2026年 6月22日
浅村特許事務所 知財情報
ベトナム 改正知的財産法 施行(2026年 4月 1日)
ベトナムは、知的財産法を改正し、2026年 4月 1日に施行しました。
デジタル化、国際化、最新の知財状況に対応し、かつ将来を見据えた大幅な改正となっています。
概要
1.合理化に伴う期間短縮
・審査期間
実体審査請求期間は、出願公開日前に提出された場合は出願公開日から12か月以内、 又は実体審査請求が出願公開後に提出された場合は実体審査請求の受領日から12か月以内(改正前:18か月以内)(119条②a))
・早期公開
早期公開の請求日又は出願書類が方式上有効と認められた日のいずれか遅い日から1か月以内(改正前:2か月以内)(110条②)
・審査請求期間(113条①)
出願日又は優先権主張時は優先日から36か月に実体審査を請求することができる(改正前:42か月)
・付与前異議申立期間 (112a条①a))
出願公開日から起算して6か月以内(改正前:9か月以内)若しくは早期実体審査の対象となる場合は公開日から3か月以内
2.審査の迅速化(119条2a)
審査迅速化のオプションが利用可能に。
早期実体審査を請求した場合、早期実体審査は119条②a)の日から3か月以内に実施される。
3.AIの扱い
・AIシステムのトレーニングを目的とする場合に、知的財産権の対象に関するテキストデータのアクセスが可能に (7条⑤)
・AIによって生成された知的財産に関する規制を導入する (6条⑤)。 今後、詳細な規定がされる予定
・AI発明者の扱い(発明者は人間でなければならないことが規定)(96条①d)
4.権利行使の強化
・法定損害賠償額の上限の引上げ(上限額の倍増や精神的損害に対するより明確な賠償額の範囲の導入)
上限額: 10億VND(改正前:5億VND)(205条①d)
精神的障害を被った場合(算定方式変更):基礎賃金×10〜100倍(改正前:500万VND~5000万VND)(205条②)
・デジタル海賊版や偽造品に対する対応の強化
知的財産権侵害行為に関連する、侵害オンラインコンテンツへのアクセスを削除・非常時・無効化する権限を当局に付与(207条①dd)
5.委任状(107条③)
・委任状有効期間の明示義務。明示がない場合は有効期間1年
(改正前:有効期間付きでない委任状は、無期限に有効とみなし、本人がその旨宣言したときにのみ終了する。)
・公証が不要に:現地代理人を通じ決定に対する不服申立てを行う国外の組織・個人は、委任状の公証または認証手続きが不要(119条a②)
6.商標
・審査期間
出願公開日から5か月以内(旧:9か月以内)(119条②b))
早期実体審査を請求することができ、その場合、早期実体審査は出願公開日から3か月以内に実施される (119条2a)
・出願公開
商標登録出願書類は、出願が方式上有効と認められた日から1か月以内に公開される(110条③)
・「Vietnam」や類似の国名を示す表示を含む商標には識別性があるとはみなさない (74条②dd1)
7.意匠
・出願公開
工業意匠登録出願書類は、出願が方式上有効と認められた日から1か月以内に公開される(110条③)
・審査の迅速化
出願公開日から5か月以内に実体審査が行われる(旧:7か月以内)(119条②b))
・意匠保護の範囲拡大 (4条⑬)
・有形製品の物理的外観のほか、デジタルデザイン(GUI等)、バーチャルデザイン等の非物理的製品まで保護対象を拡大
・部分意匠の保護
・改正規則では、意匠権侵害の判断についてもより明確な指針を示している
製品間の「実質的な類似性」を定義。(政令第100号/2026)
8.著作権
・単独で用いるアイデア・スローガン・作品の題名は著作権保護から除外される(15条④)
・隣接権で保護される組織・個人の拡大(16条③)
実演の音響、映像、又はその他の音響及び映像の固定化を最初に する組織個人のみならず、 実演の音響・映像をいかなる媒体で再現したり、責任を持つ組織・個人も「レコードの製作者」とする。
9.知的資産の経済資産として活用 (8 a条)
知的財産権を有形の経済資産として扱う。
知的財産権は会計上の資産として計上される責任を負い、知的財産の出資や資金調達を目的とした担保等の活用を推奨する。
10.国防・安全保障関係出願(89a条①)
当該関係の出願はベトナム国に第一国出願しなければならないとする義務を、国防省又は公安省の承認を得た場合に限り廃止。
11.経過措置(改正法3条)
改正法施行日前(2026年 3月31日以前)の出願は、提出時の法律の規定に従う。
ただし以下は、改正法の規定が適用される。
・適法出願と認められていない出願資料に対する形式審査
・2026年 4月 1日以降に公開された出願に対する異議申立期間
・2026年 4月 1日以降に公開された出願に対する実体審査期間