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【米国】最高裁判所判決

浅村特許事務所 知財情報 
 2015年2月20日


【米国】最高裁判所判決


 

[米国、最高裁判所判決]

商標に変更を加えても、消費者が同じ印象をもつ場合(同様な、継続した商取引上の印象をもたらす「法的等価物」である場合)には、元の商標の使用における優先的地位を維持することができるとするタッキング(tacking)の原理を適用可能か否かについての陪審による判断を支持した上で、当該原理の適用につき、裁判官ではなく、陪審員による判断が可能と判示した。

 

事件の概要

 原告であるHana Financialは、1994年に設立されたカリフォルニア州の法人であり、1996年にHana Financial (+ロゴ) で連邦商標登録を取得した。

その後、2007年に、標章「Hana Financial」を侵害しているとして、Hana Bank を訴えた。これに対して、被告であるHana Bankは、先使用による優先的地位を有するとして、タッキングの原理の適用を抗弁として主張した。

 Hana Bankは、1971年に設立された韓国企業であり、その名称は「Korea Investment Finance Corporation」、「Hana Overseas Korean Club」、及び「Hana World Center」に変更等され、2002年に「Hana Bank」の名称で米国において銀行業を開始した。

陪審裁判において、陪審はHana Bankがそれまでの使用を先使用の使用期間に加算することができる(タッキングの原理が適用される)として非侵害との判断を下し、その後の第9巡回区連邦控訴裁判所においても、下級審における陪審による判断は裁判官からの適切な説示によるものとして、当該判断が支持された。

 今回、最高裁判所においては、タッキングの原理の適用の可否について、陪審員と裁判官のいずれが判断すべきか、という問題を審理した。なお、この問題は、これまで連邦控訴裁判所において判断が分かれていた。

 

タッキングの原理について

 商標における権利は、標章を商取引において最初に使用した日によって判断される。商取引上最初に標章を使用した者は、他の使用者に対して、優先的地位を有する。そして、優先的地位を有する使用者は、優先的地位を失うことなく、時の経過に伴って、その標章に一定の改変を加えることが許される。

下級裁判所は、元の標章と改変された標章とが、同様な、継続した商取引上の印象を作り出す「法的等価物」である場合に、上記法原理が適用されると判断してきた。

 

裁判所

アメリカ合衆国最高裁判所

当事者

原告

Hana Financial, Inc.

被告

Hana Bankら

事件番号

No.13-1211

判決日

2015年1月21日

キーワード

タッキング 陪審員

審理対象

裁判官と陪審員のいずれが、タッキングの原理の適用の可否について判断すべきか。

結論

陪審員による審理が要求されており、且つ事実(の問題)により略式裁判(summary judgment)や法律問題としての裁判(JMOL: judgment as a matter of law)を開始することが正当化されない場合には、タッキングの原理の適用の可否は陪審員により判断すべきと述べて、第9巡回区連邦控訴裁判所の判断を是認した(反対意見なし)。

原告の反論等

原告は、法的等価物テストには法律基準の適用が含まれる、また、タッキングについてなされた判断は、今後、同様な問題が生じた際に指針となる新しい法律を作り出すことになる等と述べて、タッキングの原理適用の可否は、裁判官により判断されるべきであると主張したが、受け入れられなかった。

 

Supreme Court

http://www.supremecourt.gov/opinions/14pdf/13-1211_1bn2.pdf

 

 


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