法第329条にいう「不法に技術を独占し、技術の進歩を妨害し」に該当する。・・・2.当事者の一方が技術供与側に類似する技術又はそれと競合する技術をその他の出所から取得することを制限する場合」と規定されており、依然として、競合他社からの競合技術等の取得制限は禁止されるものと解される。
10)原料等の購入ルート又は供給先に関する制限
上記の通り、「技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。・・・(5)譲受人に原材料、部品、製品又は設備の購入ルート又は供給先を不合理に制限すること。」は削除されました。しかし、技術契約紛争事件審理の法律適用に関する若干問題の解釈第10条には、「下記の場合は契約法第329条にいう「不法に技術を独占し、技術の進歩を妨害し」に該当する。・・・5.技術受け入れ側に対し、原材料、部品、製品または設備等を購入するルートまたは出所を不合理に制限する場合。」と規定されており、依然として、原料等の購入ルート又は供給先に関する不合理な制限は禁止されるものと解される。
11)製品の生産数量等に関する制限
上記の通り、「技術輸入契約には以下に掲げる制限的条項を含めてはならない。・・・(6)譲受人に製品の生産数量、種類又は販売価格を不合理に制限すること。(7)譲受人に輸入した技術を駆使し、生産した製品の輸出ルートを不合理に制限すること。」は削除されました。しかし、技術契約紛争事件審理の法律適用に関する若干問題の解釈第10条には、「下記の場合は契約法第329条にいう「不法に技術を独占し、技術の進歩を妨害し」に該当する。・・・3.当事者の一方が市場のニーズに基づき合理的な方法によって契約目的技術を十分に実施することを妨げる場合。これには、技術の受け入れ側が契約目的技術の実施により生産する製品または提供するサービスの数量、種類、価格、販売ルートおよび輸出マーケットを明らかに不合理に制限することを含む。」と規定されており、製品の生産数量等に関する明らかに不合理な制限は禁止されるものと解される。
4.米中貿易協定
周知の通り、米中間の貿易戦争のエスカレートで懸念が広がっていた2020年1月15日に米中間で第一段階の合意に至り、米中貿易協定が締結された。この協定は米中間の2国間条約であるが、中国がこの協定に従って国内法を改正すると、その改正法は、他国にも影響を及ぼす。米中貿易協定中の化学・医薬分野の特許に関する規定としては、1)進歩性、開示要件等の特許要件に関し、出願後補足データの取り扱い、2)パテントリンケージ、3)特許期間調整(PTA)、4)特許期間延長(PTE)、5)データ保護、及び6)偽造薬品の取り扱い等がある。以下では、関連規定の概要と、現地代理人のコメントを示す。
2020年1月16日日経新聞より
1.補足データの取り扱い
第1.10条は、開示の十分性および進歩性を含む特許要件を満たすために、特許出願人が補足データに依存することを許可すると規定する。
(現地代理人コメント)
中国国家知的財産曲(CNIPA)は、2014年以降、補足データの許容性に関する基準を緩めているが、補足データの取り扱いに関する中国の基準は、米国よりもはるかに厳格であり、今後、CNIPAは、協定に従って補足データに対してより寛容になると予想される。
2.パテントリンケージ
第1.11条は、パテントリンケージ制度の概要を規定しており、ジェネリック会社の承認申請を特許保有者へ通知し、特許保有者が仮差止を含む救済を求めた場合には、侵害/有効性の紛争を解決するために、承認プロセスを中断すると規定する。
(現地代理人コメント)
この合意の前に、中国国家薬品監督管理局(NMPA(以前のCFDA))は、2017年にパテントリンケージ制度の草案(1)を公開しましたが、その後の進展はなかった。しかし、今回の合意により、パテントリンケージ制度の立法化が加速されることが期待される。
3.特許期間の調整(PTA)
第1.12条のパラグラフ2(a)で、中国は、CNIPAによる不当な遅延を補償するために、中国での出願から4年または特許出願の審査請求から3年より遅く特許が発行された場合に、不合理な遅延について特許期間を延長すると規定する。
(現地代理人コメント)
特許法が改正されPTAが導入されると予想される。現在、特許出願のCNIPAでの審査請求後の審査期間は平均で約22.5ヶ月であるが、医薬品関連出願では、審査期間がより長くなることがあり、PTAが適用される可能性がある。
4.特許期間延長(PTE)
第1.12条のパラグラフ2(b)では、中国での販売が承認された新しい医薬品、および中国での販売が承認された新しい医薬品の製造または使用方法をカバーする特許に関し、特許所有者の要求に応じて、特許の特許期間または特許権の期間を調整することを可能として、中国でのその医薬品の最初の上市に関連する承認プロセスの結果として生じた有効な特許期間の不合理な短縮について特許所有者を補償することを規定する。かかる調整は、販売承認日から14年を超えない範囲で、5年以内に制限される。
(現地代理人コメント)
2019年初頭に公開された中国特許法草案(2)は間もなく可決される予定である。
5.データ保護
第1章のセクションCの前文で、承認のために提出された非公開テストまたはその他のデータの保護を要求している。
(現地代理人コメント)
NMPA(以前のCFDA)は、2018年初頭に薬理試験データの保護に関する規定の草案を公開しており、この草案(3)では、革新的な医薬品とオーファン/小児用医薬品に6年間の試験データ保護が与えられ、革新的な治療用生物製剤には12長年の試験データ保護が与えられており、この草案はもうすぐに可決される見込みである。
6.偽造医薬品
第1.18条及び第1.19条は、中国が、偽造医薬品を排除するための効果的且つ迅速な処置を講ずること、適法な医薬品原料源の登録情報、その他の執行検査に必要な情報を提供することなどを規定し、第1.20条は、偽装医薬品の国境措置(1項)と、民事司法手続き(2項)を規定し、何れの措置でも偽造医薬品が廃棄されることを規定する。
5.特許審査指南の改訂(2020年2月1日より施行)
1)再生医療関連
公序良俗の規定に関する幹細胞の取り扱いについて、この分野の技術進歩に対応するように運用が変更されている。具体的には、以下の通りである。
改正前 |
改正後 |
第二部分第一章 3.1.2 社会道徳に違反する発明創造 ・・・公序良俗に違反した発明創造に対しては特許権を付与することができない。・・・ヒト胚の工業または商業目的での応用、
・・・上述の発明創造は、公序良俗に違反したものであり、特許権を付与することができない。 |
第二部分第一章 3.1.2 社会道徳に違反する発明創造 ・・・公序良俗に違反した発明創造に対しては特許権を付与することができない。・・・ヒト胚の工業または商業目的での応用、
・・・上述の発明創造は、公序良俗に違反したものであり、特許権を付与することができない。 ただし、発明創造は体内発育を受けていない、受精して14 日未満のヒト胚で幹細胞を分離または取得した場合、「公序良俗に違反した」として特許権の付与を拒絶してはならない。 |
第二部分第十章 9.1.1.1 ヒト胚性幹細胞 ヒト胚性幹細胞とその作製方法は、専利法5 条1 項に規定してある特許権を付与してはならない発明に該当する。 |
削除 |
9.1.1.2 各形成および発育段階にある人体 ヒトの生殖細胞や受精卵、胚胎および個体を含め、各形成・発育段階にある人体は、いずれも専利法5 条1 項に規定してある特許権が付与されてはならない発明に該当する。 |
9.1.1.1 各形成および発育段階にある人体 ヒトの生殖細胞や受精卵、胚胎および個体を含め、各形成・発育段階にある人体は、いずれも専利法5 条1 項に規定してある特許権が付与されてはならない発明に該当する。ヒト胚性幹細胞は各形成および発育段階にある人体に該当しない。 |
上記改訂により、幹細胞関連の発明が保護対象として取り扱われることが明確になった。
2)AI関連
人工知能などの新しい形式を含む特許出願を審査するための基準が明示された。改訂された特許審査指南では、特に、請求項に記載された技術的特徴を、アルゴリズム的特徴またはビジネスルール・方法的特徴を単純に分離して考慮すべきではなく、請求項に記載された発明の内容を全体として捉えて、技術的手段、解決すべき技術的課題、技術的効果を考慮すべきとしている(4)。
6.商標法改正(2019年11月1日施行)
「使用を目的としない悪意の商標出願は拒絶する」とする規定が追加され、悪意出願に対する規制が強化された(商標法第4条、19条3項等)。
また、商標権侵害の場合における懲罰的賠償の上限が、実際の損害の5倍に引き上げられる等、賠償責任が強化された(商標法第63条)。
7.「不正競争防止法」改正(2019年4月23日施行)
営業秘密の権利者が、営業秘密が侵害されたことを証拠をもって合理的に示した場合には、権利侵害の被疑者が、営業秘密侵害の不存在を立証する責任を負うとして、営業秘密の権利者の立証責任を軽減する規定が設けられた(同法32条)。
また、営業秘密の悪意侵害の場合における懲罰的賠償の規定が追加され、実際の損害の5倍まで懲罰的賠償を課すことが可能となった(不正競争防止法第17条3項)。
以上
(1) リーガルマインドNo.407、2019年3月、70-92頁「韓台中日パテントリンケージ(PL)制度の概要」参照
(2) 革新的医薬品の存続期間の延長制度(第43条第2項)
革新的医薬品の市販審査、評価、承認にかかった時間を補償するために、中国国内と国外で同時に市販を申請した革新的医薬品の特許に対して、5年を限度に特許期間の延長が認められる。ただし、革新的医薬品の市販後の特許権の総有効期間は14年を超えない。
(3) 「浅村特許事務所 知財情報(2018年5月発行)」参照
(4) http://www.cnipa.gov.cn/zfgg/1144989.htm
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