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【中国】改正専利法の施行に関する Q&A [2021年 6月15日]

2021年 6月15日
浅村特許事務所


【中国】改正専利法の施行に関する Q&A


   浅村特許事務所 中国弁護士
鄭 欣佳 訳

改正専利法の施行に関する Q&A

2021年 5月27日


中国国家知識産権局オフィシャルサイトより

1.2021年5月31日までに出願された意匠の存続期間は何年になりますか?

 中国《立法法》第93条には、個人、法人、その他の組織の権利と利益をよりよく保護するために作られた特別な規定を除き、法律、行政法規、地方法規、自治条例及び単行条例、規則は遡及して適用されない旨が規定されています。2020年10月に、全国人民代表大会常務委員会は専利法の改正案を可決しましたが、この改正専利法において遡及の問題について特別な規定はありませんでした。そのため、改正専利法施行前に出願された意匠、付与された意匠権についての改正前の専利法による存続期間は、10年となります。

2.出願人は、2021年6月1日以降製品の一部の保護を求める意匠を出願することができますか?

 産業の発展に伴い、製品のデザインは洗練されてきており、成熟した製品の全体的なデザインを創作することは困難になってきました。一方、部分的なデザインは、デザイン創作の重要な位置を占めつつあり、デザイナーは部分的なデザインの保護を一層求めています。このような背景を踏まえ、改正専利法第2条第4項は、製品の「部分」デザインに専利保護を与えることが明確にされました。
 2021年6月1日以降、出願人は製品の部分的な保護のため、部分意匠出願を国家知識産権局に提出することができます。しかし、改正専利法の実施細則はまだ改正の途中であり、また、これに対応する電子システムも開発途中の段階にあります。そのため、出願人は2021年6月1日からしばらくの期間(現時点で明確にはこの期間は決まっていませんが、国家知識産権局から追って明示される予定です。以下同様です。)、紙媒体またはオフラインの電子出願の形で上記の部分意匠出願を提出することが可能となっています。国家知識産権局は改正専利法の実施細則を施行した後、上記の出願の審査を開始します。


3.出願人は、2021年6月1日(同日を含む)以降に行った意匠出願に基づく国内優先権の主張をすることができますか?
   また、改正専利法第30条に基づき、優先権書類の副本を提出することができますか?

 今回の改正専利法に、意匠における国内優先権制度が導入されました。意匠出願人には、出願書類をさらに完備し、保護範囲を明確する機会が与えられます。改正専利法第29条には、中国で最初の意匠出願を行った日から6ヶ月以内に、同じ内容の意匠について国家知識産権局に出願した出願人は、優先権を取得することができる旨が規定されています。2021年6月1日以降にされた意匠出願であれば、出願人は意匠の国内優先権を主張する書面を国家知識産権局に提出することができます。しかし、改正専利法の実施細則はまだ改正中であるため、国家知識産権局は、改正専利法の実施細則を施行した後に、上記の出願および優先権の主張の基礎とされた先の出願に対して審査を行います。

 また、「放管服」改革(1) を着実に実行し、出願人の利便性を向上するため、今回の専利法改正では優先権書類の写しの提出期限に関する規定を改正しました。改正専利法第30条には、出願人が特許または実用新案専利の優先権を主張する場合、出願時に書面による声明を提出し、かつ最初に専利出願を提出した日から16ヶ月以内に、最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければならない旨が規定されています。
 出願人が意匠の優先権を主張しようとする場合、出願時に声明を表明した書面を提出し、かつ出願から3ヶ月以内に最初に提出した専利出願書類の副本を提出しなければなりません。出願日は、2021年6月1日以降にされた専利出願について、改正専利法第30条に基づく優先権書類の副本を提出することができます。


4.2021年6月1日以降、緊急事態等を理由とする公共の利益のために発明の内容を公開した場合、改正専利法第24条1項に基づき、新規性喪失の例外規定の手続きを申請することは可能でしょうか

 国家において緊急事態または非常事態(疫病の大流行など)が発生した場合、公共の利益を守るために直ちに発明を実施しなければならない場合がありますが、このような実施による発明の開示は、改正前の専利法では新規性喪失の例外の規定には該当しないため、新規性が喪失し、当該発明の保護がされないというリスクがあります。
 疫病の予防・制御などの非常事態に対応し、これらの発明を病気の治療などにタイムリーに適用し、公衆衛生上の問題を解決することを促進し、新規性喪失の例外を緩和する革新的なテーマのニーズに応え、発明をより適正に保護するために、改正専利法第24条に新規性喪失の例外適用事由が一つ追加されました。即ち、国家において緊急事態又は非常事態が発生し、公共の利益のために初めて公開した場合も、新規性喪失の例外規定の適用対象となりました。
 出願日が2021年6月1日(同日を含む)以降の専利出願について、出願人が改正専利法第24条第1項に規定する事情があると判断した場合には、国家知的財産局に対し新規性喪失の例外規定を適用させるための猶予期間を申請することができます。
 しかし、改正専利法の実施細則はまだ改正の途中である、また、これに対応する電子システムも開発途中の段階にあります。そのため、出願人は2021年6月1日からしばらくの期間、紙媒体の形で上記の部分意匠出願を提出することが可能となっています。国家知識産権局は改正専利法の実施細則を施行した後に、上記申請を審査することになります。


5.2021年6月1日以降に付与された特許の専利権者は、改正専利法第42条第2項に基づき、専利権の期間の補償を請求することができますか?

 中国《立法法》第93条には、個人、法人、その他の組織の権利と利益をより適正に保護するために作られた特別な規定を除き、法律、行政法規、地方法規、自治条例及び単行条例、規則は遡及して適用されない旨が規定されています。2020年10月に、全国人民代表大会常務委員会は改正専利法案を可決しましたが、改正専利法において遡及の問題について特別な規定はありませんでした。そのため、2021年6月1日以前に付与された特許に対して、専利権の期間の補償制度は遡及して適用されません。

 現在改正中の専利法実施細則では、専利法の関連補助法規として、専利権の期間の補償制度に関する内容―請求時期、出願人の不合理な遅延に属する状況等について、詳しく規定しています。専利法実施細則の草案は、2020年11月27日から2021年1月11日までの間に、公衆に向けて意見を募集していました。広範な協議、研究・実証に基づき、草案は、専利権者が権利付与の公告日から3か月以内に国家知識産権局に提出しなければならないと提言されています。

 また、改正専利法の実施細則はまだ改正の途中であり、また、これに対応した電子システムも開発途中です。そのためしばらくの間、2021年6月1日以降に公告により権利が付与された特許について、専利権者は権利付与の公告日から3ヶ月以内に、紙媒体で専利権の期間補償請求書を国家知識産権局に提出し、その後改めて本局が発行した費用納付通知書に基づいた関連費用を納付することになります。
 国家知識産権局は、改正専利法の実施細則の施行後に、前述の請求に対して審査を行います。

6.新薬の市販承認申請が承認された場合、専利権者は、2021年6月1日以降、改正特許法第42条第3項に基づき、専利権の期間補償を請求することができますか?

 中国《立法法》第93条には、個人、法人、その他の組織の権利と利益をより適正に保護するために作られた特別な規定を除き、法律、行政法規、地方法規、自治条例及び単行条例、規則は遡及して適用されない旨が規定されています。2020年10月に、全国人民代表大会常務委員会は専利法の改正を可決しましたが、この改正専利法において遡及の点について特別な言及はありませんでした。そのため、2021年5月31日(同日を含む)以前に市販許可された新薬に関連する特許については、医薬品専利期間補償制度は遡及して適用されません。

 
改正専利法第42条第3項に、新薬の発売承認審査にかかった時間を補償するために、中国で発売許可を得られた新薬に関連する特許について、国家知識産権局は専利権者の請求に応じて専利権の存続期間の補償を与える旨規定しています。補償の期間は5年を超えず、新薬発売承認後の専利権の合計存続期間は14年を超えないものと定めています。
 現在改正中の専利法実施細則では、専利法の補助規定として、医薬品の専利権の期間補償制度に関連する内容、適用される医薬品・特許の範囲、補償期間の計算方法、補償期間の保護範囲、補償条件等を詳しく規定しています。
 改正専利法実施細則の草案は、2020年11月27日から2021年1月11日までの間に、公衆に向けて意見を募集していました。広範な協議、研究・実証に基づき、草案は、新薬、調合方法、薬用に関する適格な特許について、医薬品特許の存続期間に対する補償を行うこと、専利権者が新薬の市販を許可された日から3ヶ月以内に本局に提出しなければならないことが提言されています。

 改正専利法の実施細則はまだ施行されておらず、また、これに対応した電子システムも開発途中です。そのため専利権者はしばらくの間、2021年6月1日以降に改正専利法第42条第3項に基づき、新薬の市販を許可された日から3ヶ月以内に、紙媒体で専利権の期間補償請求書を国家知識産権局に提出し、その後改めて国家知識産権局が発行した費用納付通知書に基づき関連費用を納付することが可能となっています。国家知識産権局は、改正専利法実施細則の施行後に、前述の請求に対して審査を行います。


7. 2021年6月1日以降、専利権者は所有する専利の開放的許諾を自発的に声明することができますか?

 今回の専利法改正は、特許の転化・応用を促進し、知財業界における需要と供給の情報の非対称性等の問題を解決するため、開放的許諾制度を導入しました。改正専利法第50条第1項に、専利権者が自ら書面にて国家知識産権局に、いかなる単位(2) 又は個人の当該専利の実施を許諾する意思がある旨の声明を行い、かつ許諾実施料の支払方式、基準を明確にした場合、国家知識産権局はこれを公告し、開放的許諾を実施する旨規定しています。2021年6月1日から、専利法第50条第1項の規定に基づき、専利権者が自発的に専利の開放的許諾を声明することができます。
 電子しかし、改正専利法の実施細則はまだ改正の途中であり、また、これに対応した電子システムも開発途中です。そのため、2021年6月1日以降、専利権者はしばらく紙媒体でその専利に対し自ら開放的許諾をする旨の声明を行うことが可能となっています。
 国家知識産権局は、改正専利法実施細則の施行後に、前述の声明に対して審査を行います。


8.被疑侵害者は、2021年6月1日から専利権評価報告書の発行を請求できることができますか?

 改正専利法第66条第2項に、専利権利侵害紛争が実用新案又は意匠に係る場合、人民法院又は専利業務管理部門は、専利権者又は利害関係者に対し専利権侵害紛争を審理し処理するための証拠として、国家知識産権局が関連の実用新案又は意匠について検索、分析、評価を行ったうえで作成した専利権評価報告書を提出するよう要求することができる;専利権者、利害関係者又は被疑侵害者は自発的に専利権評価報告書を提示することもできる旨規定しています。
 今回の改正専利法では、専利権評価報告書の発行を請求できる対象者を被疑侵害者まで拡大しました。この改正は、侵害のリスクを十分に評価し、合理的な対策を講じることにつながり、双方の専利権に対する合理的な期待を形成し、紛争解決を容易にし、権利保護のコストを削減することができる点で有利になります。
 被疑侵害者は、2021年6月1日から専利権評価書の発行を請求することができます。
 しかし改正専利法の実施細則はまだ改正の途中であり、また、これに対応する電子システムも開発途中の段階にあります。そのため、被疑侵害者は、2021年6月1日から一時的に紙媒体で特許権評価報告書の発行を本局に請求することが可能となっています。


9.国家知識産権局は、2021年6月1日から国家知識産権局初歩的審査、実体審査、再審査の各手続において、信義誠実の原則に基づいて専利出願を審査することができますか?

 信義誠実の原則は、中国民法の最も重要な基本原則の一つです。早くも1986年の民法総則第4条に採択され、民事活動は自発性、公平性、平等な価値と対価、信義誠実の原則に遵守すべきである旨規定されていました。
 2021年1月1日から施行された民法第7条に、「民事主体は、民事活動に従事するにあたり、信義誠実の原則を遵守し、誠実であることを堅持し、承諾を厳守しなければならない」と規定されています。重要な民事権利である専利権は、専利出願をするにしても、権利を行使するにしても、信義誠実の原則に従うべきであり、剽窃(ひょうせつ)や偽造によって専利権を取得してはならず、また、誠実の原則に反して濫用してはならなりません。
 そのため、専利法第1条には、発明創造を奨励すること、発明創造の応用を推進すること、イノベーション能力を高めることを立法目的とし、第5条に、法律と公序良俗に違反する、又は公共利益を妨害する発明創造に対しては、専利権を付与しない旨が規定されています。異常な専利出願は、専利法の立法趣旨に反するだけでなく、民法の信義誠実の基本原則にも反するものです。

 党中央委員会と国務院は知的財産権業務を非常に重要視しており、習近平総書記は知的財産権業務に関して一連の重要な指示を出し、知的財産権の保護を強化し、知的財産に関する出願審査の質と効率を向上させる必要性を強調しています。
 特に、2020年の中央政治局第25回集団研究の際、総書記は「知的財産権を導入する大国から知的財産権を創造する大国へ向かっての量を求めることから質の向上への」の実現を明確に提案しました。

 異常な専利出願を取り締まり、専利の質を根本から高めるために、国家知識産権局は2007年から一連の措置を講じています。2007年、国家知識産権局は局令第45号「専利出願行為の規制に関する若干の規定」を発布し、異常な専利出願行為とその処理措置を規定しました。2017年にはこれを改正し、局令第75号を発布しました。局令第75号には、異常な専利出願と判断される状況を追加し、処理措置も厳しくしています。
 国家知識産権局は、局令第75号に基づき、2018年から2020年にかけて、異常な専利出願の調査・処分を行い、イノベーションの保護を目的としない異常な専利出願事例を何度も各地に通知しました。今回の専利法改正には、信義誠実の原則が追加され、異常な専利出願行為を規制する法的根拠が法律上に明確かつ直接的に提供されたため、より専利の質が向上することが期待されます。

 国家知識産権局は、習近平総書記の知的財産業務に関する重要な指示を実行してきました。2021年以来、専利出願行為をさらに規制し、異常な専利出願の取締りを強化するため、1月27日に国家知識産権局は、地方知的財産権管理部門に対し「専利出願行為のさらなる厳格な規制に関する通知」を発表し、2月末には地方に異常な専利出願の調査状況を通知しました。国家知識産権局は、今回の通知およびその後の通知に間に合うように自発的に取り下げられなかった専利出願に対し、法律に基づいた措置を講じます。
 従って、国家知識産権局は、2021年6月1日以降、国家知識産権局改正専利法第20条第1項に基づき、専利出願に対し初歩的審査、実体審査、再審査の各手続きにおいて審査を行います。

注釈
(1)簡政放権(行政簡素化と権限委譲)、放管結合(権限委譲と管理の両立)、優化服務(サービスの向上)の略称です。
     詳しくは下記のURLをご参考ください。
    http://www.peoplechina.com.cn/zlk/wlxcy/201712/t20171215_800112277.html

(2)(行政機関・軍隊・学校・企業・団体に隷属する)事業所、出先機構、部門(一人一人が所属する)、職場、勤め先。