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ベトナムにおいて、ベトナムの産業財産権に関する省令の改正(特許・実用新案・意匠・商標)

浅村特許事務所 知財情報
第270-1号(2018年1月発行)


ベトナムにおいて、ベトナムの産業財産権に関する省令の改正(特許・実用新案・意匠・商標)



ベトナムの産業財産権に関する省令「Circular No. 01/2007/TT-BKHCN」の一部を改正する部分的改正省令「Circular No. 16/2016/TT-BKHCN」が2018年1月15日付けで施行されました。これには、ベトナムにおける知財実務(法域:特許・実用新案・意匠・商標)に大きな影響を与える修正が含まれております。

<改正のポイント>
1. 全般
1.1 指令応答期限の変更
(1) 方式指令の応答期限:1ヶ月→2ヶ月
(2) 実体審査での指令の応答期限:2ヶ月→3ヶ月
(3) 登録料および第1回目の年金の納付期限:特許査定から1ヶ月→3ヶ月

上記1.1 (1)~(3)の期限は「1回に限り」同じ期間だけ延期することが可能です。

1.2 出願の際の補充書類に関する期限
(1) 委任状(Power of Attorney)の原本:出願日から1ヶ月(ただし、PCT出願は優先日から34ヶ月)
(2) 優先権書類:出願日から3ヶ月

上記1.2 (1)~(2)の期限は「延期不可」です。

1.3 天災や有事の際の救済措置
救済措置の対象となる事項(「不可抗力の出来事」、「客観的な障害」等)について定義されました。
該当する場合には、上申書と適切な証拠を提出することにより、期限後の提出が認められる場合があります。ただし、これはあくまでも非常の場合の救済措置であり、実際にどのように取り扱われるかは明らかでないため、日頃の業務においてはこの措置を前提としない対応をすることが必要と考えます。

不可抗力の出来事」: “客観的かつ予測不可能に生じた出来事(自然災害、敵による破壊等)であって、全ての必要かつ可能な措置が取られたにもかかわらず克服することができない出来事。”
「客観的な障害」: “客観的な状況(病気、出張、遠隔地での勉学等)によって生じた障害であって、権利/義務を有する者がその法的権利若しくは関心事が違反となることを知り得ない、又はその法的権利/義務を履行できない状況。

1.4 審判
拒絶査定に対する審判は、実体審査での応答が審査官によって不正及び不十分にしか考慮されなかったために、拒絶査定となったと出願人が考える場合にのみ行われます。
従って、審判では、実体審査での反論および証拠についてのみ再考され、審判で新たに提出された証拠(例えば、引用された商標権者の同意書や識別力を獲得したことの証拠等)は認められません。そのため、審査段階で十分な反論と証拠の提出をしておくことが必要です。


2. 特許
2.1 PCT出願のベトナムへの国内移行期限
以前は超過料金を支払えば「優先日/国際出願日から37ヶ月」までに移行することが認められていましたが、廃止されました。従って、移行期限は「優先日/国際出願日から31ヶ月」です。

2.2 審査請求期限
審査請求期限の延長は廃止されました。従って、審査請求期限は、特許が「優先日/出願日から42ヶ月」、実案が「優先日/出願日から36ヶ月」です。

2.3 機能や用途が発明の主題となるものについて
以前から機能や用途に関する技術的特徴のみを有するクレームは拒絶されていましたが、これまで解釈等に基づいて多くの反論がなされてきました。今回の改正で発明の「機能」や「用途」についての特徴は、主題的な技術的特徴とはなり得えず、単に発明の目的や結果となり得るのみであることが明確化されました。これにより、例えば、クレームを「compound for use …」という形式に補正しても認められないこととなりました。

2.4 ベトナム人による発明又はベトナムで創作された発明について
出願人がベトナム人の場合や、ベトナムで創作された発明の場合は、最初にベトナムに出願する必要があります。ただし、共願人に外国人が含まれる場合は該当しません。

2.5 年金の支払い時の「委任状」について
代理人による年金の支払いには「委任状」(Power of Attorney)が必要です。


3. 意匠
3.1 意匠における製品の定義
意匠における「製品」について、定義が下記のように明確化されました。

「製品」:“工業的/手工業的な方法により製造された、物、装置、機器、手段、又はこれらの製品を組み立てるため若しくは統合するための部品であって、明確な構造及び機能を有し、独立して流通されるもの。”

これにより、「製品」は有形のもの(tangible)であると解釈され、例えば、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)のような無形のもの(intangible)(独立して流通できないもの)は含まれないと解釈されることになります。また、「部分意匠」も独立して流通できないので、保護対象となりません。

3.2 写真・図面に関する要件
提出を要しない写真・図面として、新たに2つの場合が追加されました。
(i)サイズや重量が巨大な場合の製品の底面
(ii)製品の奥行きが薄すぎる場合

ただし、対称形を有する意匠は除きます。

上記のような場合は、明細書の写真及び図面のリストに明記することにより、これらの提出を省略することができます。

3.3 意匠の類否判断
意匠の類否判断の仕方について下記のように明確化されました。

“2つの意匠が同じタイプの製品に対して適用され、同じ要部としての外観的特徴の組合せを有する場合には、2つの意匠は互いにあまり相違しないと考えられる。”
“2つの意匠が異なるタイプの製品に適用されるか、同じタイプの製品に適用されるが少なくとも1つの異なる要部としての外観的特徴を有する場合は、2つの意匠は互いに大きく相違すると考えられる。”

3.4 登録後の補正について
複数のバリエーションで構成される意匠の出願についての登録後の補正は、1つ又は複数の例(Embodiments)を「削除」をする場合のみ認められるようになりました。ただし、複数のバリエーションのうち基本となるバリエーションの意匠を削除することは認められません。


4.商標
一部の商標に関する必要書類について若干の変更がありますが、商標規則に関する実質的な変更はありません。

 

 


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