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イスラエル バイオ医薬後続品(バイオシミラー医薬品)の登録及び使用に関する新指針

浅村特許事務所 知財情報 
 2014年7月30日


イスラエル バイオ医薬後続品(バイオシミラー医薬品)の登録及び使用に関する新指針


【要約】

2009年に発表されたガイドラインに代わって新指針が発表され、2014年4月1日に発効した。新指針には、バイオシミラー医薬品の登録要件、先行新薬とバイオシミラー医薬品との臨床における選択、バイオシミラー医薬品の表示、その適応症の承認、及び薬剤監視の項目が含まれている。

 

2014年4月1日、イスラエル保健省は、新しい実施規程No.127“Policy regarding Registration and Use Conditions of Bio-Similar Pharmaceuticals”を発表し、即日発効させた。これには、イスラエルにおけるバイオシミラー医薬品の登録及び使用に対する、より体系的且つより詳細な指針及び要領が規定されている。

 

本実施規程が発行されるまでは、保健省は、内部的なガイドライン(発表:2009年3月31日)を用いて関連する業務を行っていた。当該ガイドラインには、バイオシミラー医薬品の登録について、欧州医薬品庁(EMA)における「バイオシミラー」のルートにより登録されているか、又は米国食品医薬品局(FDA)における「蛋白質性医薬品の後続品(FOPP)」のルートにより登録されている場合に、イスラエル保健省においても登録を受けることが可能であるとされていた。各登録申請は、ケース・バイ・ケースにより検討されるとされていた。

 

本実施規程は、先ず、バイオシミラー医薬品が生物から産生される活性成分を含む医薬品であることを規定している。また本実施規程は、当該医薬品の複雑さ及び製造方法の相違から、生物学的活性成分は、化学的後発品(ジェネリック医薬品)と類似してはいるが、同一ではないことを明確にし、ジュネリック医薬品に適用されるルールはバイオシミラー医薬品には適用されないと規定している。

 

本実施規程は、「バイオシミラー医薬品」を、オリジナルの生物学的医薬品(「先行新薬」)の活性成分に類似する生物学的活性成分を含む生物学的医薬品と定義している。バイオシミラー医薬品は、比較試験により品質特性、生物学的活性、安全性、及び有効性の点において、先行新薬に類似することが示されたものでなければならない。(なお、バイオ医薬品の構造の複雑さ及びその製造法のため、バイオシミラー医薬品と先行新薬の生物学的活性成分は類似するに留まり、同一ではない場合がある。)

 

本実施規程によると、一般的に、保健省は、関連する問題について、バイオシミラー医薬品に関するEMAの指針をイスラエルの実情に適合させて採用している。

 

 

バイオシミラー医薬品の登録要件

 

実施規程は、イスラエルにおいてバイオシミラー医薬品を登録するために2つの要件を規定している。これらはいずれも充足されなければならない。

(i) 当該バイオシミラー医薬品が、EMA又はFDAにおいて登録されていること。

(ii) 登録簿に含まれるデータにおいて、当該バイオシミラー医薬品が先行新薬に類似していること、及び品質、安全性、ならびに有効性の点において相互に有意な相違がないことが立証されていること。

 

原則として、先行新薬がイスラエルにおいて登録されていない場合、対応するバイオシミラー医薬品の登録は認められない。

しかし、国として臨床的必要性が存在するといった例外的な場合には、先行新薬がイスラエルにおいて登録されていなくても、あるバイオシミラー医薬品が承認規制当局(FDA又はEMA)のいずれかによって承認されている場合は、当該バイオシミラー医薬品の登録が検討される場合もある(いずれの場合においても、保健省は、その裁量により付加的な情報を要求することができる。)。このような例外的なケースは、実施規程に示されたバイオシミラー諮問委員会における審議に諮られ、最終的な決定は保健省の管理の下で行われる。

 

先行新薬又はバイオシミラー医薬品の選択

 

実施規程によると、先行新薬とバイオシミラー医薬品のいずれを治療に利用するかについて医療機関が決定できることになっている。従って、バイオシミラー医薬品の商品名は、医療機関によって発行された処方箋に記載されなければならない。

一旦、このような治療が開始されると、先行新薬とバイオシミラー医薬品との間での代替使用が自動的に行われることはない。

他方において、当該実施規定には、特定のバイオシミラー医薬品による特定の先行新薬に対する互換性が認められる(登録簿に登録することにより)余地が残されている。互換性の認定は、バイオシミラー医薬品の登録の際、あるいは登録までの期間中のいずれかにおいて認められ得る。互換性の承認はバイオシミラー諮問委員会の推薦に基づいて行われる。

 

バイオシミラー医薬品の表示

 

更に、本実施規程では、バイオシミラー医薬品の表示の問題についても対応策が示されている。これによると、バイオシミラー医薬品は、明確に特定する方法により、他の生物学的医薬品と区別できるように表示されなければならないことになっている。

更に、商品名とともに活性成分名が括弧書きで表示される。当該表示は、ラベル、リーフレット、薬品登録簿、及び薬品情報データベースに記載されなければならい。

 

バイオシミラー医薬品の適応症の承認

 

更に、実施規程は、バイオシミラー医薬品に対する適応症の承認について具体的な規定を設けている。

 

バイオシミラー医薬品の適応症の承認には、以下の要件を充足することが必須である:

(i)   当該適応症が先行新薬についても承認されている

(ii) 当該適応症がバイオシミラー医薬品の臨床試験において試験されている

(iii) 当該適応症がEMA及び/又はFDAにより(そのバイオシミラー医薬品に対して)承認されている。

 

先行新薬についての適応症に基づく推定による承認は、前記原則に対する例外をなすものであるが、その推定は、当該バイオシミラー医薬品の生物学的作用機構が先行新薬と同一である場合にのみ認められる。

 

薬剤監視(ファーマコビジランス)

 

バイオシミラー医薬品の使用経験が欠如しているため、当該実施規程においては、薬剤監視を非常に重視している。従って、バイオシミラー医薬品の登録申請には、リスク管理計画又はリスク査定及び軽減方法が含まれていなければならない。

 

登録対象者が、有害作用についての積極的な報告を行うことが要請されている。(なお、この点に関し、製薬会社は、1998年付の製薬業者管轄部門の実施規程「Report on Adverse Effects and Medicinal Information」に従うことが求められている。)

 

 

 


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