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【台湾】日本の会社の著名登録商標に関する最高行政裁判所の判決

浅村特許事務所 知財情報 
2014年9月5日


【台湾】日本の会社の著名登録商標に関する最高行政裁判所の判決


 

【要約】

最高行政裁判所は、日本の会社の著名登録商標が、台湾の会社の登録商標により、識別力を希釈されるおそれがあるものであるとして、前審の判決を破棄自判し、知的財産局に台湾の会社の商標登録を取消すように命じた。

 

本事件は、日本のUCCホールディングス株式会社が、台湾の環球水泥股份有限公司(Universal Cement Corporation)の商標登録の取消しを求めた事案である(参考1)。

最高行政裁判所は、2014年6月19日、知的財産裁判所における差戻審の判決を破棄し、知的財産局の原処分及び経済部訴願審議委員会の訴願決定を取り消した。また、知的財産局に環球水泥股份有限公司の商標登録を取消すよう命じる判決を下した。

 

事件の経緯の概略(参考2)

2010年3月、環球水泥股份有限公司は、商標「UCC collection 及び図」について、金属、建材の小売卸売等を指定役務として(「collection」の部分については専用権を放棄)、商標登録出願を知的財産局に行った。

知的財産局は、審査後、登録を許可し、登録第1450217号商標として登録した。

これに対して、UCCホールディングス株式会社は、環球水泥股份有限公司の登録商標が商標法の規定(改正前商標法第23条第1項第12号及び第14号)(参考3)に違反しているとして、登録の取消しを求めて、知的財産局に商標登録異議申立を行った。

しかし、知的財産局は、UCCホールディングス株式会社の主張を認めない決定をしたので、UCCホールディングスは、これを不服とし、行政訴訟を提起した。

 

 

 

(1) 知的財産裁判所における判断

知的財産裁判所は、第一審判決において、2つの商標が類似していないと認定した。

更に、差戻審の判決において、2つの登録商標は同じ「UCC」の3文字を含む構成ではあるが、字体が異なり、しかも、環球水泥股份有限公司の商標には、UCCの文字の上方にUの文字をデザインした図案があるため、2つの商標の類似度は高いとは言えないと認定した。

それに加えて、UCCホールディングス株式会社の登録商標は、専ら、コーヒー、茶等の飲料、及びカフェ等の商品及び役務に使用されるのに対して、環球水泥股份有限公司の登録商標は、金属、建材の小売卸売等の役務に使用されており、2つの登録商標の指定商品/指定役務の性質が異なり、競合関係にない。これらの点から、消費者に誤認混同を生じさせるおそれはなく、UCC
ホールディングス株式会社の著名な登録商標の識別力を希釈化するには至っていないと認定した。

上記のように、知的財産裁判所の判決においては、二度に亘って知的財産局の査定を是認し、知的財産局が環球水泥股份有限公司に商標登録を許可したことに誤りはないと判断した。

 

(2) 最高行政裁判所における判断

しかし、2013年、最高行政裁判所は、第一次上告審の判決において、知的財産裁判所の原判決を破棄した。

更に、知的財産裁判所に差戻す際に次の判断を加えた。すなわち、UCCホールディングス株式会社の商標は、登録されて既に20数年を経た著名商標であり、2つの登録商標の主要部分である「UCC」という構成が類似している。しかも、UCCはよく見かける外国語ではない。そのため、たとえ、2つの商標の指定商品/指定役務の性質が異なっていても、環球水泥股份有限公司の商標の登録及び使用を認めた場合には、UCCホールディングス株式会社の著名登録商標について、これまで大衆に与えていた独特な印象が次第に失われ、その識別力が希釈されるおそれがある、と明確に判示した。

また、第二次上告審の判決において、前判決を破棄し、環球水泥股份有限公司の商標は、UCCホールディングス株式会社の著名な登録商標の識別力を希釈するおそれがある(改正前商標法第23条第1項第12号)として、UCCホールディングス株式会社の主張を認め、知的財産局に対し、環球水泥股份有限公司のUCC商標登録を取り消すよう命じた(2014年6月)。

 

 

(参考1)

UCCホールディングス株式会社

環球水泥股份有限公司

 

 

 

 

指定商品/指定役務:

コーヒー、茶等の飲料、カフェ等

指定役務:

金属、建材の小売卸売等

 

 

(参考2)

 

商標

指定商品/役務

消費者の誤認混同のおそれ

商標の識別力

2012年12月27日

知的財産裁判所

(原告敗訴)

類似していない

 

性質が異なる

ない

希釈のおそれはない

2013年6月14日

最高行政裁判所

(破棄、差戻し)

*主要部分(UCC)が類似している

*よく見かける外国語ではない

性質は異なる

 

希釈のおそれがある

2014年1月2日

知的財産裁判所

(差戻審)

(原告敗訴)

類似度が高いとは言えない

性質が異なる

ない

希釈のおそれはない

2014年6月19日

最高行政裁判所

(確定判決)

(原告勝訴)

*著名商標である

*類似度が高い

性質は異なる

 

希釈されるおそれがある

 

 

 

 

(参考3)

旧商標法第23条第1項

第12号

他人の周知商標又は周知標章と同一又は類似のものであり、そのために、関係公衆に混同を生じさせるか又は当該周知商標又は周知標章の識別性又は名声を減殺する虞のあるもの。但し、前記の規定は、当該周知商標又は周知標章の所有者の同意を得て行われた出願には適用しないものとする。

第14号

同一又は類似の商品又はサービスについて他人が先に使用している商標と同一又は類似のものであり、且つ、出願人が当該他人との契約上、地理上若しくは事業上の関連又はそれ以外の関係から、前記商標の存在を知っていること。但し、前記の規定は、当該他人の同意を得て行われた出願には適用しないものとする。

 

 

 


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