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イギリス  イギリスの欧州連合(EU)離脱(いわゆるBrexit)による欧州連合の商標と意匠への影響

2020年12月25日
浅村特許事務所 知財情報


イギリス 英国の欧州連合(EU)離脱(いわゆるBrexit)による欧州連合の商標と意匠への影響


 



 英国は2020年1月31日に欧州連合(EU)を離脱しました。

 英国がEU加盟国とほぼ同等に扱われる「移行期間」があり、新たに期間延長等の見直しがされない場合は、その期間は2020年12日31日までの予定です。
 2021年1月1日以降の欧州連合の商標と意匠は、以下のように取り扱われる予定です。

◆欧州連合の商標意匠の取扱い(移行期間の変更がない場合)
 Brexitの移行期間(2020年12月31日迄)の満了の際の手続状況により、以下のとおり、取扱いは異なります。

(1) 移行期間満了前に、登録済みの欧州連合商標と、登録と公報掲載済みの登録共同体意匠
 2021年1月1日に英国において同等の商標権、意匠権が付与されます(移行手続不要)
 出願日(優先権主張されている場合は優先日)も維持されます。 
 但し、英国の商標権、意匠権の維持管理について後述の注意点をご確認ください。

(2) 移行期間満了時点で、未登録の欧州連合商標、登録公報未掲載の共同体意匠
 2021年1月1日に英国においては効力を失います
 移行期間の終了から9ヶ月以内(2021年9月30日迄)に、同一商標(指定商品役務は元の範囲内)、同一意匠について、出願日(優先権主張されている場合は優先日)を維持して、英国において再出願することができます

 再出願のオフィシャル費用は、通常の英国における商標と意匠の出願の場合と同額の費用がかかります。

前記 (1) の場合に英国で付与される同等の商標権、意匠権の維持管理の注意点
1.同等の英国商標権の管理の注意点
 対応する欧州連合商標が、
 (1) 欧州連合知的財産庁(EUIPO)に直接出願して登録されたものである場合、また、
 (2) マドプロ国際出願で欧州連合(EM)を指定して保護認容されたものである場合
 
のいずれについても、同等の英国商標権の維持には、英国知的財産庁(UKIPO)に対して将来の10年毎の更新手続きが必要です。
 つまり前記 (2) の場合でも、国際登録とは独立した英国商標登録として保護され、将来の更新も英国知的財産庁(UKIPO)に対して行う必要があります。
 なお、商標の国際登録の「事後指定」と「代替制度」を利用して、前記の対応英国商標登録を、国際登録で実質的に保護する方法も理論上は可能ですが、
こうしたオプションはケースバイケースで検討が必要となりますので、ご検討をご希望の場合は、弊所の担当部門の弁理士までお問合せください。

2.同等の英国意匠権の管理の注意点
 対応する登録共同体意匠が、
 (1) 欧州連合知的財産庁(EUIPO)に直接出願して登録されたものである場合、また、
 (2) ハーグ国際出願で欧州連合(EM)を指定して保護認容されたものである場合
 
のいずれについても、同等の英国意匠権の維持には、英国知的財産庁(UKIPO)に対して、将来の5年毎の更新手続きが必要です(出願日から5年毎の更新で出願日から最長で25年間存続させることができます)。
 つまり前記 (2) の場合でも、国際登録とは独立した英国意匠登録として保護され、将来の更新も英国知的財産庁(UKIPO)に対して行う必要があります。