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ミャンマー 商標法施行に関する最新情報

浅村特許事務所 知財情報
 2019年12月26日


ミャンマー 商標法施行に関する最新情報


 



 以前にも簡単にお知らせしましたとおり、新商標法のソフトオープニング(soft opening period)の開始時期については、2020年1月初旬と予想されていましたが、2019年12月26日現在、開始時期について公式情報を当所では得ておりません。今日は現時点でお知らせできる情報に限りお伝えしたいと思います。

- soft opening periodの期間中は、新規出願は認められず、re-filingのみが認められるとされております。 
 現行システムにおいては、権利・保証登録官室(Office of Registrar of Deeds and Assurances)に所有権宣言(declaration of ownership)を提出し、当該宣言が登録され、登録番号を得た後、主要な新聞上で、警告的通知(Cautionary Notice)を行うというプラクティスになっていました。
 
soft opening periodの期間中のre-filingにおいては、この、権利・保証登録官室に登録された所有権宣言に基づいてのみ出願できるとされているようです。

- 現行システムにおいては、権利・保証登録官室において、所有権宣言が登録されていただけであるため、商標の識別力や類似先行商標の存在についての審査は行われていませんでした。新制度は、「商標法」に基づくものであるため、登録性について審査されます。これが、現行制度と新制度の違いになります。もっとも、審査において、絶対的拒絶理由(absolute ground)のみ職権審査されるのか、相対的拒絶理由(relative ground)を含め職権審査されるのかについては、まだMDIPの公式発表を当所として得ておりません。
 MDIPでの審査において絶対的拒絶理由のみ職権審査するという場合、当事者によって異議申立やその他のアクションの方法で類似商標に対応していく必要が出てくると予想されます。

- 類似商標間の優劣がどのような基準によって判断されるのかについても公式発表がありません。
 この点、商標の使用開始日、現在の商標の使用状況等についても判断資料とされるのではないかという情報もあり、そのため、使用証拠の収集が現地代理人によって推奨されているのです。

 以上より、現時点において、少なくとも、準備、確認しておくべきことは以下の通りとなります。

① re-filingに最低限必要なものは、「ORDによる登録認証済み所有権宣言書及び委任状」となるため、当該所有権宣言書を用意しておく。また、正式には更新ではないものの、例えば3~5年毎に、所有権宣言を出し直したり、警告的通知を繰り返していたような場合には、それらの書類も全て代理人に渡せる状態にしておく。写しでよいかどうかという点については、全件オンライン申請となる予定との情報がありますが、まだ未確定です。

② 登録済み所有権宣言書及び警告的通知に記載されている、権利者名・住所と、現在の御社名・住所の相違があるのか、権利の移転があったか確認する。
 社名・住所の変更、権利移転があった場合の対応方法については、はっきりした情報がありませんが、そうした変更があったことを公的に証明できる書類(法務局作成の登記事項証明書)の提出を求められる可能性があります。

③ 現地代理人からの情報によれば、必須とはされていないものの、使用証拠については、既に当該商標をミャンマーで使用開始している場合には、(ⅰ)使用開始日がわかる書類及び(ⅱ)現在も商標を使用していることを示す書類を集めておくことが望ましいと思われます。

 ミャンマーより続報入り次第お知らせいたします。