浅村特許事務所 知財情報
2014年6月15日
中国 意匠特許審査基準の部分改正(2014年5月1日発効)
【要約】 従来、中国では、画面デザイン(GUI デザイン:グラフィカル・ユーザー・インターフェースデザイン)は、意匠特許の保護対象から除外されていたが、本改正により保護対象として追加されることになった。動的画面デザインも保護されることになったが、製品の機能発揮に無関係な画面デザイン等についてはなお保護対象から除外されている。 |
改正箇所は、[1] 第1部(方式審査)第3章(意匠特許出願の方式審査)において4箇所、及び[2] 第4部(復審と無効請求の審査)第5章(無効宣告手続における意匠特許の審査)において1箇所である。
改正点は、それぞれ① 出願時における図面による画面デザイン(動的画面デザインを含む)の特定について、② 意匠の「簡単な説明」における画面デザインの用途等に関する説明の記載について、③ 図案に対する固定的、可視的であるという要件の削除について、④ 製品の機能の発揮とは無関係な画面等の保護対象からの除外について、⑤ 無効審査における全体の視覚効果に対する画面デザインの影響について、である。
以下に、具体的に紹介する。
[1] 第1部第3章
(1) 第1部第3章4.2 節(意匠の図面又は写真)
(第3段落の後に下記の一段落を追加)
『画面デザインを含む製品の意匠について、製品全体の意匠図面を提出しなければならない。画面デザインが動的図案の場合、出願人は少なくとも1つの状態を示す製品全体の意匠図面を提出しなければならないが、その他の状態についてはキーフレームの図面のみを提出すればよい、提出する図面により、動的図案における動きの変化が一意的に特定できるものでなければならない。』
(説明)
中国では、部分意匠が認められていないため、製品全体の意匠が保護対象となっている。動的画面デザインの場合、製品全体の図面は少なくとも1つ必要であり、その他は、動画の各段階における図面を提出することにより、変化の状態が特定されることになる。
(2) 第1部第3章4.3 節(簡単な説明)
(第3段落第(6)号の後に、第(7)号を追加)
『(7) 画面デザインを含む製品の意匠特許出願の場合、必要に応じて、画面デザインの用途、製品中の画面デザインの領域、インターフェース(人とコンピュータの相互関係)の方法及び変化状態などを説明する。』
(説明)
必要に応じて、画面デザインの用途、製品に占める画面デザインの領域、画面操作によってもたらされる機能等の説明を記載する。
(3) 第1部第3章7.2 節(製品の形状、図案又はその組合せ、並びに色彩と形状、図案との組合せ)
(第3段落の最後にある下記の一文を削除)
『製品の図案は固定しており、目に見えるものでなければならない。一時的に又は特定の条件下でのみ見えるものであってはならない。』
(説明)
改正前は、通電状態においてのみ表示される画面デザインは、保護対象から除外されていたが、改正後は保護対象となった。
(4) 第1部第3章7.4 節(意匠特許権を付与しない場合)
(第1段落第(11)号を下記のように修正)
『(11) ゲームの画面、及びインターフェース(人とコンピュータの相互関係)とは無関係又は製品の機能の発揮とは無関係な製品の表示装置に表示される図案。例えば、電子スクリーン壁紙、立ち上げ画面とシャットダウン画面、ウェブサイト・ウェブページのグラフィックレイアウト。』
(説明)
製品の機能を発揮するのに無関係な画面等は保護対象から除外される。
[2] 第4部第5章
(1) 第4部第5章6.1 節(同一又は類似する種類の製品における現有設計との対比)
(第2段落第(4)号の後に下記の第(5)号を追加)
『(5) 画面デザインを含む製品の意匠について、係争意匠のその他の部分のデザインが慣用的な設計である場合、その画面デザインは全体の視覚効果に、より顕著な影響を及ぼす。』
(説明)
意匠の類否判断においては、画面デザイン以外の部分が従来意匠である場合には、製品全体の視覚効果に与える画面デザインの影響は大きい。
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