
浅村特許事務所 知財情報
2016年12月15日
ブラジル 環境にやさしい技術「グリーンパテント」優先審査を制度化
1.ブラジル特許商標庁、「グリーンパテント」優先審査制度を正式に制定
ブラジル特許庁(INPI)は、2012年からパイロットプログラムとして試行していた「グリーンパテント」優先審査制度を、「グリーンパテント」優先審査制度(ポルトガル語表記:exame prioritário “Patentes Verdes”)として正式に制定したと公表しました(2016年12月7日付公表決議第175/2016号;下記参照URL(1))。
本「グリーンパテント」優先審査制度の主な目標は、新技術の特定を可能にし、持続可能な開発とライセンシングを加速することによって、地球規模の環境問題に直接取り組む「グリーン技術」の分野における発明を奨励することにあります。
2.「グリーンパテント」優先審査への申請要件
申請要件は以下の通りです。
(1)請求項の記載要件
-請求項は15項以内
-独立請求項は3項以内でなければならない
(2)時期的要件
-「グリーンパテント」優先審査制度への申請の際に、既に同出願が公開されていること
-拒絶理由通知への応答期間中でないこと
(3)内容的要件
-「グリーン技術」に該当する技術に関する特許出願であること
この「グリーンパテント」優先審査制度を適用できるのは、「グリーン技術」の要件を満たす技術に限られます。決議175/2016号(下記参照URL(1))には要件を満たす技術のリストへのリンク(下記参照URL(2))が記載されており、これらはWIPOが発行する「IPC Green Inventory」(下記参照URL(3))に基づく環境に優しい、および環境技術における発明とほぼ同一の内容となっています。
3.制度化の背景
2012年から試行されたパイロットプログラムでは、480件の申請があり、うち325件はその審査についてパイロットプログラムを利用することが認められました。プログラムの利用が認められた出願のうち、112件がすでに権利付与されています。
また、パイロットプログラムでは、審査期間も劇的に短縮されました。具体的には、ブラジルの特許審査には現在、約10年という長期間の審査期間を要しますが、本プログラムでは、プログラムへの参加の申請が認められた日から起算して約1年で査定が出されました。これはブラジルでの特許審査の迅速化にも貢献するという非常に優れた結果でもあります。
グリーン技術に該当する発明についてブラジルでの権利化を希望される場合には、グリーンパテント優先審査の利用を検討されてはいかがでしょうか。
[参照URLのご案内]
(1) ブラジル特許庁公表決議175/2016号(ポルトガル語)
http://www.inpi.gov.br/noticias/Patentes%20Verdes
(2) 「グリーン技術」(ポルトガル語)
http://www.inpi.gov.br/portal//menu-servicos/arquivos-dirpa/resol175de05nov2016_PATENTES2396.pdf
(3) WIPO IPC Green Inventory
http://www.wipo.int/classifications/ipc/en/est/
注)外部のリンク先記事は消去されることもあります。
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