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EPO EPO審査ガイドライン改訂②

浅村特許事務所 知財情報 
 2019年11月18日


EPO EPO審査ガイドライン改訂②


 

先日は、11月に改定されたEPO審査(Guidelines for Examination)のうち、数値範囲の新規性(選択発明)に関して説明しましたが、今回は物をパラメータを用いて記載するクレームの明確性に関するPart F Chapter VI-4.11についてご案内します。

改定前のガイドラインでは、物のクレームをパラメータで定義するのは例外的であるとの規定がありました。例えば、改訂前は、
「発明が物に関連する場合、それはクレームにおいて、様々な方法で、すなわち、化学式による化学製品として、(もしより明確な定義が可能でないのであれば)プロセスの製品として、または例外的にそのパラメータにより、さまざまな方法で定義することができる。」と規定され、さらに「物を主にそのパラメータにより特徴づけることは、発明が他の方法では適切に定義することができない場合にのみ許される。ただし、そのパラメータが明細書中の指示により又は当業界で通常の客観的な手段により明確にかつ確実に決定できることを条件とする。」(*1)とも規定されていました。

改訂されたガイドラインでは、これらの規定が削除されました(*2)。

ただし、改訂前と改定後のいずれのガイドラインにも、
「物の特徴は、当該技術分野で通常の客観的手順により明確かつ確実に決定できるという条件で、その物の物理的構造に関連するパラメータによって特定してもよい。 物の特徴がパラメーター間の数学的関係によって定義される場合、各パラメーターを明確かつ確実に決定する必要がある。パラメータによって定義される方法関連の特徴にも同じことが当てはまる。」
との規定があり、改定後も存在します。
通常はパラメータの測定方法をクレーム自体に記載しておくか、少なくとも明細書に記載しておくことが必要かもしれません。もしそれらの記載がないことで問題となった場合は、測定方法が技術常識の一部にすぎないことを主張するか、当業界で公知のいかなる測定方法で測定しても同じ結果が得られることを主張して反論することが考えられますが、これはケースバイケースということになるでしょう。

*1 よく似た要件として、プロダクト・バイ・プロセスのクレームが認められるための要件がありますが(Part F Chapter VI-4.12の第3段落参照)、これは今も存在していますので、混同しないようにご注意ください。
*2 WEBページの右上にあるShow modificationsにチェックを入れると2018年度版からの修正部分が赤くハイライトされるようになっています。