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【中国】「医薬品専利紛争早期解決メカニズムの実施弁法(試行)」に関する政策解読 [2021年 7月29日]

2021年 7月29日
浅村特許事務所


【中国】医薬品専利紛争早期解決メカニズムの実施弁法(試行)に関する政策解読


   浅村特許事務所 中国弁護士
鄭 欣佳 訳


2021年7月5日に、中国国家知識産権局による「医薬品専利紛争早期解決メカニズムの実施弁法(試行)」に関する政策解読が公布されました。
それの日本語訳です。


「医薬品専利紛争早期解決メカニズムの実施弁法(試行)」に関する政策解読

2021年 7月 5日

中国国家知識産権局による

1.「医薬品専利紛争早期解決メカニズムの実施弁法(試行)」が策定された背景は何ですか?

 医薬品専利紛争早期解決メカニズムとは、関連する医薬品の販売承認プロセスと関連する医薬品の専利紛争解決プロセスを連動するシステムのことです。
 中国共産党中央弁公庁および国務院弁公庁が発表した「医薬品および医療機器のイノベーションを促進するための審査承認制度の改革を深める意見」および「知的財産権の保護強化に関する意見」では、いずれも医薬品パテントリンケージ制度の構築を検討することが提案されています。2020年10月、新たに改正された中華人民共和国専利法(以下、「専利法」と言います)の第76条では、医薬品専利紛争の早期解決に関する規定が導入されました。関連規定では、国務院医薬品監督管理部門が国務院専利行政部門と連携し、医薬品上市許可の承認と医薬品上市許可の申請段階で専利紛争を解決するための具体的な連携措置を策定し、国務院に報告し、承認を求め、その後実施されることが明確にされています。
 中国共産党中央委員会および国務院の決定・手配を実施し、中国における医薬品専利紛争の早期解決メカニズムの構築を促進するため、国家医薬品監督管理局および国家知識産権局は、関連部門と共同で、新たに改正された専利法の関連規定の枠組みの中で、医薬品専利紛争の早期解決メカニズムの具体的な制度について、国際慣行を参考にして慎重に検討し、業界、協会、専門家の意見を広く聞き取り、完備した後、「医薬品専利紛争早期解決メカニズムの実施弁法(試行)」を策定しました(以下、「弁法」と言います)。

2.「弁法」の目的と主な内容は何ですか?

 「弁法」は、医薬品上市の審査・承認プロセスにおいて、当事者が関連する専利紛争を解決するためのメカニズムを提供し、医薬品専利権者の正当な権利・利益を保護するとともに、後発医薬品販売後の専利侵害リスクを低減することを目的としています。
 「弁法」の主な内容は、プラットフォーム構築・情報公開制度、専利権登録制度、後発医薬品専利声明制度、司法連携・行政連携制度、承認待機期間制度、医薬品審査・承認分類・処理制度、最初に専利チャレンジに成功した後発医薬品の市場独占期間制度などです。


3.
医薬品の専利紛争を早期に解決するためにどのような手段がありますか?

 「弁法」では、専利権者または利害関係者が4種類の専利権声明に異議がある場合、上市申請された医薬品の関連技術方案が当該専利権の保護範囲に含まれるかどうかについて、人民法院に訴訟を提起するか、または国務院専利行政部門に行政裁決を請求することができると規定されています。即ち、司法手段と行政手段があります。所定の期間内であれば、専利権者は自ら手段を選択することができます。当事者が国務院専利行政部門に行政裁決を求めることを選択し、行政裁決に不服であり、人民法院に行政訴訟を提起した場合、待機期間は延長されません。
 専利権者または利害関係者が所定期間内に訴訟を提起せず、または行政裁決を請求しなかった場合、後発医薬品の申請者は、その関連する医薬品技術方案が当該専利権の保護範囲に含まれないことを確認するために、関連規定に基づいて訴訟を提起し、または行政裁決を請求することができます。


4.医薬品専利紛争早期解決メカニズムの対象となる医薬品専利は何ですか?

 中国上市医薬品専利情報登録プラットフォームに登録できる具体的な医薬品専利は
 ① 化学医薬品(原薬を除く)の
     医薬品有効成分の化合物に関する専利
     有効成分を含む医薬組成物に関する専利
     医薬用途に関する専利
 ② 漢方薬の
     組成物に関する専利
     抽出物に関する専利
     医薬用途に関する専利
 ③ バイオ医薬品の
     有効成分の配列構造に関する専利
     医薬用途に関する専利
 関連専利には、中間体、代謝物、結晶形、調製法、検査方法等の専利が含まれません。


5.専利声明をするにはどうすればいいですか?

 化学後発医薬品の申請者、同一名称・同一処方の漢方薬の申請者、バイオシミラー医薬品の申請者が医薬品の上市許可申請を行う場合、申請者は、先発医薬品の関連医薬品専利に対し、専利ごとに中国上市医薬品専利情報登録プラットフォームで公開されている専利情報と照合して声明を行わなければなりません。
 後発医薬品の申請者は、後発医薬品の申請が受理されてから10営業日以内に、対応する声明とその根拠を上市許可保有者に通知しなければなりません。その中、声明が関連専利の保護範囲に含まれない場合、声明の根拠には、後発医薬品の技術方案と関連専利の関連請求項比較表や関連技術情報を含まなければなりません。
 後発医薬品の申請者は、紙ベースの情報に加えて、上市許可保有者が中国上市医薬品専利情報登録プラットフォームに登録した電子メールアドレスに声明書および声明書の根拠を送付し、関連記録を保管しなければなりません。

6.待機期間を開始するにはどうすればいいですか?

 専利権者または利害関係者は、化学後発医薬品の登録申請における4種類の専利権声明に異議がある場合、国家医薬品審査評価機関による医薬品の上市許可申請が公表された日から45日以内に、上市申請された医薬品の関連技術方案が関連専利権の保護範囲に含まれるかどうかについて、人民法院に訴訟を提起するか、または国務院専利行政部門に行政裁決を請求することができます。
 専利権者または利害関係者が所定期間内に訴訟を提起し、または行政裁決を請求した場合、人民法院が立件した日または国務院専利行政部門が受理した日から15営業日以内に、立件または受理通知書の写しを国家医薬品審査評価機関に提出し、後発医薬品の申請者に通知します。人民法院の立件通知書、または国務院専利行政部門の受理通知書の写しを受領した場合、国務院医薬品監督管理部門は、化学後発医薬品の登録申請に9ヶ月の待機期間を設けます。
 中国上市医薬品専利情報登録プラットフォームに収録された先発医薬品に関する専利権を無効とすべきであると声明した化学後発医薬品の申請者に対して、専利権者または利害関係者が、上市医薬品の関連技術方案が関連専利権の保護範囲に含まれるかどうかについて、人民法院に訴訟を提起しないか、または国務院専利行政部門に行政裁決を請求していない場合には、待機期間を開始しません。


7. 専利紛争を早期に解決できない場合、関連する医薬品は上市後にどうしますか?

 関連する専利情報が中国上市医薬品専利情報登録プラットフォームに登録されていない場合、本弁法の措置は適用されません;専利権者または利害関係者が所定の期間内に訴訟を提起しないか、または行政裁決を請求しない場合、待機期間は設けません。
 このように早期に解決できない専利紛争について、当該医薬品の上市が承認された後、専利権者は当該医薬品に対応する専利権を侵害すると考え、紛争が生じた場合、中華人民共和国専利法等の法令の規定に基づいて解決します。法律に基づいて承認された医薬品の上市を許可する決定は取り消されることはなく、その有効性に影響を与えません。