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【米国】CAFC判決(特許)

浅村特許事務所 知財情報 
 2015年3月15日


【米国】CAFC判決(特許)


 

[米国、CAFC判決(特許)]

特許侵害事件におけるクレーム解釈において、プリアンブルにある用語を、クレームのボディにおいて先行詞として受けたり、積極的に限定したりしていたので、そのプリアンブルの用語によってクレームは限定されると判断された。更に、明細書中に、クレーム中の用語の本来の意味を否定する記載があったため、この記載によってもクレームは限定的に解釈された。そして、CAFCは、特許は侵害されていないとの下級審の判断を是認した。

 

裁判所

CAFC

当事者

原告-控訴人

(特許権者)

Pacing Technologies, LLC

被告-被控訴人

(被疑侵害者)

Garmin International, Inc., Garmin USA, Inc.

事件番号

2014-1396

判決日

2015年2月18日

キーワード

クレーム プリアンブル(preamble) ボディ(body) 明細書 出願経過

審理対象

Garmin社の問題の製品がPacing社の特許(U.S. Patent No.8,101,843)を侵害していないとのサマリージャッジメントを認めた地方裁判所の判断

結論

当該地方裁判所の判断を是認した。

理由

[1] 問題の特許及びクレーム

 (1) 特許の概要

反復動作(ランニング等)中、ユーザー(ランナー等)のペースを誘導するための方法及びシステムを対象とする。

好ましい態様として、ユーザーが希望するペースに合ったテンポを提供することにより、ユーザーのペース調整を助ける方法を記載している。

(2) クレーム25の概要

反復動作をする者のペースを誘導するためのシステムであって、このシステムは、その者が目標とするテンポを予め選択できるようにしたウェブサイトと、データを記憶して再生するデバイスと、両者間を通信するデバイスを含む。

(3) クレーム28(クレーム25に従属)の概要

このシステムは、前記デバイスの位置を判別できる。

[2] プリアンブル

 (1) 先例の判断

クレーム25のプリアンブルには、“A repetitive motion pacing system for pacing a user”と記載されている。

プリアンブルに目的や用途を単に記載するだけの場合は、一般的に、クレーム範囲を限定するとはとられない。

  しかし、クレームのボディに記載した限定事項が、プリアンブルに依拠していたり、プリアンブルにある先行詞を受けていたりする場合、プリアンブルはクレームされた発明の必要な要素となり得る(先例)。

 (2) 本件の場合(クレーム25)

 ① “user

  プリアンブルにある“user”は、ボディにある“user”の先行詞となっている。

 ② “repetitive motion pacing system

  プリアンブルにある“repetitive motion pacing system”は、同様に、ボディ(クレーム28)にある “repetitive motion pacing system”の先行詞となっている。当該“repetitive motion pacing system”(クレーム28のボディ)は、クレーム28において積極的限定事項として記載されている。

(3) プリアンブルにある上記2つの用語は、当該特許クレームのボディにある積極的限定事項の先行詞となり、且つ当該限定事項を理解するために必要である。従って、クレーム25のプリアンブルはクレームを限定している。

[3] クレーム

(1) “repetitive motion pacing system for pacing a user”は、通常の意味(plain and ordinary meaning)では、テンポを使うペース情報を再生することによってユーザーのペースを誘導するためのクレーム記載のシステムを必要としない。

(2) しかし、クレームの用語は明細書及び出願経過を参照して解釈される(先例)。

  明細書及び出願経過において、用語の意味を自ら定義(lexicography)及び本来の意味を否定(disavowal又はdisclaimer)する場合、通常の意味から逸脱する(先例)。

(3) 本件の場合、特許を全体的に捉えると、明確な否定の言葉がある(先例の基準)。具体的には、“(多数記載された目的及び特徴は、)repetitive motion pacing system that includes …a data storage and playback device adapted to producing the sensible tempo (により達成される)”、更に進んで、読者へ注意喚起して、“(本発明は、)a repetitive motion pacing system that includes a data storage and playback device adapted to produce a sensible tempo(を用いて、多数記載された目的及び特徴の全てを達成する)”と記載されており、これは、明確に(本発明を)「適当なテンポを作り出せるようにされたデータ記憶及び再生装置を有する反復動作ペース誘導システム」に限定している。 

[4] 被疑侵害品

  ランナーの実際の速度を表示できる等の機能を有するGPS機能付きフィットネスウォッチ及びマイクロコンピュータである。

本製品は、ランナーの実際の速度を表示することはできるが、ランナーが希望する(又は実際の速度に対応した)音楽やビートの出力はない。

 

[5] 結論

Garmin社のデバイスが適当なテンポを作り出すかどうかに関する重要な事実について本当の争いは存在しない。

ユーザーのペースの速度(例えば、毎分100歩)を単に示すだけでは、適当なテンポを作り出さない。

従って、Garmin社の被疑侵害品は、反復運動ペース誘導装置ではない。

裁判官

Lourie、 Moore(言い渡し)、 Reyna

 

 なお、地方裁判所において、裁判官は、特許の内部証拠(クレーム、明細書、出願経過)のみに基づいて、法律判断を行っているため、CAFCにおいては、de novo基準により審理した(先例、参照:IPグローバル情報第244-3号)。

 

 

Claim 25

A repetitive motion pacing system for pacing a user comprising:

a web site adapted to allowing the user to preselect from a set of user-selectable activity types an activity they wish to perform and entering one or more target tempo or target pace values corresponding to the activity;

a data storage and playback device; and

a communications device adapted to transferring data related to the pre-selected activity or the target tempo or the target pace values between the web site and the data storage and playback device.

・・・

Claim 28

The repetitive motion pacing system of claim 25, wherein the repetitive motion pacing system can determine a geographic location of the data storage and playback device.

(色分けは弊所にて)

(要旨:反復動作をする者のペースを誘導するためのシステムであって、このシステムは、その者が目標とするテンポを予め選択できるようにしたウェブサイトと、データを記憶して再生するデバイスと、両者間を通信するデバイスを含む。また、このシステムは、前記デバイスの位置を判別できる。)

 

Garmin 社の製品(被疑侵害品)(判決文より)

GPS fitness watches and microcomputers used by runners and bikers.

The Garmin Connect website allows users to design and transfer workouts to the Garmin devices. Workouts consist of a series of intervals to which the user can assign a duration and target pace value. The devices display the intervals of a particular workout during operation, for example, by counting down the time for which the user intends to maintain a particular pace. The devices may also display the user’s actual pace, e.g., 50 to 70 spm, or steps per minute. The devices do not play music or output a beat corresponding to the user’s desired or actual pace.

(要旨:ランナー等が使用するGPS機能付き時計及びマイクロコンピュータで、ランナーの実際の速度を表示できるが、ランナーの望む又は実際の速度に対応した音楽を演奏したり、ビートを出力したりはしない。)

 

 

 

CAFC

http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/14-1396.Opinion.2-13-2015.1.PDF

 

 

U.S. Patent No. 8101843

http://pdfpiw.uspto.gov/.piw?PageNum=0&docid=08101843&IDKey=28D48E1DF552%0D%0A&HomeUrl=http%3A%2F%2Fpatft.uspto.gov%2Fnetacgi%2Fnph-Parser%3FSect1%3DPTO1%2526Sect2%3DHITOFF%2526d%3DPALL%2526p%3D1%2526u%3D%25252Fnetahtml%25252FPTO%25252Fsrchnum.htm%2526r%3D1%2526f%3DG%2526l%3D50%2526s1%3D8101843.PN.%2526OS%3DPN%2F8101843%2526RS%3DPN%2F8101843

 

 


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