2022年 2月10日
浅村特許事務所
中国 ハーグ協定に加盟
浅村特許事務所
中国弁護士 鄭 欣佳
中国は2022年 2月 5日にハーグ協定の1999年ジュネーブ改正協定に加入しました。
加入の効力は2022年 5月 5日に発生します。
2022年 2月 5日、中国政府はハーグ協定の1999年ジュネーブ改正協定への加入書を寄託しました。これにより、中国はジュネーブ改正協定の68番目の締約国となり、ハーグ協定の77番目の締約国となりました。
中国におけるジュネーブ改正協定加入の効力発生日は、2022年 5月 5日となります。この日より中国を指定してハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく意匠の国際登録制度を利用することが可能となります。
ハーグ協定のジュネーブ改正協定加盟時に、中国が宣言した内容と対象条項をご紹介します。
(ジュネーブ改正協定:協定;改正協定に基づく共通規則:共通規則)
中国が宣言した内容と対象条項
宣言内容 |
詳 細 |
条 項 |
国際出願に追加される必須の内容 |
出願の対象である意匠の複製物又は特徴についての簡潔な説明 |
協定5条 |
指定手数料 |
個別指定手数料の受領 |
協定7条 (2) |
意匠/複製物 |
意匠の単一性を要件とする |
協定13条 |
拒 絶 |
12ヶ月以内に拒絶の通報を行う |
共通規則18条 |
国際登録の発効日 |
最大6ヶ月の延長 |
共通規則18条 |
その他 |
所有権変更の際の証明書提出 |
協定16条 (2) |
また、1999年ジュネーブ改正協定は、中国政府の別途通知がない限り、香港特別行政区・マカオ特別行政区に適用されません。
中国意匠出願件数
年 |
2017 |
2018 |
2019 |
2020 |
意匠出願件数 |
62.9万件 |
70.9万件 |
71.2万件 |
77.1万件 |
(出典:CNIPA2020年知財統計年報)
上記の表にまとめた通り、中国の意匠出願件数は年々増加しています。WIPOの2021年統計(下記の図を参照)によると、ハーグ協定の加盟国ではなかった中国からの出願意匠数は、既にハーグ協定を利用して出願する意匠数国ランキングの9位となっています。中国企業は、ハーグ協定を利用するニーズを十分有していることが分かります。
2021年 6月より施行された改正専利法では、意匠の存続期間が15年に延長されました。これもハーグ協定に加盟するための準備の一つです。
宣言を行った意匠単一性の要件からすると、既に中国専利法にある類似意匠制度(類似する意匠は10個まで1つの出願に入れることができます)も利用できるようですので、中国のハーグ協定への加盟は、中国やほかの加盟国にとって有益となることが期待できます。