浅村特許事務所 知財情報
2015年 8月30日
アメリカ 世界的に有名なあの曲を巡って、100万ドル著作権訴訟勃発
誕生日に欠かせないものと言ったらプレゼントにケーキ・・・ですがもう一つ、誰もが一度は歌ったことがある曲、「Happy Birthday to You」を忘れてはいけません。1893年にケンタッキー州に住む保育士パティ・ヒルさんと彼女の妹、ミルドレッドさんによって「Good Morning to All」というタイトルで書き下ろされた後、お馴染みの「Happy Birthday」の歌詞に書き換えられ、1912年に初めて楽曲集としてリリースされました。
ところでこの曲、つい先日までは、著作権で守られていて、公共の場で使用するには使用料をオーナーに支払わなければならない、というのは有名な話でした。1935年に「職務著作」としてアメリカで著作権化された後、あのワーナーミュージックグループの広報部門である「ワーナー/チャペル・ミュージック」が1988年、当時の権利者だったレコード会社「バーチツリーグループ」から約2500万ドルで権利を買い、ワーナーは現在使用料として年間約200万ドルを徴収しています。
ところがここにきて、衝撃の事実が明るみに出ました。2013年、Happy Birthday to Youの歴史についてドキュメンタリー映画を撮っていたジェニファー・ネルソンさんが、「曲は公共のものであり、誰もが使用料を支払うことなく自由に使える」として、ワーナー側にこれまで徴収した使用料の返却を求める訴えを起こしたのです。ジェニファーさん側の弁護士は、「ワーナー側が主張している著作権発生年1935年よりも前から、曲は公共のものとして誰もが使用料を払うことなく自由に使うことができた。元々公共物だったものを著作権化することは不可能であり、ワーナーの権利化自体無効である。」と主張しました。これに対しワーナー側は、「原告側が提示した証拠には、1935年以前に出版された楽曲集についての事実上の著作権や、特許に関しての説明において不十分な部分があり、それらを含め全ては法廷で明らかにされるであろう。」として反論しています。
今後どうなるのか、新しい情報が入り次第皆様にお届けしたいと思います。
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