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香港 香港特許法の改正

浅村特許事務所 知財情報
 2019年11月20日


香港 香港特許法の改正


 



2019年12月19日施行の香港特許法の改正についてお知らせします。改正後は、中国特許、EP特許(英国指定)、英国特許を経由せずに直接香港に特許出願ができるようになります。

まずおさらいをしますと、現行の香港特許法で付与される特許には、標準特許(Standard patent)と短期特許(Short-term patent)とがあります。現行法の下での標準特許は「確認特許」と呼ばれることもあります。

今回の改正特許法では、「確認特許」のほかにもうひとつ、「原授標準専利制度」(Original Grant Patent、OGP)というオプションが標準特許に追加されることになります。いわば、直接出願特許ともいうべきものです。以上の3つを簡単に説明すると以下の通りです。

標準特許(確認特許)(従来から)
 標準特許とは、香港特許庁に直接出願するものではなく、指定された特許庁で付与された特許出願に基づいて付与される特許をいいます。指定された特許庁とは、中国特許庁、英国特許庁及び欧州特許庁(英国
を指定するEPC出願)をいいます。香港では実体的な審査はされず、対応する中国出願、英国出願、または英国を指定するEPC出願の審査結果に基づいて登録されるので、確認特許ともいわれます。
 
香港での標準特許(確認特許)による保護を求めるには、まず上記の特許庁に出願をする必要があります。標準特許(確認特許)により特許の付与を求める場合、二つの手続きが必要です。

 ・第一段階手続き:指定された特許庁における出願の公開日から6ヶ月以内に、先ず香港特許庁に「記録請求」手続きをとる必要があります(Request to Grant)
 ・第二段階手続き:指定された特許庁における実体審査が完了し、特許になった場合に特許の登録日から6ヶ月以内に、又は指定された特許庁の出願の記録の請求の香港における公開から6ヶ月以内(いずれか遅く満了する方)に、「登録請求」をすることが必要です(Request for Grant & Registration)

標準特許(原授標準専利制度)(改正法にて新設)
・外国の指定特許庁への出願を経由することなく、香港に直接出願することができるようになります。
・形式審査が行われた後、優先日(最先のもの)から約18か月で公開されます。
・実体審査も行われ、そのための審査請求期限は、優先日から3年となります。
・実体審査の
流れはおおまかに下記の通りです(日本語書類名は仮称です)。
 ・・香港特許庁から審査通知(Examination notice)が発行されます。これに対する出願人の応答期限は4か月です。2か月の延長が可能です。
 ・・拒絶理由が解消すれば特許査定(Grant of patent)が発行されます。
 ・・拒絶理由が解消しなければ仮拒絶通知(Provosional refusal notice)が発行されます。これ
に対し、出願人は2か月以内に再審査請求(Request to review)を提出することができます。2か月の延長も可能です。
 ・・香港特許庁から再審査見解書(Review opinion)が発行されます。これに対する出願人の応答期限は2か月です。2か月の延長が可能です。
 ・・拒絶理由が解消すれば特許査定が発行されますが、そうでなければ最終拒絶通知(Final refusal notice)が出されます。

短期特許
 短期特許とは、香港特許庁に直接出願し、方式的要件についてのみ審査され付与される特許をいいます。独立請求項の数は1個です。新規性等の実体審査は行われません。
 
改正法では、特許権者または正当な関心を有する第三者が登録後実体審査を請求することができます。このような請求は、短期特許についての権利行使をするための前提条件となります。短期特許の権利者が侵害の警告をする場合には、被疑侵害者に基本的な特許情報を提示する必要があります。
 クレームの数は現行法では独立項1つですが、改正法では独立項の数の制限が緩和され、2つに増えます。