浅村特許事務所 知財情報
2014年9月12日
ロシア ロシアにおける知的財産権関連規定の改正
【要約】 ロシアの民法典(知的財産権に関する第4部)の大幅な改正があり、改正の大部分は2014年10月1日より施行される。 |
ロシアの民法典(知的財産権に関する第4部)の大幅な改正があり、改正の大部分は2014年10月1日より施行される。主要な改正事項は以下の通りである。
1.無償の譲渡・ライセンス契約の禁止
従来、無償の譲渡・ライセンス契約は実質的には認める運用となっていたが、無償の譲渡・ライセンス契約が明確に禁止されることとなった。
2.登録申請における契約書の添付が不要に
譲渡・ライセンス等の登録申請において、契約書の添付が不要になり、契約書の不備を理由として申請が認められないリスクが無くなった。
契約書本体の添付は不要になり、申請は以下の様な手続で事足りる。
①両当事者による申請
②両当事者が署名した申立書又は契約書抄本を添付した一方の当事者による申請
3.特許権及び実用新案権の存続期間に係る改正
特許権の存続期間は20年であり、医薬品・殺虫剤・農薬については5年の延長が可能であったが、改正により存続期間延長は製品に限られ、製造方法は含まれなくなった。
また、実用新案権の存続期間は10年であり、3年の延長が可能であったが、存続期間延長が廃止されることとなった。
4.意匠権の存続期間に係る改正
現行の意匠権の存続期間は15年間であり、10年の延長が1回可能であったが、存続期間は5年に改正され、5年ずつ計4回延長できることとなった。
5.意匠の本質的特徴の一覧表が不要に
現行法では意匠の保護範囲を定めるものの一つとして必要であった本質的特徴の一覧表の提出が不要になった。
意匠の保護範囲は、図面と明細書により定められる。
6.商標の同意書に係る改正
類似商標についてロシア特許庁が需要者の混同を招くおそれがあると判断した場合、同意書を提出しても登録は認められない。従って、同意書が拒絶理由の解消に有効かの検討が必要である。
また、一度発行した同意書の取り下げができなくなることとなったので、発行する側に立った場合には慎重な対応が求められるとともに、発行を打診する際は取得が困難になる可能性に留意すべきである。
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