浅村特許事務所 知財情報
2014年8月20日
中国 周知商標の認定及び保護に関する規定の公布
【要約】 2014年5月1日に施行された商標法に従って、周知商標の認定及び保護に関する規定が2014年8月3日に施行された。この規定には、周知商標の定義、認定のための管轄当局及びそのルート、認定のために提出する資料、及び認定の効果等について規定されている。 |
2014年7月3日、国家工商行政管理総局は、2014年5月1日に施行された改正商標法に従って、「周知商標の認定及び保護に関する規定」を公布した。この改正規定は、2014年8月3日に施行された。
本規定の主な内容を以下に纏める。
[1] 周知商標の定義(第2条)
本規定において使用される「周知商標」とは、中国における関連分野の公衆に周知な商標をいう。「関連分野の公衆」とは、その商標について指定される商品又は役務に関連する消費者、当該商品を製造し、又は当該役務を提供する者、及び関連するマーケティングに従事する者又は販売ルートに関係する者をいう。
[2] 認定のための管轄当局及びそのルート
商標の登録又は使用について紛争が生じた場合にのみ、当該商標の所有者は、管轄当局に自己の商標を周知商標に認定することを請求することができる(第3条)。
周知商標の規定に基づいて、異議申立を商標局に申立てる場合、又は異議決定に対する審判又は無効審判を商標評審委員会に請求する場合、周知商標の認定を請求することができる(第5条及び第6条)。
その他に、商標を周知商標として認定するためのルートとしては、商標侵害訴訟の提起と共に、地方工商行政管理部に認定を請求するルートがある。当該請求は、その後、商標局に移送され、商標局によって決定がなされる(第7条)。
[3] 認定のために提出する証拠(第9条)
商標が関連分野の公衆に周知であることを証明するために、以下の資料を提出することができる。
(a) 当該商標に対する関連分野の公衆の認知度を証明する資料
(b) 当該商標の使用及び登録の経緯及び範囲に関する資料を含む、当該商標の使用期間を証明する資料
中国において未登録の商標については、当該商標の使用期間が継続して5年以上であることを示す資料を提出する。
中国において登録した商標については、当該商標の使用期間が登録後3年以上であるか、又は継続して5年以上であることを示す資料を提出する。
(c) 過去3年に亘る、宣伝広告活動及び販売促進活動の方法及び地域、メディアのタイプ、及び広告投入量を含む、当該商標の宣伝広告活動及び販売促進活動の期間、程度、及び地域を証明する資料
(d) 中国又は他の国において当該商標が周知商標として保護を受けた記録を証明する資料
(e) 過去3年に亘る、当該商標を使用した商品に関して、売上高、市場占有率、純利益、納税の記録及び販売地域を示す資料を含む、商標の評判を証明する他の資料
本規定において使用される「3年」及び「5年」とは、異議申立又は無効審判における係争商標の出願の日前、又は認定請求が地方工商行政管理部に請求された日前の期間をいう。
[4] 認定の効果
商標の登録又は使用に関する係争中に周知商標として認定された場合でも、同様の商標を含む類似のケースにおいて、必ずしも周知商標として認定され且つ保護されるわけではない。しかし、相手方当事者が当該商標が周知商標であることに異議を唱えない場合、又は、異議を唱えたけれども、当該商標が周知ではないことを証明する証拠が不十分であった場合、当該商標は周知商標として保護される。
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