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【インドネシア】インドネシア特許法・商標法改正

浅村特許事務所 知財情報 
 2016年11 月30日


【インドネシア】インドネシア特許法・商標法改正


 

 2016年7月28日にインドネシア特許法改正案がインドネシア国会を通過し、2016年8月26日に施行されました。この改正は2001年以来、実に15年ぶりの大改正です。また、2016年11月26日までに商標法改正法の施行が予定されています。

 

1.改正特許法のポイント

A:特許保護対象についての改正

(1)第二医薬用途(second medical use)が特許保護対象から除外される

 改正特許法のもとでは、既知の化合物の新たな用途、あるいは既存の化合物の新たな形態(second use claim / second medical use claim)は特許の保護対象から除外されます。第二医薬用途の特許発明を予定している製薬業界の出願人には多大な影響があると予想されます。

 

(2)コンピュータ・プログラムのみにより構成される規則及び方法が特許保護対象となる可能性

 改正前は、「コンピュータ・プログラムに関する規則及び方法」が特許の保護対象から除外されていました。改正特許法のもとでは、「コンピュータ・プログラムのみにより構成される規則及び方法」は原則として保護対象から除外されますが、発明が技術的効果を有し、かつ、有形及び/又は無形(tangible and/or intangible)の問題を解決する場合には、保護対象となり得ます。

 

(3)簡易特許 – simple patents – 保護対象拡大

 日本の実用新案に相当する簡易特許について、改正前から保護対象であった物の発明に加え、新規な方法および既存の方法の改良も保護対象に含まれることになりました。

 

B:審査期間についての改正

(1)審査期間のスピードアップ

 審査手順について、改正前は、審査請求日または出願公開日のいずれか遅いほうから「36月以内」に特許可否の決定がなされるべき、と規定されていましたが、改正特許法では「30月以内」に短縮されました。同様に、簡易特許に関しては、改正前は出願日から「24月以内」と規定されておりましたが、改正特許法では「12月以内」に短縮されました。

 

(2)応答期間延長の明文化

 これまで指令応答期間の延長ができるかどうかは、インドネシア特許庁の運用に委ねられていましたが、改正特許法では、応答期間を3ヶ月とし、1回目の延長で2ヶ月、2回目の延長申請でさらに1ヶ月の応答期間の延長が認められることが明文化されました。これは特許法条約に対応する内容となっています。

 

 

C.特許維持年金に関する改正

 旧インドネシア特許法では、放棄書を提出しないまま年金不納であった場合、3年間は権利が存続し、特許権者には3年間の累積債務が生じるという特殊な年金制度になっていました。改正特許法では、この年金制度が是正されました。

 

 

旧法

改正法

初回累積年金

納付年分

出願(遡及)日から登録日の属する年分

-変更なし-

納付期限

登録日から1

登録日から6月(6月の延長可)

2回目以降の年金

納付年分

出願(遡及)日から計算

-変更なし-

納付期限

登録日の応答月日

出願(遡及)日の応答月日の1月前

権利期間(Protection Period)と年金との関係

毎年の権利期間開始に到来する納付期限までに、当該年分の年金を納付後払い

 

 

 

毎年の権利期間開始前の納付期限までに、翌年分の年金を納付(先払い)

初回累積年金の納付後に、

権利維持を断念する場合の手続

放棄書の提出 

・放棄書を提出した場合、直ちに権利は消滅する。権利期間開始前の年分の年金納付義務は免除されるが、権利期間開始後の年分の年金納付義務(債務)は残る

・放棄書を提出しない場合は、3年間は権利が存続し、納付義務も継続し、その分の累積債務が発生

・放棄書提出の有無に関わらず、債務が残っているケースについては、権利消滅後に督促状が発行される

放棄書の提出 不要

・納付済年分の権利期間の最終日に権利消滅

・年金不納による債務は発生しない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

D:その他の主要な改正事項

(1)電子出願の導入

(2)出願時のStatements of Ownership(所有権に関する声明)の提出義務

(3)特許登録後の第三者による特許異議申立制度の導入

(4)遺伝子資源又は伝統的知識より生み出された発明における出所記載の義務付け

(5)強制実施権の範囲拡大及びインドネシア政府による特許の利用についての制度の明確化

 

 

2.Official Fee値上げ

 インドネシアにおいて2016年11月10日に施行された非課税国庫歳入に関する政府規則第45(Government Regulation No. 45 of 2016 on Non-Taxable State Revenue)により、多数の知的財産出願関連費用が値上がりしました。また、新しい料金制度の下では、商標登録出願の手数料は、商品・役務の指定数に係わりなく、1区分ごとに算出されることになりました。

 変更のあったもののうち、重要なOfficial Feeは以下です。

 

制度の種類

改正前

改正後

(2016年11月10日施行)

特許出願

IDR 750,000(約6,000円)

10請求項まで及び明細書30ページまで

IDR 1,500,000(約12,000円)

10請求項まで及び明細書30ページまで

簡易特許出願

IDR 500,000(約4,000円)

10請求項まで及び明細書30ページまで

IDR 1,250,000(約10,000円)

10請求項まで及び明細書30ページまで

商標登録出願

IDR 1,000,000(約8,000円)

1区分につき指定商品・役務10個単位

IDR 2,000,000(約16,000円)

1区分単位

(指定商品・役務の個数に制限なし)

商標登録更新料

IDR 2,000,000(約16,000円)

1区分単位

 

 

 

IDR 2,500,000(約20,000円)

1区分単位

(更新期間満了前6月以内に納付する場合)

 

IDR 4,000,000(約32,000円)

1区分単位

(更新期間満了後6月以内に納付する場合)

 

 

 

3.商標法改正法案可決

 2016年10月27日に改正商標法がインドネシア国会を通過しました。改正商標法は2016年11月26日よりも前に施行されます。

 

  1. 主要な改正点

(1)商標の定義の拡大

 以下の三種類の非伝統的商標が、商標の定義に追加されます。

 (a) 音の商標

 (b) 立体商標

 (c) ホログラム商標

 

(2)審査期間についての改正

 (a)実体審査期間についての変更

 改正商標法では、全ての商標登録出願は出願日から15日以内に出願公告され、第三者は出願公告日から2ヶ月の間、異議申立が可能になります。この公開期間が満了した後、実体的な審査段階に進むことになります。

 (b)商標登録審査の迅速化

 旧商標法では、商標登録の審査期間は明文化されておらず、審査にはおよそ14月かかっていました。改正商標法ではその審査期間を、公告期間の満了後150営業日以内に完了しなければならないと規定しました。

 

(3)更新期間の変更

 旧商標法では、更新期間の満了前12月から更新期間の満了の日までに更新申請が可能であり、更新期間の満了後の更新申請は認められていませんでした。改正商標法では、更新期間の満了前6月から満了後6の間の更新登録申請が可能になります。更新期間の満了後に更新登録申請を行う場合は更新登録申請手数料とともに関連手数料を支払う必要があります。

 

B.その他の改正点

(1)不登録事由の拡大

 商標の不登録事由に該当する標章として、虚偽的(misleading)又は欺瞞的(deceptive)な標章が追加されます。

 

(2)より重い制裁措置の導入

 改正商標法では、環境に悪影響を及ぼしたり、人の健康に害をなす可能性のある商標権侵害に対して、より重い制裁措置を導入します。これは商標権の侵害や偽造に対する抑止効果を目的に追加されるものです。

 

(3)譲渡に関する変更

 旧商標法では、登録後の商標権についてのみ譲渡可能でしたが、改正商標法では、出願中であってもその譲渡が認められることになります。

 

(4)新設される規定

 地理的表示の保護に関する規定、および、マドリッド・プロトコールに基づく国際登録に関する規定が追加されます。

 

(5)使用権の登録制度開始

 商標使用権の登録制度が開始される予定です。

 

 


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