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インドネシア 特許発明不実施期間の延長申請の概要を公表

浅村特許事務所 知財情報
第283号(2019年4月23日)


インドネシア 特許発明不実施期間の延長申請の概要を公表


 



インドネシア知的財産権総局(DGIP)は、特許発明の不実施の期間の延長申請に関する運用を公表しました。

 


現行特許法によれば、特許権者はインドネシア国内で特許発明を実施する義務を負い(特許法第20条)、3年以上その義務を履行しない(不実施の)場合に、強制実施権の設定(第82条(1)(a)、第83条(1))や検察官等の告発による特許取消の対象となります(第132条(1)(d)(e)(4))。昨年7月に公表された施行規則では、この不実施の期間は特許付与後3年以内に申請することで5年まで延長できると規定されています。また、一部の代理人より「5年以上の延長申請も可能」という情報も得られております。

 ご注意いただきたいのは、特許権者の義務は「特許発明の実施」であり、インドのような定期的な実施状況の報告は義務ではない点です。特許発明の実施状況は、利害関係人から強制実施権設定が申し立てられた場合や、検察官等から特許取消が告発された場合に、それらの反論として主張・立証することができます。
 現行法施行後に登録された特許権について、本年8月26日より延長申請の期限(登録から3年)が随時到来いたしますのでご留意ください。

 また、以前のインドネシア知的財産権総局(DGIP)の説明では、現行特許法で追加された不実施に基づく特許取消や不実施期間の延長申請は2016年8月25日以前の旧法下で登録された特許権(旧法下の特許権)には適用されないとのことでした。しかし、最近になって見解が変更され、これらの規定は旧法下の特許権にも遡って適用されることになりました。旧法下の特許権における延長申請は、経過措置として、本年8月26日まで可能ですので併せてご注意ください。

 不実施期間の延長申請には以下の書類・情報が必要となります(新/旧法下の特許権で共通)。

(1)会社の設立を公的に示す証拠(例:登記簿謄本の翻訳に領事認証を受ける)
(2)インドネシア代理人への委任状
(3)納付済み特許年金の領収書
(4)以下に例示するような、特許権者が、特許発明実施のための期間延長を受ける資格があること(不実施の正当な理由)を証明する書面
 ・特許発明を実施するための資材の国内調達が困難であり、インドネシア国外から輸入する必要があること
 ・特許発明を実施するためには、国内では未だ利用できない特殊な技術が必要であること
 ・特許発明を実施するためには、国内では限られている専門的スキルを有する人材が必要であること
 ・特許発明を実施するコストと製品の需要量が経済性を満たさないこと
 ・特許発明を実施するための国内生産能力が不十分であること
 ・特許製品や方法が高度に複雑または精密であること
 ・企業秘密の保護に関連した理由

本件について新たな情報が入りましたら、随時お知らせいたします。