2021年 3月29日
浅村特許事務所 知財情報
インドネシア インドネシアの特許法改正について
2020年11月から2021年 2月にかけてインドネシアの法改正と規則改正が行われました。
1.特許の実施と実施義務
・輸入またはライセンスも特許の実施と見なされる
インドネシア特許法では、特許権者はインドネシア国内で3年以内に特許発明を実施する義務があります。従前は特許発明の実施は、特許製品の製造と方法の使用に限られていましたが、法改正により輸入またはライセンスも特許の実施と見なされるようになりました。
・特許実施延長の申請の手続きは廃止
従前の規則では特許発明の不実施期間は、原則、特許付与後3年以内に申請することにより、5年まで延長することができました。また、従前の規則では2019年12月9日より前に付与されたすべての特許に対して、特許不実施期間の延長申請のための期限が、2022年12月8日まで延長されたこともありました。
しかし、改正規則下では、特許実施延長の申請の手続きは廃止となりました。
これまでインドネシア特許をお持ちのお客様で、年金管理を弊所に引き続きご依頼いただいているお客様には、登録から3年の期限前に特許実施延長申請の有無のお伺いを立ててきましたが、今後は不要としてお伺いは廃止いたします。
詳細
インドネシア特許法では、特許権者は登録から3年以内にインドネシア国内で製品を製造し、方法を使用しなければならないと規定されています(法13/2016の第20条)。しかし多くの特許権者はインドネシア国内での製品製造や方法使用ができないことを受け、その場合は登録から3年以内に特許実施延長の申請を行えば、さらに5年の実施の猶予が得られました(規則15/2018及び規則30/2019)。一方、輸入等を特許の実施と認めないことに関しTRIPS協定違背の指摘もあり、オムニバス法11/2020の第107条(2020年11月2日施行)により、法13/2016の第20条が改正され、輸入及びライセンスも特許の実施とみなされることになりました。ところが今年、規則14/2021(2021年2月3日施行)が発布され、特許実施延長の申請の規定が削除され、申請手続きが撤廃され、提出できないこととなりました。なお、すでに提出された申請は従前の規則30/2019に基づいて扱われます。
2.小特許の実体審査の請求
小特許(日本の実用新案に該当する)の実体審査請求は、出願と同時に提出されなければない。特許出願の提出の際に実体審査請求を提出しない出願人、または支払いを行わない出願人については、その小特許を無効とする、または取り下げたものとみなされる。