浅村特許事務所 知財情報
2020年11月10日
中国 パテントリンケージシステムに関する法案を公表
2020年7月3日に、国家知識産権局(CNIPA)と国家薬品監督管理局(NMPA)がパテントリンケージシステムに関する法案を公表しましたので、概要をご紹介します。
パテントリンケージシステムに関する法案の概要
(1)中国での販売について承認登録された医薬品の特許情報を登録するためのプラットフォーム(中国版オレンジブック)を設立した。
(a)医薬活性成分である化合物
(b)活性成分を含む医薬品組成物
(c)化学物の医療用途
(d)生物学的製剤における生物学的配列
(e)漢方薬組成物
(f)漢方薬抽出物
(g)漢方薬の医薬用途に関する特許が登録可能である。
登録される情報は、特許番号、特許のタイプ、特許権者、販売ライセンス所有者、特許存続期間満了日等である。
特許情報プラットフォームへの登録は、特許公報発行から30日以内にしなければならない。
情報の変更が生じた場合には、変更の登録が可能であり、変更が生じてから30日以内にしなければならない。
情報の真正、正確さ、及び完全性は、申請者又は販売ライセンス所有者が負い、意図的に誤った認証を提出した場合など一定の場合に罰則がある。
(2)後発医薬品の承認申請者は、特許情報プラットフォームでリストされている関連医薬品の関連特許ごとに、次の4種類のいずれかの認証を提出する必要がある。
(i)特許情報が無い。
(ii)特許期間の終了している、または特許の無効が宣言されている。
(iii)特許期間の満了まで後発医薬品を販売しない。
(iv)特許は無効と宣言されるべき、または後発医薬品は関連特許の保護範囲に属しない。
(3)特許権者又は利害関係人は、国家医薬評価機関が後発医薬品承認申請を公表した日から45日以内に、裁判所に法的措置を講じるか、CNIPAに行政決定の要求を提出することができる。
この場合、裁判所又はCNIPAにケースが受け入れられた後10日以内に受領書をNMPAに提出する必要がある。
(4)NMPAは、裁判所又はCNIPAにケースが受け入れられた後9か月の待機期間を設定する。
この期間中、後発医薬品の承認はされないが、技術審査は中断されない。なお、待期期間は、バイオシミラー及び漢方薬には適用されない。
(5)(a)医薬活性成分である化合物、(b)活性成分を含む医薬品組成物、又は(c)化学物の医療用途に関し、
(i)又は(ii)の認証が提出された場合、
技術的な審査がなされ、販売承認するか否かの決定がされる。
(iii)の認証が提出された場合、
技術的な審査を通過した後、特許権の存続期間の終了まで販売されないと特記したうえで販売を承認する決定がされる。
(iv)の認証が提出された場合に、特許権者又は利害関係人が、所定の期間内に、裁判所に法的措置を講じるか、CNIPAに行政決定の要求を提出した場合、
特許権者等は、判決又は決定を受領した日から10日以内に判決又は決定を国家医薬評価機関に報告しなければならず、国家医薬評価機関は、判決又は決定に従って以下のように処理する。
(ア)後発医薬品が、関連特許の保護範囲に属すると判断された場合には、後発医薬品の承認申請は特許の有効期限の20営業日前まで行政審査および承認ステップに付されない。
(イ)関連特許の保護範囲に属しないと判断された場合、当事者間で和解が成立した場合、関連特許の無効が宣言された場合、待機期間内に判決又は決定がなされない場合には、後発医薬品の承認申請は行政審査および承認ステップに付される。
ただし、関連特許の保護範囲に属するとの判断が裁判所によって覆された場合には、最終的な判決に従って処理される。
(6)バイオシミラー及び後発漢方薬の販売承認は、技術的審査の結果に従って決定することができる。
特許権者又は利害関係人が、所定の期間内に、裁判所に法的措置を講じるか、CNIPAに行政決定の要求を提出し、バイオシミラー又は後発漢方薬が関連特許の保護範囲に属すると判断された場合、技術的な審査を通過した後、特許権の存続期間の終了まで販売されないと特記したうえで販売を承認する決定がされる。
(7)最初に特許にチャレンジして後発医薬品が承認された化合物の医薬品の承認申請者は、12か月の市場独占権を取得する。
それ以降の後発医薬品の承認申請は市場独占期間の満了の20営業日前まで行政審査および承認ステップに付されない。
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