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中国 不正競争防止法(2025年改正)

2025年10月 7日
 弁理士法人 浅村特許事務所


中国 不正競争防止法(2025年改正)


 



 中国の不正競争防止法「中華人民共和国不正競争防止法(反不正当竞争法)」改正案は、2025年 6月27日に可決され、 2025年10月15日に施行されます(第41条)。

 本改正により、条文は従来の33条から41条に拡充され、不正競争行為の範囲や関連責任が明確化されました。

 特に、第40条として、本法律は中国国外の不正競争行為についても適用される旨の規定が新たに追加されました。

 中国国外での中国企業に影響する虚偽の宣伝、誹謗中傷等による不正競争行為に対し監督・検査が行われますので(第5条)、十分留意する必要があります。

 

主な改正点
              

・ 不正競争行為の防止、公正な競争のための良好な環境及び条件を作り出すための措置(第4条)

 各級人民政府は、不正競争を防止・制止し、公正な競争のための良好な環境及び条件を作り出すための措置を講じなければならない。
国務院は、不正競争防止業務の調整の仕組みを確立・整備し、市場の競争秩序の維持に関する重大な問題を調整、処理する。

 

・ 不正競争行為に対する監督・検査(第5条)

 市場の管理監督の職責を履行する部門は、不正競争行為に対して監督、検査を行う。

 

・ 混同行為規制の拡充(第7条)

 他人の商標、名称、氏名、ウェブサイト名、アプリケーション名、ドメイン名、アカウント名、アイコン等を検索キーワードとして利用し、誤認混同を引き起こす行為を禁止。
従来は解釈上グレーゾーンであったが、明文化された。

 

・ 幇助行為の明文化(第7条)

 他人の登録商標又は未登録の馳名商標(公知と認知されている商標)を無断で会社の商号として使用し、 又は他人の商品名、会社名(略称、商号等を含む)、登録商標、未登録の馳名商標等を検索キーワードとして設定することにより、 他人の商品である、若しくは他人と特定の関連性があると誤認させる行為は、混同行為に該当する。

 

・ 贈収賄の規制強化(第8条)

 従来の贈賄行為のみならず、収賄行為も不正競争行為とする。

 

・ 優越的地位の乱用規制(第15条)

 不合理な取引条件の強制、支払遅延等が不正競争行為とされる。

 

・ プラットフォーム事業者の義務(第21条)

 プラットフォーム事業者は、契約・規則にてプラットフォーム内の公平な競争のルールを明示し、不正競争の通報・苦情申立て及び紛争処理の仕組みを確立することにより、 プラットフォーム利用者の不正競争行為を防止する義務を負う。

 

・ 責任規定の強化(第35条、第38条)

 差止請求等の制度が拡充(第35条)。
本法の規定に違反し、治安管理違反行為に該当する場合には、法律に基づき治安管理処罰を科す(第38条)。

 

・ 附則 法律の適用範囲(第40条)

 本法に規定する不正競争行為が中国国外で行われ、中国国内の市場競争秩序を乱し、中国国内の事業者または消費者の合法的な権益を害した場合は、 本法および関連法律の規定に従って処理する。

 

参考

 中华人民共和国反不正当竞争法_最高人民检察院门户网

 ジェトロ参考訳文 中華人民共和国反不正競争法